国際軍事裁判所憲章
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本裁判所ハ、平和ニ対スル罪ヲ包含セル犯罪ニ付個人トシテ又ハ団体員トシテ訴追セラレタル極東戦争犯罪人ヲ審理シ処罰スルノ権限ヲ有ス。
(イ)平和ニ対スル罪
即チ、宣戦ヲ布告セル又ハ布告セザル侵略戦争、若ハ国際法、条約、協定又ハ誓約ニ違反セル戦争ノ計画、準備、開始、又ハ遂行、若ハ右諸行為ノ何レカヲ達成スル為メノ共通ノ計画又ハ共同謀議ヘノ参加。
(ロ)通例ノ戦争犯罪
即チ、戦争ノ法規又ハ慣例ノ違反。
(ハ)人道ニ対スル罪
即チ、戦前又ハ戦時中為サレタル殺人、殲滅、奴隷的虐使、追放、其ノ他ノ非人道的行為、若ハ犯行地ノ国内法違反タルト否トヲ問ハズ、本裁判所ノ管轄ニ属スル犯罪ノ遂行トシテ又ハ之ニ関連シテ為サレタル政治的又ハ人種的理由ニ基ク迫害行為。

上記犯罪ノ何レカヲ犯サントスル共通ノ計画又ハ共同謀議ノ立案又ハ実行ニ参加セル指導者、組織者、教唆者及ビ共犯者ハ、斯カル計画ノ遂行上為サレタル一切ノ行為ニ付、其ノ何人ニ依リテ為サレタルトヲ問ハズ、責任ヲ有ス。
A級・B級・C級戦犯

なお、日本でいう戦犯のA級・B級・C級という区分は、元来はこの憲章規定にあたるという意味であって、「C級よりA級の方が重大」という意味ではない[8]

A級戦犯とは、ロンドン国際軍事裁判所憲章第6条a項および極東国際軍事裁判所条例の第五条イ項「平和に対する罪」に違反した戦争犯罪人。

B級戦犯とは、同b項・ロ項「通例の戦争犯罪」に違反した戦争犯罪人。

C級戦犯とは、c項・ハ項「人道に対する罪」に違反した戦争犯罪人。

すなわち、A級、B級、C級はこのa項、b項、c項にあたる。
「平和に対する罪」と「人道に対する罪」

ニュルンベルク裁判ではユダヤ人大量虐殺が衝撃的であったため、C級犯罪である「人道に対する罪」がA級の「平和に対する罪」を凌駕するような印象になったが、連合国検察はA級の「平和に対する罪」を最も訴追した。

「人道に関する罪」は日本の戦争犯罪を裁く極東国際軍事裁判における戦争犯罪類型C項でも規定されたが、日本の戦争犯罪とされるものに対しては適用されなかった[9]。その理由は、連合国側が、日本の場合は、ナチのような民族や特定の集団に対する絶滅意図がなかったと判断したためである[10]。なお、南京事件いわゆる南京大虐殺について連合国は交戦法違反として問責したのであって、「人道に関する罪」が適用されはしなかった[11]
脚注[脚注の使い方]^ 日暮吉延『東京裁判』講談社現代新書,2008年,20頁
^ 「戦争犯罪と法」多谷千香子(岩波書店)P.3-4 ⇒[1]
^ 児島襄『東京裁判(上)』中央公論社、1971年, 49頁。吉田裕昭和天皇の終戦史』岩波書店、1992年12月、35頁。野村二郎『ナチス裁判』講談社、1993年1月、78頁。
^ 日暮吉延『東京裁判』講談社現代新書,2008年,342頁
^ “歴史問題Q&A 関連資料 極東国際軍事裁判(「東京裁判」)について”. Ministry of Foreign Affairs of Japan. 2021年12月12日閲覧。
^ 日暮吉延『東京裁判』講談社現代新書,2008年,227-9頁
^ 極東国際軍事裁判所条例
^ 日暮吉延『東京裁判』講談社現代新書,2008年,21頁
^ 日暮吉延『東京裁判』講談社現代新書,2008年,17-29頁。BC級戦犯も参照。
^ 日暮吉延『東京裁判』講談社現代新書,2008年,27頁
^ 日暮吉延『東京裁判』講談社現代新書,2008年,26頁

関連項目

戦時国際法

戦争犯罪

国際人道法

国際刑事裁判所

極東国際軍事裁判所憲章

外部リンク

国際軍事裁判所規約

Charter of the International Military Tribunal - イエール大学アヴァンロンプロジェクトによる原文。

極東国際軍事裁判所条例

清水正義 国際軍事裁判所憲章第6条c項「人道に対する罪」に関する覚書 - ウェイバックマシン(2005年5月10日アーカイブ分)


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