国際紛争の平和的解決(こくさいふんそうのへいわてきかいけつ)は、国際紛争を平和的に解決し、処理することである[3]。国際紛争の平和的処理ともいう[3]。平和的解決と対をなすのは兵力による解決を表す「強力的解決」または「強制的解決」であり、その最も重大な場合が戦争である[3]。かつての国際法では平和的解決手続きと強力的解決手続きのどちらも認められ[4]、平和的解決手続きに失敗すれば武力行使を伴う強力的解決手段も認められていた[5]。しかし現代では国連憲章2条3項により国際紛争の平和的解決が義務として定められたほか、同2条4項で武力の行使、武力による威嚇が禁止され、ニカラグア事件国際司法裁判所判決では紛争の平和的解決義務が慣習国際法であることが確認された[4]。ただしこのような国際紛争の平和的解決義務は、平和的手段を用いるべき義務であって、平和的手段を用いた結果として国際紛争を実際に解決することまで義務付けられているわけではない[6]。平和的解決のための手段として具体的には、外交交渉、周旋、仲介、審査、調停のような非裁判手続きのほか、第三者機関が紛争当事国に紛争解決を義務付ける裁判的手続がある[7]。これらの手続きのうちいずれを選定するかは、原則的に紛争当事国の自由であるが[8]、国際紛争の平和的解決に国際組織が介入することもある[9]。 かつては国際紛争の解決手段として、外交交渉などの平和的手続(#紛争解決手続き)と武力行使を伴う強力的解決手続きの双方が認められた[4]。1899年に採択された国際紛争平和的処理条約1条では、武力行使を予防して国際紛争の平和的解決の確保に全力を尽くすことが約束されたが、国際紛争の平和的解決義務や武力行使の禁止が定められることはなかった[5]。国際連盟規約においては強力的手段による紛争解決は制限されたが(12条1項)、平和的解決に失敗した場合には最後の手段として戦争に訴えることも認められていた(15条7項)[10]。 しかし1945年の国連憲章では、2条3項で紛争を平和的手段により解決すべき一般的義務が定められたほか、2条4項では武力行使禁止原則が定められている[4]。2条3項、2条4項は以下の通り。 3.すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない。 4.すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。 ? 国連憲章2条
平和的解決の義務化