フランス語では、「国際法」として、「Droit international public」(国際公法)と「Droit des gens」(万民法)という二つの用語がある。今日では前者が一般に用いられるが、ラテン語の「ius gentium」(ユス・ゲンティウム)つまり万民法に由来する後者は古典的な用語法で、現代では特に人々を念頭においたときに用いられる(例えば、ジェノサイドを"un crime de droit des gens"と表現するものとして、「ジェノサイド条約に対する留保」国際司法裁判所勧告的意見、C.I.J.Recueil 1951, p.23)。ヨーロッパの大学における国際法の講義の名称として、"Droit des gens"を今日でも続けて用いている大学もある。
オランダ語では、 「internationaal publiekrecht」(国際公法)と「volkenrecht/volkerenrecht」(万民法)、「Internationaal recht」(国際法)という呼称がある。
ドイツ語では、「Internationales Offentliches Recht」(国際公法)と「Volkerrecht」(万民法)という二つの呼称がある。
なお、「比較法/比較法学」は、国際法と全く異なる概念である。 国際法は国家主権の確立によって発展するが、それまでの国際法は「君主間の法」とも呼ばれ、国家を人格的に代表する君主は人間であるために自然法により規制されるという考えによる法体系となっていた。 国際法は16世紀から17世紀のヨーロッパにおける宗教戦争の混乱を経て、オランダの法学者グローティウスや、スペインの神学者であり法学者であったスアレス(Francisco Suarez 伝統的な「国際社会」(仏: la societe internationale)は、主権国家の並列状態のみが想定されており[6]、したがって国際法の主体となりうるものは国家のみであった。この基本的な構造はそのため従来的な国際法とは、国家間の合意もしくは不文律のことのみを意味していた。会社などの法人や個人は国際法の主体となりえず、せいぜい国家が国際法に関する権利を行使する過程で影響を受ける存在でしかなかった。これはそもそもかつての国際法で紛争を抑制するために定められた国内管轄権に関する事項を規定しない内政不干渉の原則がウェストファリア体制で確立されたことに起因している。 しかし現代では、国際人権法、国際人道法に見られるように、個人も国際法上の権利、義務の主体として位置づけられるようになった。また、国際環境法における「人類の共通の関心事 「国際法の法源」には、一般的に二つの意味がある。第一に、「形式的法源」(les sources formelles)であり、これは、国際法という法の存在のあり方をいう。「国際法の法源」と言った場合、通常、この意味が当てはまる[10]。すなわち、国際法は、「条約」及び「国際慣習」という形で存在し、後述するように現代では「法の一般原則」も国際法の法源に含まれるとされている。また、「判例」や「学説」は、これら条約、慣習法、法の一般原則の内容を確定させるための補助的法源とされている[2]。これらのことは、以下のように国際司法裁判所規程38条1項に規定されている。(a)一般又は特別の国際条約で係争国が明らかに認めた規則を確立しているもの(b)法として認められた一般慣行の証拠としての国際慣習(c)文明国が認めた法の一般原則(d)法則決定の補助手段としての裁判上の判例及び諸国の最も優秀な国際法学者の学説 ? 国際司法裁判所規程38条1項
発達史
実定国際法の成立
近代国際法の発展
現代国際法への移行
法源
さらに国際組織による決議などの国際法上の法源性についても論じられることがある[11][2]。
最新の議論によれば、大沼保昭によって、「裁判規範」と「行為規範」の区別が主張されている。すなわち、国際司法裁判所規程38条に列挙された、条約、慣習法、法の一般原則は、あくまで裁判を行う時に適用される法源であり、国家が国際社会で行動するときに拘束される国際法は、これらに加えて他にもあり、例えば、全会一致またはコンセンサスで決められた国連総会決議も行為規範として、国家を拘束すると主張される[12]。国際司法裁判所の確立した判例によれば、国連総会決議は、たとえ拘束的ではなくとも、法的確信(opinio juris)の発現を立証する重要な証拠を提供する、とされる(「核兵器の威嚇または使用の合法性」勧告的意見、I.C.J.Reports 1996, Vol.I, pp.254-255, para.70. 「ニカラグアにおける及びニカラグアに対する軍事的、準軍事的行動事件」判決、I.C.J.Reports 1986, pp.100-104.)。