国際捕鯨委員会
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こうした見方に対して水産庁は「100点満点で50-60点がIWCの見方」とIWC科学委員会の結論を捉える一方[64]、日本鯨類研究所は、12月ワークショップが「(JARPA)調査のデータセットは、海洋生態系における鯨類の役割のいくつかの側面を解明することを可能にし、十分な分析を行えば、科学小委員会の作業や南極の海洋生物資源の保存に関する条約など他の関連する機関の作業に重要な貢献をなす潜在性を有している」と結論した[65]ことを踏まえ、「日本の調査の目的は科学であり、商業捕鯨が再開したおり、その捕鯨を持続可能なものにするための科学なのである」としてJARPAの科学的妥当性を強く主張している[66]

日本の南極海における調査捕鯨(JARPA II)に対しては、オーストラリアが日本を相手取り国際司法裁判所に対して同捕鯨がモラトリアム等を定めた条約付表に違反すると提訴を行い、この結果、国際司法裁判所は日本の調査捕鯨が商業捕鯨モラトリアム違反であるとの判決を下した。この結果、日本はJARPA IIを中止し、新たな調査計画を策定中である。

これまでに、日本以外で特別許可証発給を行い捕獲調査を実施したことのある国の例としては、米国[67]、ソ連[68]、オーストラリア[69]、カナダ[70]、韓国[71]などが挙げられる。

最近ではアイスランドがIWC再加盟後、2003年から2007年までのプログラムとしてミンククジラ計200頭(当初表明では年にミンククジラ100頭・ナガスクジラ100頭・イワシクジラ50頭で2年間)について、生物学的データ一般の収集及び捕食量調査を目的とした特別許可を発給の意図を表明した ⇒[30]。そして、実際に2006年までに161頭についての捕獲許可を発給して捕獲した。2007年も残る39頭についての許可を発給し ⇒[31]、うち少なくとも33頭の捕獲を行った ⇒[32]。このほか商業捕鯨も2006年に再開した ⇒[33]が、2007年にその操業を中止している ⇒[34][72]。上記アイスランドの特別許可発給に関しては、2003年のIWC年次会合の科学委員会において審議が行われ、これを受けて開催された本会議において懸念が表明され、賛否両論が付された。この本会議では、アイスランド及び日本の捕獲調査は商業捕鯨モラトリアムの精神に反すること、第8条は商業目的の鯨肉の供給のために供せられるものではないこと、今日では非致死的技術の利用でより優れたデータが低コストで得られること、実施中の捕獲調査及び新規の特別許可発給の自粛を求め、非致死的調査のみにすべきことなどを内容とする決議が、多数決で採択(賛成24・反対21・棄権1)された ⇒(Resolution 2003-2)。但しアイスランド政府は、同決議は何ら科学的・法的妥当性を有さないものであるとして強く反対している[73]
2007年年次会合の結果

採択された付表修正

ベーリング海・チュクチ・ボーフォート海の
ホッキョククジラについて、2008-2012年までの間に280頭陸揚げできる(1年間での銛打ちは67回を超えないこと)とする先住民生存捕鯨捕獲枠がコンセンサス(無投票による全体合意)で設定された。

東部北太平洋コククジラについては、2008-2012年までの間に620頭捕獲できる(1年間での捕獲は140頭超えないこと)とする先住民生存捕鯨捕獲枠がコンセンサスで設定された。

セントヴィンセント・グレナディーンのザトウクジラについては、2008-2012年までの間に20頭捕獲できるとする先住民生存捕鯨捕獲枠がコンセンサスで設定された。

グリーンランドについては、2008-2012年までの間の各年、西部グリーンランドについては、ナガスクジラに対する20回の銛打ち、ミンククジラに対する200回の銛打ち、ホッキョククジラに対する2回の銛打ち、東部グリーンランドについては、ミンククジラに対する12回の銛打ちができるとする先住民生存捕鯨捕獲枠についてコンセンサスが得られなかった。そこで実施された投票の結果、賛成41・反対11・棄権16・欠席4となり、4分の3の多数を得たため可決・設定された。

上程されたが採択されなかった付表修正提案

日本より、網走、鮎川、和田浦、太地におけるミンククジラの沿岸捕鯨を認める付表修正提案がなされたが、コンセンサスが得られなかったため、投票に付されることなく撤回された。

ブラジルアルゼンチンチリなどラテンアメリカ諸国より、南大西洋にサンクチュアリを設定する提案がなされたが、投票の結果、賛成39・反対29・棄権3・欠席1となり、4分の3の多数を得られなかったため否決された。

採択された決議 ⇒[35]

ブラジルアルゼンチンチリなどラテンアメリカ諸国より、鯨類の非致死的利用の促進を求める決議案が、賛成42・反対2・棄権2で採択された(日本を含む20カ国は投票不参加)。

日本国政府に対し、同国により実施されている科学特別許可の発給に関し、本件問題を審議した科学委員会報告書に示された31か条の勧告を受け止め、南極海における致死的な科学調査の実施を無期限に延期するよう求める決議案が、賛成42・反対2・棄権1で採択された(日本を含む27カ国は投票不参加)。

船舶の活動に関し、海賊行為や人命を危険に晒す行為を行わないことと、南極海の環境保護の重要性に配慮すること、人命・環境に危険を晒す海上での事故・事件に関して国連海洋法条約の規定に基づき、協力することを求める決議案がコンセンサスで採択された。

商業捕鯨モラトリアムが有効であり、IWCは商業捕鯨再開のための措置を完成できていないことを確認するとともに、国際捕鯨取締条約締約国がワシントン条約締約国会議において、付属書Tからの鯨類掲載を削除しないことを求める決議案が、賛成37・反対4・棄権4で採択された(日本を含む26カ国は投票不参加)。

捕鯨国・反捕鯨国歩み寄りのための努力

現在IWCでは捕鯨国、反捕鯨国双方とも4分の3の多数を得られる状態になく、双方の意見は分極化しているが、これを打開するための努力も同時になされている。

1997年、モナコ・モンテカルロで開催されたIWC年次会合の席上、アイルランドより、
沿岸に限り商業捕鯨の再開を認める一方、公海での捕獲は禁止する

条約第8条に基づく日本による科学特別許可の発給を段階的に中止する

鯨肉等の国際取引を禁止する

との打開案が提示された(朝日新聞10月21日付)が、これによる妥協は得られなかった。

RMSに関する協議が決裂したことを受け、IWCを離れた3つのフォーラムにおいてIWCの将来を話し合う場が持たれた。第一は日本が中心となるもので、2007年はじめにIWC正常化を目指すための会合が東京で開催された ⇒[36]。第二はNGO「ピュー慈善財団 (Pew Charitable Trusts) 」の下で行われているシンポジウムであり、2007年国連本部において元ニュージーランド首相パーマー卿司会の下開催された ⇒[37][38](2008年1月末にも東京・国連大学本部で開催された ⇒[39])。


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