加盟国は88か国(2019年7月現在)。反捕鯨国が優勢となっている。年次会合における各国の投票行動を下に示す([13] [14] を基に作成した)。代表団は、捕鯨支持国代表では水産問題担当官庁、反捕鯨国では環境問題担当官庁が中心となって構成される傾向が見受けられる。
アジア:8(捕鯨支持4、中間派2、反捕鯨2)
反捕鯨:イスラエル、インド
アフリカ:20 (捕鯨支持17、中間派2、反捕鯨1)
捕鯨支持:エリトリア、ガーナ、カメルーン、ガンビア、ギニア、ギニアビサウ、コートジボワール、コンゴ共和国、サントメ・プリンシペ、セネガル、タンザニア、トーゴ、ベナン、マリ、モーリタニア、モロッコ、リベリア
反捕鯨:南アフリカ
オセアニア:8 (捕鯨支持5、中間派1、反捕鯨2)
反捕鯨:オーストラリア、ニュージーランド
ヨーロッパ:32 (捕鯨支持3、中間派1、反捕鯨28)
中間派:デンマーク
反捕鯨:アイルランド、イギリス、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、キプロス、ギリシャ、クロアチア、サンマリノ、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、チェコ、ドイツ、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、モナコ、リトアニア、ルクセンブルク、ルーマニア
北アメリカ:1 (反捕鯨1)
反捕鯨:アメリカ合衆国
カリブ諸国:6 (捕鯨支持5、不明1)
捕鯨支持:アンティグア・バーブーダ、グレナダ、セントヴィンセント・グレナディーン、セントクリストファー・ネイビス、セントルシア
不明:ドミニカ国[15]
中央・南アメリカ:15 (捕鯨支持1、反捕鯨14)
捕鯨支持:スリナム
反捕鯨:アルゼンチン、ウルグアイ、エクアドル、グアテマラ、コスタリカ、コロンビア、チリ、ドミニカ共和国、ニカラグア、パナマ、ブラジル、ベリーズ、ペルー、メキシコ
総計:88(捕鯨支持36、中間派3、反捕鯨50、不明1)
上記のとおり、地域ごとに捕鯨支持・反捕鯨の勢力比が大きく異なっている。 2008年以降の新規加盟国は以下の通り。 日本の勧奨活動[21]について、日本の水産庁は、日本の海外援助はインドやアルゼンチンなど反捕鯨国にも行われており、援助のためにIWC で日本の味方をする必要も無いし、反捕鯨政策をとったから援助が無くなるわけでもないと、援助とIWCでの投票との関係を完全に否定する主張を以前より行ってきた(水産庁ウェブサイト)
アジア、アフリカ、オセアニアの各地域では、捕鯨支持国が優勢である。
EU諸国(27か国中25か国がIWCに加盟。マルタ、ラトビアが未加盟)は、デンマーク[16]を除き、全て反捕鯨の立場である。EUでは1992年の「ハビタット指令[17]」が(全ての鯨類を付属書Wに掲げて)EU内での意図的捕殺に関する保護措置を取り、製品の保持・輸送を禁じている。2008年のIWC年次会議にはEU議長国としてスロベニアが代表して発言を行うなど、共通のポジションを取っている。
ラテン・アメリカでは、日本側はカリブ諸国やニカラグア、パナマ、ベリーズなどに対してIWC加入を勧奨し、これら諸国は当初捕鯨支持国であった。しかし、ブラジル・アルゼンチン・チリといった主要ラテンアメリカ諸国(いずれも反捕鯨国)の唱導によって、ラテンアメリカ諸国は国連における表決と同様、地域ブロックとして共通の投票行動(この場合、反捕鯨)をとるようになり、反捕鯨国となっている[18][19][20]。
内陸国(モンゴル・ラオス・マリ・オーストリア・サンマリノ・スイス・スロバキア・チェコ・ハンガリー・ルクセンブルク)も加盟している。
新規加盟国
ルーマニア(反捕鯨・2008年4月加盟)
タンザニア(捕鯨支持・2008年6月加盟)
エリトリア(捕鯨支持・2008年9月加盟)
リトアニア(反捕鯨・2008年11月加盟)
エストニア(反捕鯨・2009年1月加盟)
ポーランド(反捕鯨・2009年4月加盟)
ガーナ(捕鯨支持・2009年7月加盟)
ドミニカ共和国(反捕鯨・2009年7月加盟)
ブルガリア(反捕鯨・2009年8月加盟)
コロンビア(反捕鯨・2011年8月加盟)
サントメ・プリンシペ(捕鯨支持・2018年5月加盟)
リベリア(捕鯨支持・2018年8月加盟)
勧奨活動
但しこれに対してカリブ諸国の一つであるドミニカの環境・計画・農水大臣で当時本問題を主管していたアサートン・マーチンは反捕鯨団体であるドミニカ自然保護協会(Dominica Conservation Association - DCA)の会長でもあったが、日本がODAによる漁業施設建設工事と引き換えに自国票を買収したと非難する発言を繰り返しており、2007年に訪日した際も、こうした日本の行動を「新たな植民地主義である」と主張している(マーチン発言ビデオ映像。3分50秒以降)。
このほか、グレナダでは、日本政府がグレナダ政府に対してIWCに関する資金を拠出していた旨を確認する文書が2005年に発見されている ⇒(グレナダ政府財務省発出文書)[リンク切れ]。また、この文書の存在を伝えた豪州公共放送「ABC」の番組中、ソロモン諸島の元水産専務次官で10年間IWC代表を務めたアルベルト・ワタ (Albert Wata) は、「日本は当国政府の分担金を払っている。日本は会議への代表団もサポートしている。会議への航空運賃とか日当の形でだ[22]」と語り、ワタの後IWC代表を受け継いだネルソン・カイル (Nelson Kile) 元水産相も同様に「日本が当国の会費を払っていた。はっきりしたことは確かではないが、おそらく10年間ぐらいだったと思う[23]」と証言している ⇒(豪州国営放送局ABC特集番組「Four Corners」)[リンク切れ]。