なお、投票勧奨活動と関連して、日本は「全てのメンバー国が自由に意志を表示できるよう ⇒[17][リンク切れ]」無記名投票制を主張し、2006年までしばしば導入提案を行っていた。これに対しては透明性に問題が生じる、オーフス条約の趣旨に反するなどの批判があり、議長選出などを除いて採用されていない[28]。
その後、2007年2月に東京で開かれたIWC正常化に関する会合(後述)でも検討され、少なくとも現時点では秘密投票を目的とするのを再検討すべきであり、評決は避け、コンセンサスによる合意を図るべきであるなどの見解が、同正常化会合のワーキンググループから提示され、この旨が正常化会合議長総括として、2007年の年次会合総会に報告されている[29]。これを受けて2007年のIWC年次会合では、日本側は秘密投票の案件等に対する表決の要請を取り止めている。 2018年9月10日から14日の国際捕鯨委員会(IWC)第67回総会において、日本が鯨類の保護・持続的利用の両立と立場の異なる加盟国の共存を図るとして提案したIWC改革案について、持続的利用支持国が「これがIWC機能回復のための適切な対応である」などと支持したが、反捕鯨国は「商業捕鯨につながるいかなる提案も認めない」「IWCは保護のみを目的に「進化」しており、モラトリアムの解除は一切認められない」などとして、強硬に反対し、賛成27・反対41・棄権2で否決された[30]。これを受けて「政府・自民党内ではIWC脱退論まで浮上」という報道もされたが[31]、その後の状況について、日本国政府の公式発表はなかった。 2018年(平成30年)12月20日になって報道機関は、政府関係者が明らかにしたという形で一斉に脱退方針の決定を報道した[32][33][34]。 日本国政府は、正式に12月25日の閣議で、国際捕鯨取締条約からの脱退を決定し、26日に正式に脱退通知を行い[6][35]、菅義偉は内閣官房長官談話として公式に発表した[36]。これにより、2019年(令和元年)6月30日に国際捕鯨委員会を脱退し、7月1日から商業捕鯨を再開させた[37]。 脱退後も日本は国際的な海洋生物資源の管理に協力していくという考えに変わりはない、としてIWCにオブザーバーとして参加し[38]、IWCと共同で「北太平洋鯨類目視調査」を引き続き実施している[39][40][41]。 IWCの財政は多額の資金を拠出していた日本の脱退により急速に悪化した[42]。2022年(令和4年)にスロベニアで開催された総会で財政問題について、以後2年間の収支を均衡させる予算案が採択された[43]。 主管は水産庁であり、資源管理部国際課捕鯨班を中心として水産庁内での事実上の政策決定が行われている。 IWCは外交問題に関係することから、外務省漁業室も政策決定に参与しているが、その役割は副次的なものである。国としての一貫した方針を表明しなければならない必要があることから表面化することはないものの、外務省という立場上対外的な関係を重視することもあり、政策方針については水産庁側とは相当の温度差があり、こうしたことはまれにオフレコで表明されることがある[44]。なお2008年11月、外務省参与で元副報道官の谷口智彦は、豪州紙に「捕鯨業を守ることは日本の国益にはならない」と公言し、内外の波紋を呼んだ[45]。 1987年より島一雄が10年以上にわたり首席代表 (Commissioner) を務めた後、2000年からは森本稔
日本の脱退
日本政府代表の構成・政策決定等
主管省庁
日本政府首席代表および代理
捕鯨管理枠組
商業捕鯨捕獲枠の算定
シロナガスクジラ単位 (BWU)
IWC設立当時における最大の捕鯨漁場は南極海であり、IWCはこの海域での総捕獲枠について、1971/72年漁期まで「シロナガスクジラ単位(Blue Whale Unit: BWU)」という基準で規制を行っていた。これは、シロナガスクジラ1頭を1BWUとし、1頭あたりの鯨油生産量を基準にナガスクジラは2頭、ザトウクジラは2.5頭、イワシクジラは6頭を、それぞれ1BWUと換算するというもので、もともとはIWC以前の1932年に鯨油の生産調整の目的で用いられ始めた。