設立当初から1970年代半ばまでは、加盟国はおよそ十数カ国で推移していた。主要加盟国は、ノルウェー、英国、日本、ソ連、オランダなど南極海捕鯨操業国、デンマーク、オーストラリア、米国、カナダなど沿岸捕鯨操業国であった。
1970年代後半期より、加入国が急激に増加し、1980年代には40カ国前後がIWC加盟国となった。これは、ペルーなどIWC非加盟捕鯨操業国及び非捕鯨国に対して米国などから加盟が強く促されたことによる。捕鯨国に親和的な票を投じていたカナダは81年に脱退を通告し[11]、反捕鯨国がIWCにおいて付表改正に必要な4分の3以上の多数を占め、鯨類資源に関する科学的不確実性を理由として1982年に商業捕鯨モラトリアムが採択されるに至った。
その後捕鯨国としては1992年にアイスランドが脱退し[12]、加盟国は40カ国程度で推移していたところ、2000年代より再び加入国が相次いだ。1999年の年次会合後の記者会見において、亀谷博昭農水政務次官は捕鯨賛同国を増やすために漁業振興などを目的にした政府開発援助を活用する方針を表明し(日本経済新聞6月3日付朝刊/朝日新聞6月3日付朝刊)、以降日本側とEU諸国等反捕鯨国との間で加入の勧奨が相互に行われたためである。この結果、加盟国が84カ国へと1990年代に比べて倍増している。
日本側の積極的な招致活動により、2006年にセントクリストファー・ネイビスで開催された年次会合において、商業捕鯨モラトリアムはもはや不必要であるとする決議案を賛成多数において採択することに成功した ⇒[12]。
しかしながら、後述のように当初捕鯨支持として加入した一部中南米諸国が反捕鯨側での投票行動をとるようになったこと、EU加盟各国が新たに反捕鯨国としてIWCにも相当数が加盟したこと、さらには捕鯨を支持するアフリカ諸国の一部が分担金の不払いにより投票権を失っていること等によって、2007年年次会合ではIWC内での勢力比は反捕鯨国側に傾くこととなった。但し、日本側も2008年3月にアフリカ、アジア大洋州の加盟検討国他12カ国を招請して東京で会合を開くなど、引き続き新規加盟の勧奨を続けていた[13]。
加盟国と勢力分布青色で塗られた国が加盟国
加盟国は88か国(2019年7月現在)。反捕鯨国が優勢となっている。年次会合における各国の投票行動を下に示す([13]
[14] を基に作成した)。代表団は、捕鯨支持国代表では水産問題担当官庁、反捕鯨国では環境問題担当官庁が中心となって構成される傾向が見受けられる。反捕鯨:イスラエル、インド
アフリカ:20 (捕鯨支持17、中間派2、反捕鯨1)
捕鯨支持:エリトリア、ガーナ、カメルーン、ガンビア、ギニア、ギニアビサウ、コートジボワール、コンゴ共和国、サントメ・プリンシペ、セネガル、タンザニア、トーゴ、ベナン、マリ、モーリタニア、モロッコ、リベリア
反捕鯨:南アフリカ
オセアニア:8 (捕鯨支持5、中間派1、反捕鯨2)
反捕鯨:オーストラリア、ニュージーランド
ヨーロッパ:32 (捕鯨支持3、中間派1、反捕鯨28)
中間派:デンマーク
反捕鯨:アイルランド、イギリス、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、キプロス、ギリシャ、クロアチア、サンマリノ、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、チェコ、ドイツ、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、モナコ、リトアニア、ルクセンブルク、ルーマニア
北アメリカ:1 (反捕鯨1)
反捕鯨:アメリカ合衆国
カリブ諸国:6 (捕鯨支持5、不明1)
捕鯨支持:アンティグア・バーブーダ、グレナダ、セントヴィンセント・グレナディーン、セントクリストファー・ネイビス、セントルシア
不明:ドミニカ国[15]
中央・南アメリカ:15 (捕鯨支持1、反捕鯨14)
捕鯨支持:スリナム
反捕鯨:アルゼンチン、ウルグアイ、エクアドル、グアテマラ、コスタリカ、コロンビア、チリ、ドミニカ共和国、ニカラグア、パナマ、ブラジル、ベリーズ、ペルー、メキシコ
総計:88(捕鯨支持36、中間派3、反捕鯨50、不明1)
上記のとおり、地域ごとに捕鯨支持・反捕鯨の勢力比が大きく異なっている。
アジア、アフリカ、オセアニアの各地域では、捕鯨支持国が優勢である。
EU諸国(27か国中25か国がIWCに加盟。マルタ、ラトビアが未加盟)は、デンマーク[16]を除き、全て反捕鯨の立場である。