国語国字問題
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常用漢字表に示される簡略化された字体を、常用漢字表外の漢字に適用するかどうか、国語審議会答申の常用漢字表前文では「当面、特定の方向を示さず、各分野における慎重な検討にまつこととした」[17]とし、国語審議会としての判断を保留した。前述の「83JIS」は簡略字体を常用漢字表外の漢字へと拡張しており(拡張新字体)、一般の書籍における漢字字体と情報機器の出力字体との間で乖離を生んでいた。また一部には「83JIS」の字体を積極的に採用する動きも出版界にあった。

このため、常用漢字表外の漢字字体に混乱が生じているとして、国語審議会が「字体選択のよりどころ」として一定の方針を示すことになったのが、「表外漢字字体表」(2000年(平成12年)12月最終答申)である[18]

表外漢字字体表では、実際の印刷物に使われている表外漢字を調査した結果、表外漢字の代表的なものとして1022字を挙げ、それらについておおむねいわゆる康熙字典体に準じた「印刷標準字体」を示した。うち22字については俗字体・略字体等を「簡易慣用字体」とし、示偏食偏之繞(しんにょう)の略字体(?・?・.mw-parser-output .cjkext{font-family:"源ノ角ゴシック JP Normal","Noto Sans CJK JP DemiLight","ヒラギノ角ゴ 簡体中文 W3","ヒラギノ角ゴ 簡体中文","Hiragino Sans GB W3","Hiragino Sans GB","STHeiti SC","STHeitiSC-Medium","Microsoft YaHei","Droid Sans Fallback","Han-Nom Gothic","SimSun-ExtB","BabelStone Han","Nom Na Tong","WenQuanYi Zen Hei","和田研中丸ゴシック2004絵文字","和田研細丸ゴシック2004絵文字","YOzFont","DFSongStd","HAN NOM A","Sun-ExtA","Code2000","HAN NOM B","Sun-ExtB","花園明朝 A Regular",HanaMinAX,"花園明朝 B Regular","花園明朝 C Regular","花園明朝 C",HanaMinBX,"花園明朝A","花園明朝B",HanaMinA,HanaMinB}.mw-parser-output .cjkext-A{font-family:"源ノ角ゴシック","Noto Sans CJK JP","STHeiti SC","STHeitiSC-Medium","Microsoft YaHei","BabelStone Han","Droid Sans Fallback","Adobe Heiti Std R","Adobe Heiti Std","Han-Nom Gothic","DFSongStd","WenQuanYi Zen Hei","HAN NOM A","Sun-ExtA","Code2000","花園明朝 A Regular","花園明朝 A",HanaMinAX,"FZKaiS-Extended","CJK統合漢字拡張A","花園明朝A",HanaMinA}.mw-parser-output .cjkext-B{font-family:"SimSun-ExtB","HAN NOM B","Sun-ExtB","BabelStone Han","花園明朝 B Regular","花園明朝 B",HanaMinBX,"FZKaiS-Extended(SIP)","CJK統合漢字拡張B","花園明朝B",HanaMinB}.mw-parser-output .cjkext-C{font-family:"花園明朝 C Regular","花園明朝 C","CJK統合漢字拡張C",gw061889,"Sun-ExtB","花園明朝 B Regular","花園明朝 B",HanaMinBX,"和田研中丸ゴシック2004絵文字",WadaLabChuMaruGo2004Emoji,"和田研細丸ゴシック2004絵文字",WadaLabMaruGo2004Emoji,"BabelStone Han","FZKaiS-Extended(SIP)","UKai-ExtC","花園明朝B",HanaMinB}.mw-parser-output .cjkext-D{font-family:"花園明朝 C Regular","花園明朝 C","BabelStone Han","UCS-ALL-EXTD",gw936381,"花園明朝 B Regular","花園明朝 B",HanaMinBX,"Sun-ExtB","FZKaiS-Extended(SIP)","花園明朝B",HanaMinB}.mw-parser-output .cjkext-E{font-family:"花園明朝 C Regular","花園明朝 C","UCS-ALL-EXTE",gw1289725,"花園明朝B","HanaMinB","BabelStone Han"}.mw-parser-output .cjkext-F{font-family:"花園明朝 C Regular","花園明朝 C","UCS-ALL-EXTF","花園明朝B","HanaMinB","BabelStone Han"}.mw-parser-output .cjkext-G{font-family:"UCS-ALL-EXTF","BabelStone Han"}.mw-parser-output .cjkext-stroke{font-family:"源ノ角ゴシック JP Normal","Noto Sans CJK JP DemiLight","和田研中丸ゴシック2004絵文字","和田研細丸ゴシック2004絵文字","BabelStone Han","MingLiU","MingLiU_HKSCS",Code2000,"Sun-ExtA","花園明朝 A Regular","花園明朝 A",HanaMinAX,"花園明朝A",HanaMinA}.mw-parser-output .cjkext-radical{font-family:"源ノ角ゴシック JP Normal","Noto Sans CJK JP DemiLight","ヒラギノ角ゴ 簡体中文 W3","ヒラギノ角ゴ 簡体中文","Hiragino Sans GB W3","Hiragino Sans GB","BabelStone Han","Nom Na Tong","HAN NOM A","Sun-ExtA","花園明朝 A Regular","花園明朝 A",HanaMinAX,"YOzFont","和田研中丸ゴシック2004絵文字","和田研細丸ゴシック2004絵文字",Code2000,"花園明朝A","HanaMinA","FZKaiS-Extended"}.mw-parser-output .cjkext-ci{font-family:"源ノ角ゴシック JP Normal","Noto Sans CJK JP DemiLight","Droid Sans Fallback","Arial Unicode MS","BabelStone Han","DFSongStd","花園明朝 A Regular","花園明朝 A",HanaMinAX,Code2000,"CJK互換漢字","花園明朝A",HanaMinA}.mw-parser-output .cjkext-cis{font-family:"HAN NOM B","CJK互換漢字補助","Sun-ExtB","花園明朝 B Regular","花園明朝 B",HanaMinBX,"花園明朝A",HanaMinA}.mw-parser-output .cjkext-20bb7{font-family:"源真ゴシック Regular","源ノ角ゴシック Normal","源ノ角ゴシック JP Normal","Noto Sans CJK JP DemiLight","ヒラギノ角ゴ Pro W3","ヒラギノ角ゴ Pro","Hiragino Kaku Gothic Pro","メイリオ","Meiryo UI","A-OTF 新ゴ Pr5 R","A-OTF 新ゴ Pr6N R","小塚ゴシック Pr6N M","小塚ゴシック Pro M","VL Pゴシック","Migu 1P","IPAmj明朝","BabelStone Han","HAN NOM B","和田研中丸ゴシック2004ARIB","和田研中丸ゴシック2004絵文字","和田研細丸ゴシック2004ARIB","和田研細丸ゴシック2004絵文字","YOzFont","Sun-ExtB","花園明朝 B Regular",HanaMinBX}?)を許容字体とした(3部首許容)が、常用漢字表外の漢字については、伝統的な字体(?・𩙿・?)を本則とする方針が示された。

表外漢字字体表では、常用漢字のほかに2000年(平成12年)時点での人名用漢字についても対象外となっており、その時点の人名用漢字別表の字体を標準とすることになっている。また、1990年(平成2年)に人名用漢字に追加された「(つくりの者に点がない)曙」や「(1点しんにょう〈⻌〉の)蓮」についても同じ理由でそのままの字体が標準となり、「(つくりの者に点がある)曙」や「(2点しんにょう〈⻍〉の)蓮」は標準とはなっていない。これらの漢字は2004年(平成16年)のJIS X 0213改正でもそのままになっている。一方、2004年(平成16年)に人名用漢字に追加された「堵」や「逢」は表外漢字字体表の対象となっている漢字なので、それぞれつくりが者の中に点があるものと2点しんにょうのものが印刷標準字体となっており、2004年(平成16年)のJIS X 0213改正でも例示字形が印刷標準字体に整合するように改正されている。字体を検討する上で注意を要する。
マスメディアにおける熟語の交ぜ書き・書き換えの減少

当用漢字制定による熟語の「交ぜ書き」「書き換え」表記については、使用が強制されていたわけではなく、随筆小説などの文学作品ではほとんど用いられていなかった。しかし新聞社通信社放送局などの報道機関は、日本新聞協会の取り決めなどにより、熟語の「交ぜ書き」「書き換え」による代用表記を多用した。新聞社が交ぜ書き表記を使用する主な理由としては、活版印刷ではルビ(振り仮名)を振ると組版コストが増大するため、漢字制限がコスト低減に役立つという理由があった。また、新聞各社は当用漢字の実施と同時にルビを廃止している。漢字の字数も読みも制限されていれば振り仮名は不要という考えからである。

そのため、新聞やテレビなどのニュース報道では「けん銃」「だ捕」「ら致」「破たん」「補てん」などと交ぜ書きの表記が多用されていた[19]

しかし、「交ぜ書き」は日本語として成立しにくい事や不評がある事により、日本新聞協会加盟社の用語担当者からなる集まりで、新聞紙上における用字用語について懇談する「新聞用語懇談会」では2000年(平成12年)12月の『表外漢字字体表』の答申と前後して、交ぜ書きの減少を検討した。

その後刊行された『記者ハンドブック 新聞用字用語集』では使用する漢字が増やされる傾向にある。それまでは交ぜ書きにされていた「危惧(きぐ)」、「蜂起」、「冥福」などが漢字で表記されるようになった。また、ルビを復活させた新聞もある。この傾向は新聞以外のマスメディアでも同様であり、公共放送NHKでも『NHK新用字用語辞典』において、交ぜ書きを減らしている。

2020年代に入って新型コロナウイルスの「まん延(蔓延)」や、電力需給ひっ迫警報の「ひっ迫(逼迫)」といった用語が頻出するようになったため、交ぜ書きを減少すべきか再び議論になっている[20]

児童文学・小学校教科書の世界では強い漢字制限がかけられており、習っていない漢字は見せない、書かないという教育が続いているが、むしろルビを使うべきでありマンガやゲームのほうがよほど漢字の勉強になるという批判もある[21]。「新聞常用漢字表」も参照
JIS X 0213:2004

表外漢字字体表は、一部においてJIS漢字の例示字形とはなはだしい異同があったが、2004年(平成16年)にJIS X 0213が改正され、例示字形を表外漢字字体表に整合させた。これによりコンピュータについても、印刷標準字体に沿った字形を標準とする環境に移行しつつある。

2007年(平成19年)には各種オペレーティングシステムで使われるフォントが相次いでJIS X 0213:2004例示字形に対応した。マイクロソフトが発売したWindows Vistaでは、標準搭載日本語フォント(メイリオMS ゴシックMS 明朝)の字形をJIS X 0213:2004の例示字形とした。Vistaと後継のWindows 7には、旧来の字形を採用した「JIS90 互換 MS ゴシック・明朝フォントパッケージ」が用意されている。Appleは、Mac OS X v10.5発売に際して、JIS X 0213:2004の例示字形を標準とした日本語フォントヒラギノ ProN/StdNを新たに追加した。引き続き従来のヒラギノ Pro/Stdも附属する。情報処理推進機構は、無償公開しているIPAフォントの字形をVer.2からJIS X 0213:2004準拠とした。IPAフォントはLinuxなどオープンソースソフトウェアを含めプラットフォームを問わず誰でも無償で利用できる公共フォントと位置付けられている。
2004年の人名漢字追加

上記、JIS X 0213:2004の改正と前後して、法務省が2004年(平成16年)に行った人名用漢字の変更(追加等)も、おおむね印刷標準字体によって行われた(「芦」「阪」「堺」など例外もある)。
2010年の常用漢字改定

2010年(平成22年)に常用漢字が改定された。特徴としては、漢字の廃止や節減という動きと決別するように多くの漢字が追加されたことが挙げられる。一般名詞や代名詞などで幅広く使われていた漢字のみならず、前述の交ぜ書きを防ぐための漢字も追加された。また実生活上では初等教育から読み書きする必要があるにもかかわらず、これまで含まれていなかった都道府県名などに使われる漢字が追加された。

なお、新潟県の「潟」は1981年にすでに常用漢字に追加されている[22]

字形については、前述の表外漢字字体表の字形を参照し、JIS X 0213:2004の例示字形に合わせた文字を追加した。
日本語学との関係

在来の国語学においては、明治以来の国語国字問題の種々の論議を学問的領域から尽く除外するものもあれば、領域の一種として音声論や文法論と同列に位置づけて取り扱ったり、「知識の応用部面」として国語学の延長のごとく取り扱ったりなど、利用の仕方は様々であった[1]


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