国語国字問題
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札幌高等裁判所において、「常用平易な文字」であるのに人名用漢字別表に含まれないために子供の名として使用できなかったことを不服とした裁判で訴えが認められた[16]ことも要因の一つか、2004年(平成16年)9月27日付で488文字が追加された。当初は578文字の追加が見込まれていたが、世論を受けて人名にふさわしくない漢字(怨・痔・屍など)が削除された。
漢字廃止批判と漢字仮名交じり前提論

当用漢字は、漢字全廃を目的としたものとしてしばしば批判されている。[誰によって?]

1958年(昭和33年)から雑誌『聲』に連載された『私の國語ヘ室』で福田恆存は、すでに漢字制限は不可能であることが明らかになっていると指摘した。1961年(昭和36年)には表音主義者が多数を占め、毎回同じ委員が選出される構造となっていた国語審議会の総会から、舟橋聖一塩田良平宇野精一山岸徳平ら、改革反対派の委員が退場する事件となった。

1962年(昭和37年)、国語審議会の委員に選出された吉田富三は、審議する立場を「国語は、漢字仮名交りを以て、その表記の正則とする。国語審議会は、この前提の下に、国語の改善を審議するものである」と規定することを提案した。

1965年(昭和40年)、森戸辰男・国語審議会会長は記者会見で、「漢字仮名交じり文が審議の前提。漢字全廃は考えられない」と述べた。

1966年(昭和41年)、総会の際中村梅吉文部大臣は「当然のことながら国語の表記は、漢字仮名交じり文によることを前提と」すると挨拶した。
現代かなづかい・現代仮名遣い詳細は「歴史的仮名遣」および「現代仮名遣い」を参照

歴史的仮名遣を基に、1946年(昭和21年)11月16日に告示され現代の音韻に基づいて改変したのが「現代かなづかい」である[13]

「現代かなづかい」はもともと、表音式仮名遣いへ移行するまでの繋ぎとして考えられていた。しかし仮名遣いの完全な表音化は不可能であり、「現代かなづかい」はそのまま定着した。1986年(昭和61年)7月1日に内閣から告示された「現代仮名遣い」はそうした状況の追認であるといえる。従って、現在の「現代仮名遣い」は中途半端な形のまま、さまざまな矛盾を抱えている。

助詞の「」「」「」においては、発音と表記文字が異なり、歴史的仮名遣いの原則が維持されている。

和語においては、「鼻血」は「はな」と「」の合成語であるので形態素を意識した「はなぢ」と表記する。

漢語においては、すべて「」「」を用い、「」「」は用いない。「融通」を「ゆうずう」と表記するのもそのためである。また「地面」を「じめん」とするのが正則なのは、「地」は元々濁った「ヂ」(これは呉音、漢音はチ)の音読みを持っていたが、漢語の「ぢ、づ」はすべて「じ、ず」に書き換えることになっているからで、「地(ち)」が連濁しているわけではない。

常用漢字とJIS

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当用漢字から常用漢字へ詳細は「常用漢字」を参照

常用漢字は、1981年(昭和56年)に内閣から告示された漢字表に掲載された漢字1945字(常用漢字一覧参照)を指す。当用漢字表を基に制定されたものであるが、常用漢字は、当用漢字と比べて制限の緩い「目安」という位置付けになっている。

漢字をめぐるこうした政府の動きと前後して、JIS規格も、コンピュータなどで用いる漢字について、その漢字の種類(文字集合)と、各漢字をデータとして処理する際の数値表現(文字コード)の規格を独自に定める試みを続けてきた。

このうち、前者「文字集合」は常用漢字などと同じく、おびただしい数の漢字の中から一定数の漢字を取り出したもので、俗に「JIS漢字」と呼ばれる。2012年(平成24年)までに4回の改正が行われている。

最初のものは1978年(昭和53年)にJIS C 6226-1978で指定された6802字の文字群である。この規格は「78JIS」などと呼ばれる。1983年(昭和58年)には常用漢字の制定を受けて、JIS C 6226 の大幅改正が行われ、6877字の文字(非漢字を含む)が指定された。「83JIS」などと呼ばれる。1987年(昭和62年)に「JIS X 0208」と改称され、1990年(平成2年)には細かい例示字形変更と2字の追加が行われた。以降、1997年(平成9年)と2010年(平成12年)にもJIS X 0208の細かい改定が行われたが、これは直接「文字集合」の変更をするものではなかった。(以上の内容についてはJIS X 0208に詳しい)

83JISへの移行によって、300字近くもの例示字形が変更された。78JIS準拠の機器で作成された文書が、83JIS移行のJIS準拠の機器で字体が変わってしまうといった問題が指摘された。特に問題とされたのは伝統的字体(いわゆる康熙字典体)から簡略字体に変更されたものであった。78JISで「.mw-parser-output .jis2004font{font-family:"源ノ角ゴシック JP Normal","源ノ角ゴシック JP","Source Han Sans Normal","Source Han Sans","NotoSansJP-DemiLight","Noto Sans CJK JP DemiLight","ヒラギノ角ゴ ProN W3","ヒラギノ角ゴ ProN","Hiragino Kaku Gothic ProN","メイリオ",Meiryo,"新ゴ Pr6N R","A-OTF 新ゴ Pr6N R","小塚ゴシック Pr6N M","IPAexゴシック","Takaoゴシック","XANO明朝U32","XANO明朝","和田研中丸ゴシック2004絵文字","和田研中丸ゴシック2004ARIB","和田研中丸ゴシック2004P4","和田研細丸ゴシック2004絵文字","和田研細丸ゴシック2004ARIB","和田研細丸ゴシック2004P4","和田研細丸ゴシックProN",YOzFont04,"IPA Pゴシック","Yu Gothic UI","Meiryo UI","MS Pゴシック";font-feature-settings:"jp04"1}?、?」と示された文字が「鴎、蝋」となり、前者の字形は83JIS以降のJIS X 0208の範囲では事実上扱えなくなった。檜と桧、藪と薮など22組の符号位置が交換された。

JISの文字集合では、「包摂」の考え方によって新旧の字体を区別せず、一つの文字として扱っているものがあり、両者を区別したい場合にも区別できないという問題がある。その一方、「剣」「劒」「劍」や「鉄」「鐵」「銕」「鐡」のように、異体字にそれぞれ割り当てられている字もある。
表外漢字字体表ウィクショナリーに関連の辞書項目があります。Wiktionary:表外漢字字体表の漢字一覧

表外漢字字体表の漢字一覧については、別項目「表外漢字字体表の漢字一覧」を参照のこと。

1980年代(昭和55年 - 平成元年)半ば以降、かな漢字変換を実現したワードプロセッサコンピュータといった情報機器の普及は、それまで専ら手書きに頼っていた日本語の記述に大きな変化をもたらした。手書きと違って情報機器の漢字変換機能においては、画数の少ない漢字も多い漢字も記す手間は同じであり、使用者がその文字を知っていれば使えるようになった。例えば「驚愕」「愕然」「吃驚」「仰天」「びっくり」のいずれも、情報機器で記す手間は手書きほどの違いはない。それにより常用漢字外の漢字の使用環境が改善され、それまで減少の一途をたどっていた漢字の使用率が平衡あるいは増加に転じるようになった。

常用漢字表に示される簡略化された字体を、常用漢字表外の漢字に適用するかどうか、国語審議会答申の常用漢字表前文では「当面、特定の方向を示さず、各分野における慎重な検討にまつこととした」[17]とし、国語審議会としての判断を保留した。前述の「83JIS」は簡略字体を常用漢字表外の漢字へと拡張しており(拡張新字体)、一般の書籍における漢字字体と情報機器の出力字体との間で乖離を生んでいた。また一部には「83JIS」の字体を積極的に採用する動きも出版界にあった。

このため、常用漢字表外の漢字字体に混乱が生じているとして、国語審議会が「字体選択のよりどころ」として一定の方針を示すことになったのが、「表外漢字字体表」(2000年(平成12年)12月最終答申)である[18]

表外漢字字体表では、実際の印刷物に使われている表外漢字を調査した結果、表外漢字の代表的なものとして1022字を挙げ、それらについておおむねいわゆる康熙字典体に準じた「印刷標準字体」を示した。うち22字については俗字体・略字体等を「簡易慣用字体」とし、示偏食偏之繞(しんにょう)の略字体(?・?・.mw-parser-output .cjkext{font-family:"源ノ角ゴシック JP Normal","Noto Sans CJK JP DemiLight","ヒラギノ角ゴ 簡体中文 W3","ヒラギノ角ゴ 簡体中文","Hiragino Sans GB W3","Hiragino Sans GB","STHeiti SC","STHeitiSC-Medium","Microsoft YaHei","Droid Sans Fallback","Han-Nom Gothic","SimSun-ExtB","BabelStone Han","Nom Na Tong","WenQuanYi Zen Hei","和田研中丸ゴシック2004絵文字","和田研細丸ゴシック2004絵文字","YOzFont","DFSongStd","HAN NOM A","Sun-ExtA","Code2000","HAN NOM B","Sun-ExtB","花園明朝 A Regular",HanaMinAX,"花園明朝 B Regular","花園明朝 C Regular","花園明朝 C",HanaMinBX,"花園明朝A","花園明朝B",HanaMinA,HanaMinB}.mw-parser-output .cjkext-A{font-family:"源ノ角ゴシック","Noto Sans CJK JP","STHeiti SC","STHeitiSC-Medium","Microsoft YaHei","BabelStone Han","Droid Sans Fallback","Adobe Heiti Std R","Adobe Heiti Std","Han-Nom Gothic","DFSongStd","WenQuanYi Zen Hei","HAN NOM A","Sun-ExtA","Code2000","花園明朝 A Regular","花園明朝 A",HanaMinAX,"FZKaiS-Extended","CJK統合漢字拡張A","花園明朝A",HanaMinA}.mw-parser-output .cjkext-B{font-family:"SimSun-ExtB","HAN NOM B","Sun-ExtB","BabelStone Han","花園明朝 B Regular","花園明朝 B",HanaMinBX,"FZKaiS-Extended(SIP)","CJK統合漢字拡張B","花園明朝B",HanaMinB}.mw-parser-output .cjkext-C{font-family:"花園明朝 C Regular","花園明朝 C","CJK統合漢字拡張C",gw061889,"Sun-ExtB","花園明朝 B Regular","花園明朝 B",HanaMinBX,"和田研中丸ゴシック2004絵文字",WadaLabChuMaruGo2004Emoji,"和田研細丸ゴシック2004絵文字",WadaLabMaruGo2004Emoji,"BabelStone Han","FZKaiS-Extended(SIP)","UKai-ExtC","花園明朝B",HanaMinB}.mw-parser-output .cjkext-D{font-family:"花園明朝 C Regular","花園明朝 C","BabelStone Han","UCS-ALL-EXTD",gw936381,"花園明朝 B Regular","花園明朝 B",HanaMinBX,"Sun-ExtB","FZKaiS-Extended(SIP)","花園明朝B",HanaMinB}.mw-parser-output .cjkext-E{font-family:"花園明朝 C Regular","花園明朝 C","UCS-ALL-EXTE",gw1289725,"花園明朝B","HanaMinB","BabelStone Han"}.mw-parser-output .cjkext-F{font-family:"花園明朝 C Regular","花園明朝 C","UCS-ALL-EXTF","花園明朝B","HanaMinB","BabelStone Han"}.mw-parser-output .cjkext-G{font-family:"UCS-ALL-EXTF","BabelStone Han"}.mw-parser-output .cjkext-stroke{font-family:"源ノ角ゴシック JP Normal","Noto Sans CJK JP DemiLight","和田研中丸ゴシック2004絵文字","和田研細丸ゴシック2004絵文字","BabelStone Han","MingLiU","MingLiU_HKSCS",Code2000,"Sun-ExtA","花園明朝 A Regular","花園明朝 A",HanaMinAX,"花園明朝A",HanaMinA}.mw-parser-output .cjkext-radical{font-family:"源ノ角ゴシック JP Normal","Noto Sans CJK JP DemiLight","ヒラギノ角ゴ 簡体中文 W3","ヒラギノ角ゴ 簡体中文","Hiragino Sans GB W3","Hiragino Sans GB","BabelStone Han","Nom Na Tong","HAN NOM A","Sun-ExtA","花園明朝 A Regular","花園明朝 A",HanaMinAX,"YOzFont","和田研中丸ゴシック2004絵文字","和田研細丸ゴシック2004絵文字",Code2000,"花園明朝A","HanaMinA","FZKaiS-Extended"}.mw-parser-output .cjkext-ci{font-family:"源ノ角ゴシック JP Normal","Noto Sans CJK JP DemiLight","Droid Sans Fallback","Arial Unicode MS","BabelStone Han","DFSongStd","花園明朝 A Regular","花園明朝 A",HanaMinAX,Code2000,"CJK互換漢字","花園明朝A",HanaMinA}.mw-parser-output .cjkext-cis{font-family:"HAN NOM B","CJK互換漢字補助","Sun-ExtB","花園明朝 B Regular","花園明朝 B",HanaMinBX,"花園明朝A",HanaMinA}.mw-parser-output .cjkext-20bb7{font-family:"源真ゴシック Regular","源ノ角ゴシック Normal","源ノ角ゴシック JP Normal","Noto Sans CJK JP DemiLight","ヒラギノ角ゴ Pro W3","ヒラギノ角ゴ Pro","Hiragino Kaku Gothic Pro","メイリオ","Meiryo UI","A-OTF 新ゴ Pr5 R","A-OTF 新ゴ Pr6N R","小塚ゴシック Pr6N M","小塚ゴシック Pro M","VL Pゴシック","Migu 1P","IPAmj明朝","BabelStone Han","HAN NOM B","和田研中丸ゴシック2004ARIB","和田研中丸ゴシック2004絵文字","和田研細丸ゴシック2004ARIB","和田研細丸ゴシック2004絵文字","YOzFont","Sun-ExtB","花園明朝 B Regular",HanaMinBX}?)を許容字体とした(3部首許容)が、常用漢字表外の漢字については、伝統的な字体(?・𩙿・?)を本則とする方針が示された。


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