国立西洋美術館は、1959年(昭和34年)に発足・開館した、西洋美術全般を対象とする美術館としては日本で唯一の国立美術館である[3]。実業家松方幸次郎が20世紀初めにヨーロッパで収集した印象派などの19世紀から20世紀前半の絵画・彫刻を中心とする松方コレクションがコレクションの基礎となっている[3]。松方コレクションは第二次世界大戦後、フランス政府により敵国資産として差し押さえられていたが、コレクションを収蔵する美術館を新たに設置することを条件として返還されることとなり、当館が建設された。
本館の設計はル・コルビュジエが担当し、彼の弟子である前川國男・坂倉準三・吉阪隆正が実施設計・監理に協力し完成した。コルビュジエによる設計の建築物としては、日本で唯一のものである[4]。なお新館は前川國男(前川國男建築設計事務所)が設計した。
本館は、1998年(平成10年)に旧建設省による公共建築百選に選定[5]。2003年にはDOCOMOMO JAPAN選定 日本におけるモダン・ムーブメントの建築に選定され、2007年(平成19年)には「国立西洋美術館本館」として国の重要文化財に指定された[6][4]。また、前庭・園地は、2009年(平成21年)に「国立西洋美術館園地」として国の登録記念物(名勝地関係)に登録されている[7]。
開館後は松方コレクションに加えて中世末期・ルネサンス期以降、20世紀初頭までの西洋絵画・彫刻作品の購入を進め、常設展示している[3]。なかでも西洋のオールド・マスター(18世紀以前の画家)たちの作品を見ることができる美術館として、日本有数の存在である。「西美(せいび)」の略称で呼ばれることもある。
2023年(令和5年)3月17日、川崎重工業株式会社との間でオフィシャルパートナー契約を締結した[8]。
沿革モネ『睡蓮』1916年ルノワール『アルジェリア風のパリの女たち』1872年ロダン『考える人』ロダン『地獄の門』カレーの市民
開館まで
松方コレクション「松方コレクション」も参照
川崎造船所(現・川崎重工業)社長を務めた実業家松方幸次郎(1865 - 1950年)は、1916年(大正5年)に商用でヨーロッパに渡った際、美術品の収集を始めた[9][10]。
松方が集めた多数の西洋美術品のうち、千数百点は1928年から1940年にかけて日本国内で売りたてられ、散逸した[11]。