国立大学法人
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《表の注記》^ 存続法人の国立大学法人名古屋大学を母体に設立。
^ 存続法人の国立大学法人帯広畜産大学を母体に設立。
^ 存続法人の国立大学法人奈良女子大学を母体に設立。


2018年12月25日名古屋大学岐阜大学の国立2大学法人は、両法人を統合することについて、合意書を締結[10][11]2020年度にも「国立大学法人東海国立大学機構」を新設し、傘下に両大学が入ることで、経営の効率化と研究・教育分野の強化を目指すことが発表された[12][13]。2020年4月1日、名古屋大学と岐阜大学の国立2大学法人を統合することを規定した「学校教育法等の一部を改正する法律(令和元年5月24日法律第11号)」が施行され、「国立大学法人東海国立大学機構」が設置された。


2018年5月29日小樽商科大学帯広畜産大学北見工業大学の国立3大学法人は、2022年4月に「国立大学法人北海道連合大学機構(仮称)」を新設し統合することについて、基本合意書を締結[14][15][16]。その後、2020年3月4日に3大学が法人統合に関してまとめた中間報告により、新法人名を「国立大学法人北海道国立大学機構」とし、その本部を帯広市内に置くことが決まった[17]。この統合のための法案は、奈良教育大学奈良女子大学の統合と合わせ、2021年3月2日に「国立大学法人法の一部を改正する法律案」として閣議決定[18]。この法案は2021年4月22日に衆議院で、5月14日に参議院で可決[19]され、5月21日に法律第41号として公布された。施行は2022年4月1日。


2018年7月27日奈良教育大学奈良女子大学の国立2大学法人は、2021年度に「国立大学法人奈良(仮称)」を新設し、統合することについて、合意書を締結[20][21]。また、2021年3月2日に国立大学法人法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、両大学を置く統合新法人を「国立大学法人奈良国立大学機構」とすることが決まった[22]。法案の審議経緯、公布施行は上記、小樽商科大学帯広畜産大学北見工業大学の法人統合を参照。


2019年3月29日静岡大学浜松医科大学の国立2大学法人は、2022年度に「国立大学法人静岡国立大学機構(仮称)」を新設すること、並びに新法人の傘下となる両大学を静岡地区大学、浜松地区大学の2大学に再編することについて、合意書を締結[23][24]
両大学の統合再編には、強い反対の動きもある。統合再編が他の統合事例とは異なり、法人統合のみならず大学(特に静岡大学の2分割)を伴い、地元(静岡市)の理解を得られる前に推進している事から、静岡地区の教員・学生を中心に強い反対運動が起きている。ただし、静岡大学においても法人の統合自体には反対の動きはない。両大学の法人統合は、具体的には、(1) 浜松市にある静岡大学浜松キャンパス(工学部、情報学部)と浜松医科大学を浜松地区大学、(2) 静岡市にある静岡大学静岡キャンパス(人文社会科学部、教育学部、農学部、理学部)を静岡地区大学、と名称することである。しかしながら、この大学機構(アンブレラ方式)発足については大学内部からの教職員の反対署名・請願が多数出された[25]ほか、2019年8月に学生から合意の説明を求める1000名を超える署名が出された[26]。また、2019年8月には静岡市議会が超党派で反対を文部科学省に申し入れる[27]など、反対の動きが活発化しており、今後、波乱が予想されるとの指摘もある[28]。反対の動きは、静岡大学の静岡キャンパスを中心としたものだが、同大の浜松キャンパスでは、新大学の大学名称をめぐって、対立がある。大学名として有力とされる「浜松医工学科大学」が採用された場合、静岡大学情報学部は、情報学部の存在感が薄れてしまうことを懸念し、「もし決定されるようなことがあれば、大学統合への参加を見直すことも辞さない覚悟」として、2019年7月に情報学部情報社会学科が反対決議を出したほか、情報学部の学生有志も438名の反対署名を同大学長に提出した[29][30][31][32]。さらに、2019年9月30日の静岡市議会本会議では、両大学の法人統合・再編について、静岡市の田辺信宏市長が、「大学の統合再編については、地元自治体の十分な理解を得て進めることが最も重要」という文部科学省の通知(2019年7月12日)を根拠として、「静大の取り組みは不十分な状況にあるといわざるを得ない」と答弁し、大学の説明不足を批判した。田辺市長は、同答弁で、静岡大の石井潔学長から、「(市に)ゼロベースでの議論をお願いしたいと申し出があった」とも明らかにした[33][34]

2022年8月9日東京医科歯科大学東京工業大学の国立2大学法人は、統合に向けて協議を開始することを発表した[35]。実現すれば、初めての指定国立大学同士の統合となる[36]。同年10月14日、両法人は、それぞれの法人及び大学を統合して(アンブレラ方式の統合でなく)1法人1大学とする点で合意に達し、2024(令和6)年度中を目途として可能な限り早期の法人統合及び大学統合を目指すこと、そのために合同の「統合準備委員会」(委員長は両法人の長が共同で就任)を設置することなどを内容とする基本合意書を締結した[37]。国立大学間における1法人1大学とする統合は、実現すれば2007年の国立大学法人大阪大学と国立大学法人大阪外国語大学の統合以来のこととなる。
2023年1月19日、統合後の新大学名称を「東京科学大学」とすることが公表された[38]。これにより2024年10月1日より新法人の名称は「国立大学法人東京科学大学」とすることとなった。なお、統合の形式については、国立大学法人東京工業大学を国立大学法人東京科学大学に改称し、国立大学法人東京医科歯科大学を吸収合併する形で行われる。
法人化の問題点

国立大学の法人化に際して国からの支援が縮小されることや、運営に国の管理が行き届かなくなることが懸念された。

平成27年に国立大学協会がまとめた国立大学法人の直面する問題点としては、運営費交付金、附属病院、施設整備費補助金、寄付金税制、競争的資金、制度・規制の6項目が取り上げられている。

運営費交付金が法人化後11年間で12%減少した一方、消費税、電気料金、電子ジャーナル料などで諸経費が高騰し、常勤教職員の減少、教員の多忙化による論文数の停滞、学長裁量経費の確保も困難となる悪影響が顕著に出たこと、私立大学とは異なる税制上の扱いのため、寄付金額が伸び悩んでいること、競争的資金の使い勝手の向上が必要といったことが示された[39]

佐和隆光滋賀大学学長時に、科学・学術研究の国際競争力が低下したこと、運営費交付金が毎年1%減額されるために、教員人件費の徹底的な節約を実施したことにより、教育の質の低下が起きたこと、外部資金の獲得競争では東京大学の一人勝ちが続くなど、大学間格差が拡大したことを指摘している[40]

学研の2013年の「国立大学法人化」特集記事は、入試ではこれまで国立大学協会の決定が尊重されていたが、法人化により各大学の裁量が増えた後は、京都大学の入試で後期日程が廃止されたことや、国立大学協会の通知にもかかわらずセンター試験の「地歴・公民」での4単位科目の選択指定が一部大学に留まったことなどを挙げ、受験生にとっては法人化が入試の複雑化・混乱を生じたというマイナス面を指摘している[41]。同記事は、少子化を背景に国立大学の統廃合が避けられないことと相俟って、将来的には法人化を通じて大学は数種の類型に機能分化(種別化)していくと予想する。

研究費調達は各大学の自助努力が求められるようになったため、寄付を募るなど運営が私立大学に近いものになってきている。
国立大学法人運営費交付金の推移(2004年度 - )

毎年政府から交付される運営費交付金は、毎年、前年度比1%削減という効率化係数が適用されて、漸減することとなっている(右のグラフも参照)。


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