国民新聞
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特色國民新聞の題字
国民文学欄

1908年(明治41年)10月1日より「国民文学」欄が開設された。競合紙『日本』で正岡子規の後を受けて俳句を担当していた虚子こと高浜清が部長、高浜の退社後は嶋田青峰が担当した。「日本 (新聞)#文学欄」および「嶋田青峰#教師から新聞記者へ」も参照

公平さを旨とし、片上天弦や霹靂火(千葉亀雄、江東)が評論を担当したほか、夏目漱石の門人安倍能成小宮豊隆、詩人の東草水らも拠った。連載小説では、徳田秋声が『新世帯』(1909年(明治42年)10月16日-12月6日)、上田敏が『渦巻』(1911年(明治44年)1月1日-3月2日)を発表したほか、高浜自身2作を発表した。また、森?外イプセン『ジョン・ガブリエル・ボルクマン』の訳を発表をしたのも国民文学欄においてであった。

しかし、高浜は『ホトトギス』の編集と発行に専念するため、1911年(明治44年)秋ごろに編集を退いた。その後は嶋田が、ホトトギス誌の編集の傍ら一人で欄を仕切る一方、高浜の個人商店『俳諧堂』に共同経営者として関わるなどしていた。1926年(大正15年)、嶋田は自ら立ち上げに協力した同人誌『土上』の主宰者になった。詳細は「嶋田青峰#『土上』と新興俳句」および「ホトトギス (雑誌)#戦前」を参照
プロ野球大東京軍

1936年(昭和11年)、親会社の新愛知新聞社が現在の中日ドラゴンズの源流となる名古屋軍(大日本野球連盟名古屋協会)を結成して職業野球に進出したのに呼応し、国民新聞も大東京軍(大日本野球連盟東京協会)を結成した。この際に主幹の田中斉が両球団の専務に就いたが、同系列の名古屋軍で副会長に就任した新愛知支配人の大島一郎が大東京軍の監査役に就任したのを始め、國民新聞に出向していた大島一衛(戦後に東京新聞社理事・営業局長)および新愛知社外から名古屋軍会長に迎えられた弁護士大野正直が大東京軍の取締役に就くなど2球団の役職を掛け持ちする者が多く、連盟の運営会議では新愛知の競合紙であった名古屋新聞を親会社とする名古屋金鯱軍マネージャーの赤嶺昌志からこの体制を問題視する意見が出された[1][注 1]。「中日ドラゴンズ#戦前」および「赤嶺旋風#赤嶺による中日の球団運営」も参照

しかし、不採算のため國民新聞は春のシーズン終了後に職業野球から撤退し、親会社の新愛知を含めた2球団掛け持ち体制は1年で終了した。その後は共同印刷専務の大橋松雄が大東京軍の資本を引き受け、夏のシーズンから「ライオン歯磨本舗」の名で営業していた小林商店(現在のライオン株式会社)をスポンサーに付けて「ライオン軍」と改称。同年暮に大橋の依頼で共同出資者となっていた田村駒治郎がチームを買い取ることとなり、戦後の松竹ロビンス(現・横浜DeNAベイスターズ)に繋がった。なお、大東京軍創設時に常務となった当社元社会部長鈴木龍二は、その後も1リーグ制時代の日本野球連盟会長など、プロ野球界で長く要職を務めることになる。詳細は「松竹ロビンス#戦前」および「田村駒治郎#プロ野球オーナーとして」を参照「鈴木龍二#経歴」および「田村駒#沿革」も参照
その他の「國民新聞」

以上のとおり、徳富蘇峰創刊による『國民新聞』は現在の『東京新聞』であり、旧『國民新聞』に関する事業が他に譲渡されたことを示す資料はない。しかし、『東京新聞』に合併された後に『國民新聞』を名乗って発行された新聞が他にも存在する。

確認されているのは、1958年(昭和33年)「創刊」[2]のもの(発行:國民新聞社、発行形態:旬刊、出版地:八幡)、1966年(昭和41年)民友社版を「復刊」と称するもの(発行:國民新聞社、発行形態:旬刊、出版地:東京)[注 2]1972年(昭和47年)創刊のもの(発行:國民新聞社、発行形態:月刊、出版地:東京)がある。なお、1972年創刊のものは、公式ホームページでは「明治23年 徳富蘇峰創刊」としているものの、上記のとおり歴史的に受け継いでいるのは『東京新聞』であり、徳富とは全く無関係である。また、葛飾区議会議員の鈴木信行が率いる日本国民党の機関紙が『しんぶん国民』である[3]
國民新聞社の人物

伊東ハンニ - 第2代社長。

大石光之助 - 蘇峰の書生から当社に入社。1928年(昭和3年)静岡民友新聞へ移籍し総支配人、1942年(昭和17年)静岡新聞創刊と同時に初代社長。

大島一衛 - 新愛知から出向して営業局長。戦後、東京新聞社理事・工務局長などを歴任。孫の大島宇一郎は現・中日新聞社社長。

河西豊太郎 - 副社長。東京電燈(現・東京電力ホールディングス)取締役を兼務した。

唐島基智三 - 1928年入社。編集局長から東京新聞論説委員長、NHK解説委員と移りNHK G国会討論会』初代司会を務めた。


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