国民大会
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そのため、国民からは「万年国会」と揶揄されていた[1]。詳細は「動員戡乱時期自由地区中央公職人員増選補選弁法(中国語版)」および「台湾における中華民国国会の全面改選(中国語版)」を参照

2000年(民国89年)、国民大会は非常設の機関とされ、2005年(民国94年)6月の「中華民国憲法増修条文」の改正によって、国民大会の権限はほかの機関に移行または国民に直接付与され、国民大会は組織自体が「凍結」された。

なお、国民大会が「廃止」されていないのは、「中華民国憲法増修条文」は有効期限(国家統一前)付きの限定された改憲(加憲)であり、「中華民国憲法」の本文が変更されていないことによるものである。そのため、「国民大会組織法」「国民大会職権行使法」「国民大会同意権行使法」などの法律が廃止されていないことから、国民大会凍結後の2012年3月に開かれた第8期立法院では、台湾団結連盟が以上三法の廃止案を提出したが、会期不継続の原則のため、審議未了のまま廃案となった。

台湾では、国民大会秘書処の建物は西門町付近に現存し、中華路の道路の対面(西門町寄り)から外見を見ることができる。
成立背景

孫文は中華民国憲法を構想するに当たって、政府機能を政権と治権に分化させ、国民は選挙罷免、創制(国民発案)、複決(国民投票)の4種の政権を行使できるものとした。そして治権は五院(行政院立法院司法院監察院考試院)が行使し、国民に必要な協力を提供するものと定めた。その中で政府、領土主権を監督し、憲法改正等の中央政権は国民大会が行使するとされ、国民大会は憲法上五院の上に置かれた。これにより国民は選挙により選出された国民大会代表を通じて中央機関での政権を行使し、政府の治権を掌握し、これにより政権と治権の均衡を実現すると同時に、政府による国民の権利と利益に対する侵害を防止すると同時に、政府が提供するあらゆる機能を享受できるものと定められた。
凍結前の権限

中華民国憲法(1947年、南京)に定める国民大会の職権は下記の通り:
総統及び副総統の選挙

総統及び副総統の罷免

憲法改正

立法院が提出する憲法修正案の議決

その後国民大会の職権は数度にわたり修正された。憲法増補条文第1条第2項の規定は下記の通り:
立法院が提出する憲法修正案を議決する

立法院が提出する領土変更案を議決する

立法院が提出する総統、副総統の弾劾案を議決する

国民大会が2005年(民国94年)に凍結された後、上記の職権は立法院、司法院大法官会議(司法院憲法法庭(中国語版))、公民投票(国民投票)に移管された。
国民大会の集会

国民大会の集会は憲法規定に依拠し、総統任期完了90日前に召集され、また別に第30条の規定により臨時に召集されることがある。しかし国民政府が1949年(民国38年)に台湾に移転してからは、大陸から移った第1回国民大会代表は改選を行うことが不可能となったため無期限にその任期が延長され、「万年代表」と揶揄されることもあった。

2000年(民国89年)4月25日公布の中華民国憲法増修条文では第3回国民大会代表の任期を2000年5月19日までとし、その後の国民大会の組織は下記の通りに改編された。

国民大会代表の定員を300名とする。

立法院より憲法修正案、領土変更案、総統・副総統弾劾案が提出された際は、3ヶ月以内に選挙により選出される。

選挙方式は比例代表方式とし、選挙結果判明後10日以内に集会が召集される。

集会期間は最長1ヶ月とし、代表就任期間は集会期間と同一とする。

職権は立法院が提出した憲法修正案、領土変更案、総統・副総統弾劾案の議決とする。

歴代の会期

歴代の国民大会の会期
会期別法定任期実際の任期会議選挙定員備考
第1期任期6年
後に無期限に変更1948年3月27日?1991年12月31日8回の定期会議、2回の臨時会議1947年選挙
(中国語版)2,961中国大陸で行われた唯一の選挙。台湾省選出の国大代表は19人。
政府遷台後に台湾に到着した国大代表は1,578人。
1991年末の任期満了まで在職した国大代表は565人。
1969年増選選挙15福建省を除く台湾地区で実施。選出された国大代表の任期は1947年の国大代表選挙で選出された国大代表と同一。
1972年第1次増額選挙53任期6年。台湾地区からの増額代表を選出する選挙。米中国交正常化などの影響で最終的に任期は8年に延長。
1980年第2次増額選挙76任期6年。台湾地区からの増額代表を選出する選挙。
1986年第3次増額選挙(中国語版)84任期6年。台湾地区からの増額代表を選出する選挙。任期満了は1992年。
第2期1992年1月1日?1996年5月19日
李登輝の6年の総統任期と同一化)1992年1月1日?1996年5月19日1回の定期会議、4回の臨時会議1991年選挙(中国語版)325動員戡乱時期臨時条款廃止と中華民国憲法増修条文制定による国民大会の全面改選が実現。1947年選挙で選出された「万年議員」と1969年増選選挙で選出された国大代表が引退。1992年末までは1986年増額選挙で選出された増額代表が留任。
第3期4年1996年5月20日?2000年5月19日5回の定期会議1996年選挙(中国語版)334
任務型(第4期)1ヶ月2005年5月20日?2005年6月7日1回の定期会議2005年選挙[2]300凍結前では最後となる選挙

歴代国大代表の任期
歴代の集会

期次回次会期議題国大代表開催場所
第1期
(中国語版)第1回会議(中国語版)1948年3月29日 ? 5月1日動員戡乱時期臨時条款の制定
総統選挙 (?介石李宗仁)1947年(中国語版)国民大会堂(中国語版)南京市(中国語版)
第2回会議1954年2月19日 ? 3月25日動員戡乱時期臨時条款の効力延長
李宗仁(副総統)の弾劾
総統選挙 (?介石、陳誠)中山堂台北市
第3回会議1960年2月20日 ? 3月25日動員戡乱時期臨時条款の改正(総統の3選禁止規定を凍結)
総統選挙 (?介石、陳誠)
第1回臨時会議1966年2月1日 ? 2月8日動員戡乱時期臨時条款の改正
中華民国憲法の改正の是非を諮問(憲政検討委員会憲法草案(中国語版))
第4回会議1966年2月19日 ? 3月25日動員戡乱時期臨時条款の改正
総統選挙 (?介石、厳家淦)
第5回会議1972年2月20日 ? 3月25日動員戡乱時期臨時条款の改正
総統選挙 (?介石、厳家淦)1947年、1969年(英語版)中山楼
第6回会議1978年2月19日 ? 3月25日総統選挙 (?経国謝東閔)1947年、1969年、1972年(英語版)
第7回会議1984年2月20日 ? 3月25日総統選挙 (?経国、李登輝)1947年、1969年、1980年(英語版)
第8回会議1990年2月19日 ? 3月30日総統選挙 (李登輝、李元簇)1947年、1969年、1986年(中国語版、英語版)
第2回臨時会議1991年4月8日 ? 4月24日動員戡乱時期臨時条款の廃止
中華民国憲法増修条文の制定
第2期(中国語版)第1回会議1992年3月20日 ? 5月30日中華民国憲法増修条文の改正
総統・副総統の選出権限を放棄1986年(中国語版、英語版)、1991年(中国語版)
第2回会議1992年 - 1993年12月25日 ? 1月30日
第3回会議1993年4月9日 ? 4月30日1991年
第4回会議1994年5月2日 ? 9月2日中華民国憲法増修条文の改正
1996年総統選挙自由地区での直接選挙に移行
第5回会議1995年7月11日 ? 8月17日
第3期(中国語版)第1回会議1996年7月7日 ? 8月30日1996年(中国語版)
第2回会議1997年5月5日 ? 7月23日中華民国憲法増修条文の改正
第3回第1次会議1998年7月21日 ? 8月10日
第3回第2次会議1998年 - 1999年12月7日 ? 1月25日
第4回会議1999年6月8日 ? 9月3日中華民国憲法増修条文の改正(後に無効宣告)
第5回会議2000年4月8日 ? 5月19日中華民国憲法増修条文の改正
第4期国民大会代表選挙(中国語版)の中止を決定
第4期(任務型)第1回会議2005年5月30日 ? 6月7日中華民国憲法増修条文の改正
国民大会の機能停止(=事実上の廃止)を決定2005年

憲法改正

第1回国民大会第1次会議は憲法修正を目的とし、1948年(民国37年)4月18日に「動員戡乱時期臨時条款」を採択し、同年国民政府により憲法に優先する内容として公布・施行された。国民政府の台湾移転後、憲法の有効性及び国民大会の存在意義を疑問視する声があがり、1991年(民国80年)に万年代表であった第1回国民大会代表の退職が決定し、同時に新しい国民大会代表選挙及び憲法改正作業に着手した。その後、国民大会は1991年、1992年1994年1997年1999年2000年と6回にわたる憲法改正を実施している。1991年(民国80年)4月、第1回国民大会第2次臨時会議において加憲の方法により中華民国憲法増修条文11条を制定し、両岸分裂の事実を確認。5月1日、動員戡乱時期臨時条款を廃止1992年(民国81年)、監察委員を総統の指名に変更1994年(民国83年)、総統の中華民国自由地区住民における直接選挙実施を決定[3]、「原住民」の名称を憲法で定める[4]


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