ドイツ法の国庫理論は、明治時代の日本にも影響を与えた。「国庫」との用語は種々の法令にも登場するが、日本法上の「国庫」概念について、同理論によることを否定し、日本法上は「国家財産が帰属する国家唯一の擬制的な倉庫」として定義すべきとの見解も示されたが、やがて国庫理論を基礎として財産権の主体としての国家を指す概念として理解されるようになった。 現在の法治国家においては、公権力の主体としての国家もまた法の下にあり、あらゆる権利侵害は裁判所による救済の対象とされていることから、「公権力の主体としての国家」と「財産権の主体としての国家」(国庫)の区別は本来的な意義を失っている。 現在の日本においては、今でも法令において財産権の主体としての国家(この場合は日本国)を指すものとして国庫の語が用いられる例は多い(憲法49条、民法239条2項など)が、端的に「国」の語を用いることも多い(憲法17条、会計法34条2項など)。 典拠管理データベース: 国立図書館
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注釈^ 「公権力の主体としての国家」も「財産権の主体としての国家」も、国家という一つの法人格の両側面に過ぎず、国庫それ自体が国家とは別に独立の法人格を有するわけではない。
^ (司法裁判所ではなく)行政裁判所が管轄する公法に属する事項に関する裁判手続のこと。
出典^ 本段落の記述につき、"Fiscus" in Jowitt's Dictionary of English Law (3rd Ed.)
^ 秋山義昭「西ドイツ行政裁判所法に於ける一般概括主義と行政裁判所の管轄権(1)」北大法学論集18巻3号173頁及びその引用文献
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