国家
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この時代までの国家は領土と領民を君主の私物と見なすいわゆる家産国家であり、その側面は絶対主義の成立によってさらに強まったものの[8]、17世紀末からはイギリスの名誉革命フランス革命と言った市民革命をきっかけとして一部の民族が国民化していき[9]、主権国家と結合して18世紀ごろにヨーロッパにおいて国民国家が出現した[10]。ウェストファリア体制は当初ヨーロッパのみの国際秩序であったが、19世紀後半になるとアメリカや日本といった他地域の大国がこの秩序に参入する一方で、大国は帝国主義を掲げてアジアやアフリカの多くの地域を植民地化し、この体制は世界的なものとなった[11]。さらに20世紀後半になるとこれら植民地が相次いで独立し、国家の数が大幅に増大した[12]。20世紀後半以降は、1961年に発効した南極条約によって領土権を凍結された南緯60度以南の南極大陸およびその属島[13]を除く、地球上のすべての陸地がいずれかの主権国家によって領有されている。一方、20世紀に入ると国際連盟国際連合といった超国家的な国際機関が創設されるようになった[14]
法学上の定義

法学政治学においては、以下の「国家の三要素」を持つものを「国家」とする。これは、ドイツの法学者・国家学者であるゲオルク・イェリネックの学説に基づくものであるが、今日では、一般に国際法上の「国家」の承認要件として認められている。
国家の三要素

領域(Staatsgebiet:領土、領水、領空)- 一定に区画されている。

人民(Staatsvolk:国民、住民)- 恒久的に属し、一時の好悪で脱したり復したりはしない。

権力(Staatsgewalt)ないし主権- 正統な物理的実力のことである。この実力は、対外的・対内的に排他的に行使できなければならない、つまり、主権的(souveran)でなければならない。

この3つが三要素とされる[15]。モデルにおいては、国家とは、権力が領域と人民を内外の干渉を許さず統治する存在であると捉えられているのである。領域に対する権力を領土高権(Gebietshoheit)、人民に対する権力を対人高権(Personalhoheit)という。国際法上、これらの三要素を有するものは国家として認められるが、満たさないものは国家として認められない。この場合、認めるか認めないかを実際に判断するのは他の国家なので、他国からの承認を第4の要素に挙げる場合もある[16]モンテビデオ条約の項目および国家の資格要件も参照のこと)。
国家の資格要件「国家の資格要件」も参照

国際法上国家と言えるか否かについて、モンテビデオ条約第1条には以下のように定められた[17]。日本語訳:国際法上の人格としての国はその要件として、(a)永続的住民、(b)明確な領域、(c)政府、及び、(d)他国と関係を取り結ぶ能力を備えなければならない[18]
英語原文:The state as a person of international law should possess the following qualifications: a ) a permanent population; b ) a defined territory; c ) government; and d) capacity to enter into relations with the other states.[19] ? モンテビデオ条約第1条

実際には、この条件を完全には満たさない国家もいくつか存在している。例えば、モナコは長らくフランスの保護下にあり、2005年のフランス・モナコ友好協力条約によって制限が緩和されるまで、外交にはフランスの承認が必要だった。また条約改定後も、モナコの防衛はフランスの責任となっている[20]。また、自由連合の形態を取る国家では、防衛権など主権の一部を他国に委ねることになっている。このため、自由連合は独立国家と非独立状態の中間的な形態と見なされており[21]、とくに外交権を委任しているニュージーランドの自由連合を国家承認する国家は少ない[22]。アメリカはミクロネシア連邦マーシャル諸島パラオの3カ国と個別に自由連合盟約を結んでおり、これらの国から防衛権を委ねられている[23][24][25]


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