国家社会主義ドイツ労働者党
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ヒトラーは党名について「民族的 national」とは「民族全体に対する無限のあらゆるものを包む愛情、必要とあればそのために命をも投げ出すこと」、「社会主義的 sozialistische」 とは「民族同胞のための労働という倫理義務」、「労働者 Arbeiter」とは「体を使って働かない人」に対して「体を使って働く人」、「労働を軽視するユダヤ人に対して労働を恥じないゲルマン人」を意味すると説明した[33]。一般にナチス、ナチ党、ナチス党などと呼ばれる(詳細は#名称を参照)。

日本では、国家社会主義ドイツ労働者党[34]、国民社会主義ドイツ労働者党、民族社会主義ドイツ労働者党というように少なくとも3つの訳が通用しており、それぞれ少しずつニュアンスが異なってくる[35]。また、国粋社会主義ドイツ労働者党などとも訳される(詳細は訳語参照)。

1919年1月に前身のドイツ労働者党(DAP)が設立され、1920年に改称した。1921年に第一議長に就任したアドルフ・ヒトラーは、党内でフューラー(独:Fuhrer、指導者、総統)と呼ばれるようになり、指導者原理に基づくカリスマ的支配を確立していった。

結党以来長らく野党であったが、1929年世界恐慌以降国民の社会不安を背景に支持を拡大し、1932年7月の国会選挙国会の第一党となった。

1933年1月30日にヒトラーが首相に任命されたことで政権与党となり(ナチ党の権力掌握ナチス・ドイツ成立)、一党独裁体制を敷いたが、1945年第二次世界大戦の敗戦(欧州戦線における終戦 (第二次世界大戦)#ドイツの降伏)で事実上消滅し、被占領中に連合国によって禁止(非合法化)された(連合軍軍政期 (ドイツ)非ナチ化)。
名称
正式名称

前身の党は「ドイツ労働者党」(ドイツ語: Deutsche Arbeiterpartei)であったが、1920年党の実力者となったヒトラーが改名を主張し、ルドルフ・ユング(英語版)がオーストリアの「ドイツ国民社会主義労働者党」(Deutsche Nationalsozialistische Arbeiterpartei)の命名パターンに従うことを要求した。討議の結果、「Nationalsozialistische Deutsche Arbeiterpartei (ナツィオナールゾツィアリスティシェ・ドイチェ・アルバイターパルタイ)」の党名が採用された。2月22日付のビラアントン・ドレクスラーがこの党名を使用し、2月末に正式に党名変更されたが、党書記が使用し始めたのは4月18日になってからであった[36]
略称

「ナチ(Nazi、ナーツィ)」という略称は「Nationalsozialist」を短く縮めたものであり、「Sozialist」(対立党派であるドイツ社会民主党員および社会主義者)の略語である「ゾチ(Sozi、ゾーツィ)」との類推で造られた[37][38]。「ナチス(Nazis、ナーツィス)」は複数形である。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}元来はヴァイマル共和政時代に対立する党派がナチ党員および国民社会主義者に蔑称として付けたものである。[要出典]したがって、映画などの創作で、ナチ党員が自らを「ナチ」や「ナチス」と呼ぶのは本来は誤りであり、[要出典]実際には党名の略称である「NSDAP(エンエスデーアーペー)」、「NS(エンエス)」、或いは単に「Partei(パルタイ)」と呼び、党員同士は「党同志」を意味する「Parteigenosse(パルタイゲノッセ)」、もしくはその略語「PG(ペーゲー)」、「同志」を意味する「Kamerad(カメラート)」などと呼び合った。[要出典]

しかし、ナチスという呼称はドイツ国外でも戦前から広まっており、党の通称として反対・賛成する勢力を問わず広く用いられた[36]。日本でもナチおよびナチスの呼称が当時から使用されている[注釈 1]。現在は他の非ドイツ語圏でもナチス・ドイツなどの呼称が広く使用されており、ドイツ語にも同様の「Nazi-Deutschland」などの用語もあるが、分断時代の西ドイツにおいても「NSDAP」などの呼び方が一般的であり、ナチスの名称はほとんど用いられなかった[36]。また上述のNSを接頭語にして、例えばドイツ歴史博物館(英語版)が運営する生きている博物館オンライン(ドイツ語版)(LeMO)では、1933年から1939年の時代を指し示す用語として「NS-Regime、(エンエス・レジーム)」、党の指導者を示す用語として「NS-Fuhrung、(エンエス・フュールング)」などの造語が用いられている[40]
訳語「ナチズム#呼称」および「国家社会主義」も参照

邦訳は、「Nationalsozialismus」の「National」の解釈の違いにより「国民社会主義ドイツ労働者党[41][注釈 2]」のほか、「国家社会主義[42]」、「国粋社会主義[43]」なども使用される。日本の高校歴史教科書では「国民- 」とするのが主流となっている[44]。同様に、同党が掲げた主義思想も「国民- 」[45]、「民族- 」などの訳語が使用されている。

略称の日本語訳は、「ナチス」の他、戦前・戦中は「国粋社会党[46]」「国民社会党[47]」なども使用された。

また「Arbeiterpartei」の部分について「労働者党」ではなく「労働党」と訳す例もある[48]

教育史学者の小峰総一郎によると、「?nationalsozialistisch“?の訳語として『民族社会主義の』『国家社会主義の』も誤りではないが、近年では『国民社会主義党(ナチ党)の』『ナチズムの』『ナチスの』のように、ヒトラーの『ナチ党』(=『国民社会主義ドイツ労働者党』 Nationalsozialistische Deutsche Arbeiter Partei <NSDAP>)を表す簡明な表現が一般的となっている。」と形容詞表現の用法について述べた[49]

なお中国語では「民族社會主義コ意志工人黨」[注釈 3]や「國家社會主義コ意志工人黨」[注釈 4]や「國家社會主義コ國工人黨」[注釈 5]など。略称は「納粹黨」[注釈 6]。最初「Nazi」は上海語の発音に基づいて「南尖」([no t?i])と訳していたが、後に当時駐在ドイツ武官を務めていた国民革命軍少将の?悌が「納粹」と訳した。「納粹」([n?̂ ts?wê?])は「Nazi」([?na?tsi])という音を表すとともに、「精粋を納める」という意味を表す。


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