国家元首
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一般に大統領は議会の法案への拒否権を持つが、法案の提出権はない[注 3]。また閣僚の任免権を有する。閣僚は一般的に、国会議員との兼任はできない。議会の勢力が、大統領派の与党で占められている場合には強大なリーダーシップを発揮できるが、野党が多数派になった場合には厳しい議会運営が強いられる。

大統領が行政を総攬し、首相を置かない場合:アメリカ合衆国、フィリピン共和国など。

大統領とは別に首相が置かれ、首相は大統領の補佐役として行政の実務を担当する場合:大韓民国中華民国台湾)がこれにあたる。正式には、前者は国務総理、後者は行政院長と呼ばれる。韓国の国務総理は国会議員である必要はなく、大統領を補佐しその命を受け行政機関を統括し国務会議(日本の内閣に相当)の副議長を務める。

例外として、首長国による連邦制国家であるアラブ首長国連邦は各国首長から選出する独自の大統領制を導入している。

半大統領制国家の国家元首

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議会が選出する首相・内閣と、国民が直接選挙で選ぶ大統領(国家元首)が併存する体制[13]。行政権の主体は大統領と首相(内閣)にあることが多く、内閣の首班たる首相は議会の承認を得て大統領に任命される。大統領は議会と独立した存在でその任期中は地位、身分を保障され、首相の任免権を通じて実質的に法案提出権を行使する。このように内閣は議会に責任を持ち、議院内閣制の枠組みが取り入れられているが、同時に大統領に対しても責任を負っている。大統領は議会解散権や法案拒否権、大統領令の発布など議院内閣制と比べより強大な権限を有することが多い。

議会で大統領側の勢力が多数を占めれば、大統領は内閣を自由に組織し、内政でも強大なリーダーシップを発揮できるが、反対勢力が多数派を占めた場合は、反対勢力の党首に組閣を命じざるをえず、外交・国防は大統領、内政は反対勢力の首相が分担することとなる。このような状態をフランスではコアビタシオンと呼ぶ。

フランスやロシアの大統領や中華民国総統が、半大統領制に分類される[14]
議会共和制国家の国家元首

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議院内閣制を採用する共和国の大統領がこれにあたる。行政は議会に指名される首相に委ねられ、国家元首である大統領は国政の実権を有さない。憲法上、国家元首に期待される役割は、内閣の助言と承認に基づく首相を始めとする官吏の任免や、外国元首・外交官の接受といった儀礼的なものである。大統領は直接選挙で選出される場合と、それによらずに議会の投票により功績のある長老政治家が選出される場合などがある。これらの国の中には、オーストリア連邦大統領のように法律上は強力な権限を与えられているケースもあるが、そうした権限は長年の不行使により形骸化しており、実際には行使されないのが通例である。

インドイタリアアイルランドアイスランドギリシャの大統領、ドイツ連邦大統領オーストリア連邦大統領などが、これに分類される。

スイスでは、合議体である連邦参事会(内閣)が国家元首かつ政府の長とされているが、その7人の閣僚の中の1人が輪番制で就任する連邦大統領(任期1年)は、他国において通常、国家元首が果たす儀礼的な機能を果たしている。

スイスに類する例として、かつてのイングランド共和国においても、元首として護国卿が設置されるまでは、合議体である国務院(Council of State)が元首とされた。なお、国務院の議長は(枢密院議長と同じく)Lord President of the Councilと呼ばれたが、ここでいうpresidentは単に議長の意味である。
社会主義国の国家元首

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社会主義国の国家主席の権能は国によりまちまちであるが、通常は議会共和制国家における国家元首に相当する権能を有する[注 4]。国家主席自体は儀礼的な存在であり、実質的な最高指導者である共産党の党首(書記長総書記第一書記など)が兼任したり、長老幹部を礼遇するための名誉職として用いられたりするケースが多いが、元首の職権に実質的権限が付与されるケースとして、毛沢東劉少奇が就任した時代の中華人民共和国主席金日成時代の朝鮮民主主義人民共和国主席ミハイル・ゴルバチョフが就任したソビエト連邦大統領がある。ベトナムでは、最高指導者であるベトナム共産党書記長と元首であるベトナム社会主義共和国主席が分離することが慣例化しているものの[注 5]、同国の国家主席は憲法上はの統帥権を持っているため、全く無力な存在という訳ではない。なお、党中央が動揺する非常時に、儀礼的な国家元首が自らの判断で重要な権限を行使する例[注 6] がある。.mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}ベトナム社会主義共和国の憲法 第86条—国家主席は,国家元首であり,対内的及び対外的にベトナム社会主義共和国を代表する。中華人民共和国の憲法 第81条—中華人民共和国主席は、中華人民共和国を代表し、国事活動を行い......



現行の中華人民共和国憲法には一人で国家元首の規定がない。外交慣例上では国家主席は元首と同様の待遇を受けている。

ラオス人民民主共和国の憲法 第65条—国家主席は,ラオス人民民主共和国の国家元首であり,国内外において,多民族からなるラオス国民の代表者である。

他に社会主義国の特徴としては、正式には国家の最高決議機関の常設委員会に国家元首の権能が与えられ、その議長が代表して国家元首の権限を執行するケースが見られる[注 7]

北朝鮮の国家元首に関する規定は複雑であり、名目上の国家元首と実際の最高権力者が一致しない時期がある。

1948年から1972年までは、政治的実権は首相であった金日成にあったが、形式上は最高人民会議常任委員会委員長が元首であった。

1972年から1994年までは、金日成が朝鮮民主主義人民共和国主席として国家元首になったが、1994年に金日成が死去したことによって主席が空席となる。その後、1998年の憲法改正で金日成を「永遠の主席」と表記したことに伴い、主席は廃止された。そして、2009年に改訂された現行の朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法の序文でも、金日成を「永遠の主席」としている。

2009年までの国家元首は最高人民会議常任委員会委員長であった。1998年憲法第111条で「最高人民会議常任委員会委員長は、国家を代表し、外国の使臣の信任状、召還状を接受する」と規定されているからである。ただしこの職の権能は儀礼的な部分にとどまり、実際の最高権力は朝鮮労働党中央委員会総書記朝鮮民主主義人民共和国国防委員会委員長、朝鮮人民軍最高司令官の金正日が掌握していた[注 8]


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