国家元首
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「国家元首」の概念は、国家有機体説に発している。近代では、行政権の長として対外的代表権を持つ存在(人)、転じて、(行政権の長であるかないかは問わず)対外的代表権を持っている存在(人)を指して「元首」と呼ぶようになった [4]。しかし、行政権の長は「政府の長」と言われ、国家元首とは異なる概念であり、また条約法に関するウィーン条約第7条第2項(a)は、全権委任状がなくても当然に対外的に国を代表する存在として、元首、政府の長、外務大臣の3名を挙げており、「対外的代表権を持っている存在を指して元首と呼ぶ」というのは正確ではない。

社会契約説の国家観の下では社会的な委任契約における社会的人格の一つ[注 1]

君主制の国家では皇帝国王などの君主、共和制の国家では大統領が元首とされることが通例である。社会主義国では大統領の他、ベトナム国家主席やかつてのキューバ国家評議会議長ソ連最高会議幹部会議長東ドイツ国家評議会議長なども国家元首に該当する。

元首の資格を持つ者は通常は憲法で定められている[6]が、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}国家元首に関する規程を持たない国も少なくなく、そうした国での国家元首は慣習上のものである。各国の憲法により、国家元首が政治の実権を持つ場合も持たない場合もある。実権の有無、統治形態の違いにかかわらず、国家元首は国家の長としての特別な権威を持つべきだと考えられている[要出典]。しかし同時に自由主義、および国民主権の立場からそうした権威は不要であるとする考えもある[要出典]。

一般的に国家元首が置かれる場合、ひとつの国に一人とされるが、例外もいくつかある。

サンマリノ共和国では、2名の執政が元首

アンドラ公国では、フランス大統領ウルヘル司教が「共同元首」

スイスボスニア・ヘルツェゴビナでは、それぞれ合議体である連邦参事会大統領評議会が元首。

分類

以下の項目において国家元首の大まかな分類を行う。各国の憲法上の規定には差異があり、元首の機能も多種多様である。
君主制国家の国家元首
絶対君主制国家・専制君主制国家の元首

皇帝や国王のような君主が、強大な政治的権限を有している。君主は世襲であることがほとんどである。憲法を制定していない場合(絶対君主制国家)や、憲法を制定していても実際的には君主の大権が憲法を超越している場合(専制君主制国家)などがある。このような国家では、君主が富裕で国家から歳費を支給されていないことが多い。そのため、政府議会が歳費の支給を停止して、君主の権限である大権を制限させることができない。さらに、宣伝や教育によって君主による統治の正当化が行われている。

リヒテンシュタイン(侯)[注 2]は形式的には立憲君主制[7][8]の君主であるが、実際的には強大な権限を握っており、絶対君主制または専制君主制の典型であるといわれる。

アラビア半島所在の諸国(サウジアラビアアラブ首長国連邦を構成する7首長国オマーンカタールクウェート)のスルターンは、絶対君主制の君主の典型である。君主の下に行政の実務を担当する首相が置かれる場合もあるが、君主が首相を兼任していたり、君主の一族(皇太子など)が首相となっている場合も多く、こうした事例では事実上、首相の権限は君主大権の中に包括されている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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