国名
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マウリヤ朝は、当時マガダ王が支配していたが、王朝が帝国規模に拡大した時期でさえ、マガダ国が意味するのは、帝国規模に拡大する以前のガンジス川下流地方の地域名称だった[1]。正統カリフ時代やウマイヤ朝も国名はなかった。ウマイヤ王朝にとって国名に近い概念ではウンマ・イスラミーヤが挙げられるが、これは信徒の共同体の意味であり、ウマイヤ朝時代には王朝支配下の大多数の住民はイスラム教徒に改宗していなかったため、彼らはウンマには含まれなかった。国家という概念でdawlaを利用し始めるのは8世紀中頃からである[2]。ローマ帝国というポピュラーな事例でさえ、SPQRは厳密には国名ではなく、前2世紀頃急激に帝国規模に拡大した時期では、SPQRはローマ市民権を持つ市民共同体を意味し、現在「ローマ帝国」として認識されている概念に相当する言葉としては「Imperium Romanum」が利用されたが、これも国名ではなかった[3]。オスマン帝国に正式な国名「オスマン国」が制定されたのは1876年の憲法であり、それまで公文書では「至高の国家(デヴレヴィ・アリイエ)」が慣用的に利用されていた[4]。近世までの中国では中国の皇帝は特定の領域の君主ではなく「天下」の支配者であるという思想から(中華思想)、皇帝の支配地域を指す国名は存在しなかった。理念的には全世界が皇帝の支配地域で、朝廷直轄の地域・朝貢国の支配地域・朝貢していない国の支配地域があるだけである(当然「外国」との対等の国交も存在しない)。などという名称は国名ではなく王朝の名前として理解されている側面があったが、明清時代となると、国名として外交文書等で見られるようになる[注釈 1]
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 間宮林蔵述村上貞助編『東韃紀行』 ⇒国立公文書館デシタルアーカイブ 東韃地方紀行 中巻(文化八年(1811年)筆原本画像)の中ほどに間宮林蔵を接見した清朝役人が差し出した名刺の内容が記載されており、「大清国」と書かれている

出典^ 中村元『古代インド史上』p5-6
^ 佐藤次高『イスラームの王権と国家』p31?32
^ 本村凌二「帝国と支配-古代の遺産」『岩波講座 世界歴史〈5〉帝国と支配―古代の遺産』p9-10
^ 小笠原弘幸『オスマン帝国』p4

参考文献

中村元『古代インド史上』(中村元選集第五巻、春秋社、1963年

佐藤次高『イスラームの国家と王権』、岩波書店、2004年

『岩波講座 世界歴史〈5〉帝国と支配―古代の遺産 』、岩波書店、1998年

小笠原弘幸『オスマン帝国?繁栄と滅亡の600年史』中央公論社、2018年

関連項目.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィクショナリーに関連の辞書項目があります。国名

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