会期延長および臨時会と特別会の会期設定は両議院一致の議決で行うとされているが(国会法第11条・第12条1項)、両院不一致の場合は衆議院の議決に従う(国会法第13条)。
会期終了と同時に審議中の議案は原則として廃案となる。ただし閉会前に手続をとることにより、委員会は閉会中も審査を行うことができる。これにより次の会期においても審議の進捗を引き継ぐことが可能になる(継続審議)。
会期中に議決に至らなかった案件は、後会に継続しない(国会法第68条)。「会期」を参照
開会式第183回国会開会式で天皇明仁の臨席の下、式辞を述べる衆議院議長伊吹文明
国会は、召集後の早い時期に参議院本会議場において、天皇臨席のもとで、衆議院議長が主催して開会式を行う。開会式の日時及び場所は衆議院議長と参議院議長の協議で定める(衆議院規則第19条及び参議院規則第21条)。開会式では、衆議院議長の式辞と天皇のおことばが述べられる。開会式には衆議院議員と参議院議員が参議院本会議場に一様に集まるが、席が足りないため、入りきらない議員は2階席に集められる。開会式前には、衆議院議員と参議院議員が正門前に整列し、天皇の出迎えをするのが恒例となっている。「国会開会式」を参照 会期と会期の間を閉会(中)と呼ぶのに対し、会期中において国会あるいは議院がその意思によって自律的にその活動を一時的に休止することを休会といい、法規上「国会の休会」と「議院の休会」の2種類が定められている。会期中、国の行事、年末年始その他議案の都合等の理由により両院の議事を一斉に休止するのが相当である場合は、両院議長の協議を経て、衆議院と参議院の両院一致の議決をもって、あらかじめ日数を定めて休会することができる(国会の休会)。この場合、衆議院の優越はなく両院の議決が必要となる(国会法第15条1項)。各議院は単独で10日以内において自院のみの休会を議決することも可能で、この場合は他院との事前協議は不要である(議院の休会)(国会法第15条
会期の種類
常会(通常国会)
常会は毎年1回、1月中に召集される国会である(52条・国会法第2条)。憲法上は「常会」というが、一般には「通常国会」と呼ばれることが多い。会期は150日であるが、会期中に議員の任期が満限に達する場合には満限の日をもって終了する(国会法第10条)。延長は1回のみ可能(国会法第12条1項・2項)。
臨時会(臨時国会)
臨時会は憲法あるいは国会法の規定に基づいて内閣が臨時に召集する国会で、内閣は必要に応じて臨時会の召集を決定できるが(憲法第53条前段)、いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば内閣は臨時会の召集を決定しなければならない(憲法第53条後段)。このほか国会法の規定により衆議院議員の任期満了による総選挙が行われたとき及び参議院議員の通常選挙が行われたときにも内閣は原則として臨時会を召集しなければならない(国会法第2条の3)。憲法上は「臨時会」というが、一般には「臨時国会」と呼ばれることが多い。延長は2回まで可能(国会法第12条1項・2項)。
特別会(特別国会)
特別会は衆議院の解散による総選挙の後に召集される国会である(憲法第54条1項)。憲法上は呼称の規定がなく国会法において「特別会」と定められているが、一般には「特別国会」と呼ばれることが多い。延長は2回まで可能(国会法第12条1項・2項)。常会と併せて召集することもできる(国会法第2条の2)。「常会」、「臨時会」、および「特別会」を参照
休会
なお、明治憲法下では政府の意思により他律的にその活動を休止する停会の制度があったが(同憲法第7条・第44条、旧議院法第33条・第34条)、日本国憲法下では停会の制度はない。 衆議院が解散された場合、参議院も同時に閉会となる(両院同時活動の原則)。この衆議院解散から特別会の開会までの閉会中、「国に緊急の必要があるとき」に、内閣は参議院の緊急集会の開催を求めることができる。緊急集会は国会の会期ではなく(詳細は「参議院の緊急集会」の項目参照)、緊急集会においてとられた措置は「臨時のもの」とされる。このため、緊急集会でとられた措置は、次の国会開会の後10日以内に衆議院の同意が求められ、同意がない場合には、その効力を失う。「参議院の緊急集会」を参照 参議院規則では会議は原則として午前10時に始めることとされている(参議院規則第81条)。また、衆議院規則では会議は原則として午後1時に始めることとされている(衆議院規則第103条)。 開議の時刻となったときは、議長は議長席に着いて諸般の事項を報告後に会議を開くことを宣告するが、この宣告までは何人も議事について発言することが許されない(衆議院規則第104条、参議院規則第83条)。 議事日程に記載した案件の議事を終わったときは議長は散会する(衆議院規則第105条、参議院規則第82条)。 議事が終わらない場合でも、衆議院においては午後6時を過ぎたとき、参議院においては午後4時を過ぎたときは、議長は議院に諮らないで延会することができる(衆議院規則第105条、参議院規則第82条)。ただし、参議院規則では議事を終わらない場合でも、議長が必要と認めたときは議院に諮って延会することができるとしている(参議院規則第82条)。 定足数とは、審議・議決に必要な出席者数をいう。 表決数とは、意思決定に必要な賛成者数をいう。
参議院の緊急集会
議事手続2013年3月3日時点の衆議院会派別勢力図2016年7月14日時点の参議院会派別勢力図
開議
散会
延会
定足数
本会議 - 憲法第56条1項により、両議院とも、総議員の3分の1以上。
委員会 - 国会法第49条
「定足数」を参照
表決数
本会議
憲法第56条2項により、両議院とも、原則出席議員の過半数(半数+1以上)。可否同数の場合は議長決裁。
議員の議席喪失(憲法第55条)、秘密会開催(憲法第57条1項ただし書)、除名(憲法第58条2項ただし書)、衆議院の法律案再可決(憲法第59条2項)については、出席議員の3分の2以上。
憲法改正の発議(憲法第96条1項)は、総議員の3分の2以上。
委員会 - 国会法第50条
「表決数」、「議長決裁」、および「委員長決裁」を参照
表決の手続起立採決(衆議院本会議)記名投票(衆議院本会議)
議長は表決を採ろうとするときは表決に付する問題を宣告することとなっており、宣告後、議員は表決に付された問題について発言できない(衆議院規則第150条、参議院規則第136条)。議員が表決に加わるには現に議場にいなければならない(衆議院規則第148条、参議院規則第135条)。表決には条件を付けることができない(衆議院規則第149条、参議院規則第134条)。
表決方法
起立採決 - 表決方法は議長が問題について可とする者を起立させて起立者の多少を認定して決する起立採決を原則とする(衆議院規則151条、参議院規則第137条)。
記名投票 - 議長が起立者の多少を認定しがたいとき、議長の宣告に対し出席議員の5分の1以上から異議を申し立てられたとき、議長が必要と認めたときは記名投票となる(衆議院規則第151条・第152条、参議院規則第138条・第139条)。記名投票は問題を可とする議員が白色の票(衆議院規則では白票、参議院規則では白色票という)を、問題を否とする議員は青色の票(衆議院規則では青票、参議院規則では青色票という)を投票する(衆議院規則第153条、参議院規則第139条)。それぞれの色の木札は各議席に用意されており、白票(白色票)には黒い字で、青票(青色票)には赤い字であらかじめ議員の氏名が記されている。記名投票の際には議長は「議場閉鎖」を宣告し(衆議院規則第154条、参議院規則第140条)、その後、参事に点呼を命じる(議席番号順)。各議員は登壇して投票を行うが、先例により衆議院では時計回りに、参議院では反時計回りに投票が進められる。投票が終わったときは、議長は投票漏れがないか確認する。その後、議長は「投票箱閉鎖」と「開票」、「議場開鎖」を宣告する。そして、理事が票の点検と集計を行い、集計後、議長は投票の結果を宣告する(衆議院規則第155条、参議院規則第141条)。衆議院では議長は事務総長に結果報告を命じるのが先例となっている。
押しボタン式投票 - 2015年(平成27年)現在、参議院でのみ導入されている方法。議席に設置された投票機を用いて問題を可とする議員は賛成ボタン、問題を否とする議員は反対ボタンを押すことにより投票する(参議院規則第140条の3)。議長が必要と認めたときに押しボタン式投票となる(参議院規則第140条の2)。参議院の各議員席には投票機が設置されており、賛成の白色ボタン、反対の青色ボタン(緑色に近い)、そして、取消の赤色ボタンが並んでいる。押しボタン式投票の際には議長は「本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います」と宣告して投票が開始される。各議員が賛成や反対のボタンを押すと、投票機の上部に付けられている小型の白ランプや青ランプ(緑色に近い)が点灯して自らの押した内容を確認できるようになっている。議長は時期を見計らって「間もなく投票を終了いたします」「これにて投票を終了いたします」と告げる。そして、投票結果を議長が報告すると同時に投票結果(投票総数、賛成、反対)が参議院議場内3か所に設けられている表示盤に表示される。
異議なし採決 - 議長は問題について異議の有無を議院に諮るという形で表決をとることができる(衆議院規則第157条、参議院規則第143条)。この場合、議長は異議がないと認めたときは可決の旨を宣告する。ただし、議長の宣告に対して議員が異議(衆議院の場合は出席議員20人以上の異議)を申し立てたときは、議長は異議なし採決をとることができない。
公開の原則・記録の公表
本会議(憲法第57条)
両議院の会議は、公開とする。ただし、出席議員の3分の2以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。
両議院は、各々その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、かつ一般に頒布しなければならない。
出席議員の5分の1以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。
委員会は原則非公開。議員のみが傍聴可能。ただし、報道関係者などで委員長の許可を受けた者は傍聴可能(国会法第52条
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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