一般に金属は強く稠密で、電気についても熱についても良導体である。周期表においてホウ素からポロニウムに引いた直線から左側にある元素はおおよそ金属である。2つ以上の元素を含み主成分が金属のものを合金という。
先史時代から人々は金属を様々な用途で使ってきた。金属は強度と信頼性が高いことから、建物などの建設や乗り物、道具・管・標識・線路(軌条)などに使われている。このような用途では鉄とアルミニウムが最もよく使われており、これらは地殻に最も豊富に存在する金属と言える。一般に合金の形で使うことが多く、鋼には最大2.1 %の炭素が含まれていて、それによって純粋な鉄よりも硬さが増している代表例が工具鋼である。
金属は電気の良導体でもあるため、電気器具にもよく使われており、電力の長距離伝送にも金属が欠かせない。送電網には金属でできた電線が必須となっている。電気伝導率が高く加工が容易であることから、屋内配線などには銅がよく使われている。また金属の熱伝導率の高さから、調理で火にかける容器の多くは金属製になっている。
金属元素や合金の研究は、固体化学/物理学、材料科学/工学といった学問分野の大きな部分を占めている。
金属の固体は非局在化した電子を共有する「金属結合」でその形を保持している。金属の原子はその最も外側の電子が自由電子となって離れ、陽イオンになっている。自由電子は固体全体に拡散して存在し、その電子の雲と陽イオンとなった金属原子との間の静電相互作用によって強く結合する[1]。自由電子が多数存在するため、金属は電気と熱の伝導率が高くなる。自由電子があるため、金属は可視光線を通さない不透明な物体となり、同時に表面が光沢を帯びることになる。
より進んだ金属の特性のモデルでは、陽イオン核の非局在化した電子群への影響を考慮する。ほとんどの金属が結晶構造であり、陽イオンは格子状に配置されているのが普通である。数学的にはイオン核のポテンシャルは様々なモデルで扱うことができ、最も単純なものとして「ほとんど自由な電子」モデルがある。
鉱物様々な鉱物詳細は「鉱物」を参照
鉱物は自然界に存在する固体であり、高圧の地質学的過程によって形成される。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}真の鉱物[独自研究?]に分類されるには、全体に均一な物理特性を持ち、結晶構造になっていなければならない。鉱物の組成としては、純粋な元素や単純な塩といったものから非常に複雑なケイ酸塩まで、数千種類が知られている。これに対して岩石は鉱物や準鉱物が無作為に集合したもので、均一な化学組成にはなっていない。地殻を構成する主な岩石は、石英(結晶質の SiO2)、長石、雲母、緑泥石、カオリナイト、方解石、緑簾石、カンラン石、普通輝石、普通角閃石、磁鉄鉱、赤鉄鉱、褐鉄鉱などの鉱物で構成されている。中でも石英、雲母、長石が最も一般的で、それ以外の鉱物は地球上の限られた場所にしか存在しない。鉱物における最大のグループはケイ酸塩鉱物で(ほとんどの岩石は95%以上がケイ酸塩鉱物でできている)、その主成分はケイ素と酸素であり、そこにアルミニウム、マグネシウム、鉄、カルシウムといった金属が加わっている。
セラミックスSi3N4 セラミックス製ベアリング部品詳細は「セラミックス」を参照
セラミックスは無機化合物でできており、通常酸化物で構成されている。化学的に不活性であり、酸性や腐食性の化学物質にも耐性があることが多い。一般に1,000 ℃から1,600 ℃の高温にも耐えることができる。例外として酸化されていない無機物があり、窒化物、ホウ化物、炭化物などがある。
伝統的な陶磁器の原料はカオリナイトなどの粘土鉱物を含み、最近のセラミックスではアルミニウム酸化物(酸化アルミニウム)などを含む。最近では高機能セラミックスとして炭化ケイ素や炭化タングステンなどもある。これらは耐摩耗性に優れており、例えば鉱山での掘削機の先端部分などに使われている。
酸化アルミニウムやその化合物のようなセラミックスは非常に細かい粉末が原料であり、非常に微細な多結晶マイクロ構造となるため、可視光線を散乱することで不透明になる。しかし最近ではゾルゲル法などの製法で多結晶ながら透明なセラミックスも製造でき、高出力レーザー機器の部品などに使われている。高機能セラミックスは医薬品、電子部品などにも使われている。
セラミック工学は、セラミックスの製造や応用を研究する工学分野であり、それに対応した産業分野が窯業である。セラミックスの生産には熱を使う場合や化学溶液の常温での沈降反応を使う場合がある。原料の精製、関連する化合物の製法などの研究、セラミックスの形成法、その構造・組成・特性の研究などが含まれる。
力学的には、セラミックスは脆く、硬く、圧縮に強いが、切断と引っ張りには弱い。もろい素材であっても、静的な負荷にたいしては強度を発揮することがある。じん性は素材が破壊されるまでにどれだけのエネルギーに耐えられるかを示し、破壊じん性 (KIc) は欠陥(割れ)の成長に抵抗する素材の能力を意味する。素材の破壊じん性が高い場合、破壊力学の基本原則によれば、延性破壊を生じる可能性が高い。セラミックスやガラスセラミックスはぜい性破壊を生じることが多く、一般に KIc は低い。
セラミックスの応用例として、ジルコニアは極めて硬いことからナイフの研磨や産業用切削工具などに使われている。酸化アルミニウム、炭化ホウ素、炭化ケイ素などのセラミックスは、防弾チョッキに使われている。窒化ケイ素はその硬さと耐磨耗性から玉軸受の部品に使われている。一般にセラミックスは化学的な耐腐食性に優れているため、鋼の軸受では酸化する(さびる)ような湿度の高い環境でも利用可能である。
セラミックスの他の応用例として、1980年代初めにトヨタ自動車は約 3,300 °Cで動作するセラミック・エンジンを研究したことがある。セラミック・エンジンは冷却機構が不要なため軽量化でき、燃費が向上することが期待されていた。通常の金属製のエンジンでは融けてしまうのを防ぐために熱を常に放出する必要がある。似たような考え方で、セラミックス製のガスタービンエンジンの部品も開発されている。タービンエンジンをセラミックスで作れば、効率が向上すると考えられた。しかし、セラミックスの部品を十分な精密さと耐久性をもって大量生産することが難しいため、量産には至っていない。セラミックスでできた部品には微視的なヒビが無数に存在し、エンジン部品のような用途ではそれが大きなヒビに成長して故障の原因になりやすい。
ガラスセラミックス熱膨張率が極めて小さいガラスセラミック製の調理用上板
ガラスセラミックスは、非晶質のガラスと結晶質のセラミックスの両方の性質をあわせ持っている。まずガラスとして形成し、熱処理することで部分的に結晶化させ、アモルファスと結晶が混在した状態にしたものである。