四川大地震
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また、都江堰市を流れる岷江の上流にある紫坪埔ダムなど複数のダムに亀裂が生じたり土砂崩れによって川が堰きとめられて地震湖が生じるなどの被害が確認されており、ダムの緊急放流や下流域からの避難を含む対策が取られている[26][27][28]
世界遺産、文化財などの被害

多くの観光客が訪れる地域で起きた地震であったため、文化財などにも大きな被害が出ている。例えば都江堰を建設した父子を祀った二王廟では、山門の一部が倒壊し、本堂にも被害が出ている。また、江油市李白旧居も山門が全壊し、建物も一部が損壊した。

九寨溝においては、九寨溝地域そのものや九寨黄竜空港への道は大きな被害がなかったものの、成都市からの陸路(西回り国道213号、東回り省道205号)が甚大な被害を受け通行不能となり、空路のみとなった。道路復旧に難航したが、2010年11月に、国道213号の復旧により、従来通りの陸路が全面回復した。

西安市郊外の兵馬俑坑でも7体の兵馬俑が損傷した[28]
地震に便乗した犯罪

被害者の救済のための寄付金と称する詐欺事件が発生している[29]。また、中国紅十字会(赤十字社)のサイトが不正侵入による改竄を受け、義援金の振込先を別の口座番号に書き換えられる被害が出た[30]
前兆現象

地震発生の数日前から、複数の宏観異常現象が観測されていた事が明らかになっている[31][32]

5月10日、四川省綿竹市西南鎮の檀木村で、数十万匹のヒキガエルの大規模な移動があった[32]

地震の数日前、四川省に近い湖北省の恩施の池で、8万トンの水が5時間でなくなった[32]

中国国内の反応天安門広場に掲げられる半旗(2008年5月19日)香港、中環(セントラル)で掲げられる各国の半旗(2008年5月19日、なおサウジアラビアの国旗半旗にしてはいけないことになっている)

5月18日までに、武装警察部隊や人民解放軍など15万人近くが現地に動員された[27]

温家宝総理は即日被災地入りし、地震対策本部を設置するとともに被災地で陣頭指揮を執っている。また、震災5日目には胡錦濤党総書記も震災地の視察を行った[33][34]。中国公安部はデマを流したり、扇動を行ったりする者には厳しい対処を行うと通知している[35]

またネットでは、専門家が今回の大地震を予報したが、中国の地震局がこれを無視したとの発表もされた[36]

四川省綿竹市にある、地震発生時刻を指して止まった時計塔は、そのままの状態で永久保存されることになった[37]。最も被害のひどかった北川は、町の再建が不可能と判断し住民全員を移住させ、町全体を「地震教育基地」として保存することになると言われている[38]

5月18日中国国務院より、19日から21日までの3日間は全国哀悼日と制定[39] され、中国国内のほか海外の中国大使館などで半旗が掲げられ、この地震による死者に弔意を表した。これは中国の歴史上、初めて自然災害による死者のために、天安門広場で半旗が掲げられたことになる。また、全国の映画館や劇場などの公共娯楽施設の営業が禁止された[40]

全国哀悼日の初日である5月19日には、地震の発生時刻である14時28分に全国一斉に3分間の黙祷をささげた。電車、船、車などは汽笛を鳴らし、防空警報も鳴らされた。この模様は、中国全土に生中継され、夕方のニュースでも大々的に取り上げられた。この全国哀悼日の期間、各地で政府機関や学校、または市民らの自発的な行動により、募金活動やろうそくを使った追悼集会などが行われ、市民らが「中国加油! 四川加油!(中国がんばれ! 四川がんばれ!)」と声援を送る様子が震災特別番組にて繰り返し流された。

2009年3月2日中国民政部により四川大地震発生日である毎年5月12日を「防???日(=防災減災日、防災の日)」と制定された。国民の防災意識を高め、防災に関する知識を普及するのが目的。1年目となる2009年には、四川?川県映秀鎮にて中国共産党総書記である胡錦濤国務院副総理である李克強らが参加する追悼式典が行われた[41]。また、中国各地でも追悼式典や、防災訓練などが行われた。
北京オリンピックへの影響

北京オリンピック組織委員会は中国各地で行われる聖火リレーではリレー開始前に1分間の黙祷を行い、関連イベントも縮小すると発表した[42]。だが地震発生翌日の13日に行われた福建省竜岩市でのリレーではスタート時に黙祷などの犠牲者を悼む行事は全く行われず、ネット上には「われわれ中国人には良心のかけらもないのか」「聖火リレーをやめ、節約したお金を救援活動に回すべきだ」といった批判的な書き込みも多数寄せられた[43]

地震直後にはリレーの日程自体やコースは変更しないと発表していたが[44]、地震発生から1週間目にあたる5月19日から21日までは追悼のため一時中止した。また、6月中旬に予定されていた四川省内でのリレーは8月の開会式直前に延期[45]、チベットでは3日間の予定を1日に短縮した[46]
義捐金を巡る騒動

義捐金について便乗した詐欺(上述)が発生したほか様々な事件が起きている。

中国のテレビ局中国中央電視台(CCTV)は被災地への支援を国民に呼びかけるキャンペーンを行っている[47] が、このテレビ局が14日に全国放送のニュース番組「新聞聯播」の中で聖火リレー中にランナーらに募金を宣伝する際に募金活動の「やらせ」が発覚し、ネット公開されていた同ニュースの該当箇所が削除されるなどの事件も起きている[48][49]。CCTVはこれを「編集ミスにより『記念撮影』が『義援金の募金』の場面として放送されたもので、やらせや偽善ではない」として、視聴者と撮影されたランナーに謝罪した[50]

広東省の中学校では募金活動でも「やらせ」が行われ、その現場をビデオで隠し撮りした生徒が「これは私がこれまでに見た、史上もっとも恥知らずの募金行為だ」と語っている[51]

中国内のネチズンの一部により、本来善意で行われるはずの義捐金の額が少ないとして外資企業を非難する、といった行為もなされ[52]、義捐金の額が少ない、としてケンタッキー・フライド・チキンの店舗などが襲撃される事件も発生した[53]。また、中国商務部により、義捐金の支払いが遅れている外資企業名を公表し、支払いが催促される[54] ということもあった。

なお、義援金は約767億元(報道時点のレートで約1兆600億円)集まったが、そのうちの約8割が政府の税収となったとの指摘がある[55]
メディアの反応

5月19日から21日までの全国哀悼日の間は通常の番組及び、商業広告が禁止され、CCTVや地方局制作の震災特別番組のみが放映され、通常左上に有るテレビ局の表示もモノクロで表示された。以降、「?志成城抗震救?(=衆志成城抗震救災,気持ちをひとつにして、震災に打ち克とう)」をスローガンに7月24日現在でも、地元四川のテレビ局を中心に、震災関連の番組が放映されている。


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