四川大地震
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今回の地震は、この静穏期の終わりを告げるものであり、従来の地質学では「古い断層」「活動していない断層」とされている龍門山断層帯で地震が発生したことは衝撃を与えた[3][4][5][6][7]

また2001年11月14日のチベット北部の地震(M8.1)、2002年のアフガニスタン北部の地震(M7.4)、2004年スマトラ島沖地震(M9.1)、2005年スマトラ島沖地震(M8.6)やパキスタン地震(M7.6)、2006年ジャワ島南西沖地震(M7.2)、2007年スマトラ島沖地震(M8.5)、2008年の新疆ウイグル自治区の地震(M7.2)など、インドプレートとユーラシアプレートの境界地域で地震が頻発していることからこの地域が地震の活動期に入っており、向こう20年程度は大規模な地震が続発する恐れがあるとの指摘もある[8]
本震色により震度を示した図(USGSによる)

発生時刻 - 2008年5月12日14時28分(現地時間、UTC+8)、15時28分(日本時間、UTC+9)

震源 - 四川省アバ・チベット族チャン族自治州?川県・北緯31度01分5秒、東経103度36分5秒、深さ19km

震源断層 - 龍門山断層の南部、逆断層、直下型(プレート内)地震、長さ約285km±5km[9]

地震の規模 - マグニチュード Ms 8.0(中国地震局)[2]、Mw7.9 (USGS)[1]

中国地震局は当初地震の規模をMs7.8と発表していたが、その後の再解析でMs8.0に修正した[2][10]アメリカ地質調査所(USGS)は当初Mw7.8と発表し、後にMw7.9に修正した。

M7.9?M8.0といえば、いずれも直下型地震(プレート内地震)としては世界最大級の規模だった、1927年の古浪地震や2001年のインド西部地震、日本では1586年の天正地震や1891年の濃尾地震に匹敵する規模である。

なお、日本の気象庁もアメリカ地質調査所と同じMw7.9と発表している。

北京上海香港など、北部の黒竜江省吉林省新疆ウイグル自治区を除く中国本土のほとんどの地区や台北[11]バンコクハノイなどで体に感じる揺れが報告されている[12]

このように広範囲で揺れが観測された理由としてこの地域がユーラシア大陸の強固な岩盤の上にあって地震波が減衰しにくいこと、震源が浅く規模が大きかったため、水平方向に伝播しやすく減衰しにくい表面波(レイリー波)が強くなったことなどが挙げられている。日本の長野県にある気象庁精密地震観測室(現在の気象庁松代地震観測所)では15時41分、18時10分、20時40分(いずれもJST)の4回にわたって表面波を観測し、表面波が地球を2周したことがわかった[13]。また、東京大学地震研究所は、防災科学技術研究所の広帯域地震観測網(F-net)がとらえた地震波形の解析結果から、地震波が地球を6周したと発表した[14]

名古屋大学の山中佳子准教授の解析によると地下の断層は長さ約120km、幅約40kmにわたる範囲で大きく動いたとみられ、1995年の阪神・淡路大震災を招いた断層は長さ40?50kmとみられることから今回の断層は長さで2倍以上、地震のエネルギーは約20倍に相当するとみられるという[15]

また筑波大学の八木勇治准教授らは、長さ約250kmにわたる断層が2段階にわけて動いたとする分析結果を出している。地表近くで最も大きくずれ震源近くでは地表に約7mの段差が現れているとみられ、地震の破壊力は阪神大震災の30倍にもなるという[16]。断層の中に「特にずれが大きい場所が2か所ある」としている[16]
余震

余震は長期間続き、5月22日までに782回観測されている[17]。中国地震局は24日までにM4.0以上の余震が173回、そのうちM5.0以上が27回、M6.0以上が4回あったと報告した。

8月30日午後4時半(日本時間同5時半)ごろ、雲南省に程近い四川省攀枝花市涼山イ族自治州の境界付近を震源とするマグニチュード6.1の攀枝花地震が発生、死傷者は600人以上で100万人以上が被災した。5月の大地震と同じ断層の南端のズレに起因するものの、余震ではなく別の地震とみられている[18]
被害揺れと地滑りで大きな被害が出た北川チャン族自治県。農業発展銀行の北川県支店(前)と宿舎(後)

この地震によって道路や電力・水道・通信などライフラインが寸断された。2008年7月22日、中国民政部の報告によると、現地時間21日正午現在までで、この地震による死者は6万9197人、負傷者は37万4176人に上り、1万8222人がなおも行方不明となっている[19]。14日時点での発表によれば、家屋の倒壊は21万6千棟、損壊家屋は415万棟である[20]。中でも学校校舎の倒壊が四川省だけで6898棟に上り、校舎倒壊による教師と生徒の被害が犠牲者全体の1割以上を数え、学校建築における耐震基準の甘さと手抜き工事の横行が指摘された[21][22]。11月21日の四川省副知事による発表では生徒の死亡者数を1万9065人とし、これは9万人以上とされる死者、行方不明者全体の2割を超えている[23]。国際連合の国際防災戦略(ISDR)は死者は8万7476人としている[24]

地震により避難した人は約1514万7400人、被災者は累計で4616万0865人となった。

震源地の?川県映秀鎮の死者、行方不明者は全人口1万人の約8割の少なくとも7,700人に上った[25]

死者・行方不明者が多い地震(世界)順位震央発生日(UTC)死者・行方不明者数(人)規模(M)
1中国・華県1556年1月23日約830,0008.0
2ハイチ・ポルトープランス2010年1月12日約320,0007.0
3アンティオキア115年12月13日約≧260,0007.5
4アンティオキア526年5月29日約≧250,0007.0
5中国・唐山1976年7月28日約≧240,0007.8
6中国・海原1920年12月16日約200,000 - 240,0008.6
7インドネシア・アチェ州沖2004年12月26日約230,0009.1
アゼルバイジャン・ギャンジャ1139年9月30日約230,000-
9中国・洪洞1303年9月25日約≧200,0007.6
10イラン・ダームガーン856年12月22日約200,0007.9
11イラン・アルダビール893年3月23日約150,000-
12シリア・アレッポ(英語版)533年11月29日約130,000-
シリア・アレッポ1138年10月11日約130,0007.1
14イタリア・メッシーナ1908年12月28日82,000 - 120,0007.1
15トルクメニスタン・アシガバード1948年10月6日約110,0007.3
16日本・関東1923年9月1日105,3857.9


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