マグマ(本質物質)が地表に噴出しない噴火。火山体内部の水がマグマに間接的に温められてマグマを伴わず噴出する現象を水蒸気爆発という。 爆発的な噴火だが規模はあまり大きくなく火山灰を噴出する程度の噴火も含まれるため、日本では水蒸気噴火と呼称することが一部の火山学者から提案されている[6]。 マグマと大量の水蒸気が地表に噴出する噴火。水がマグマに直接触れて水蒸気爆発を起こしマグマと共に噴出する現象をマグマ水蒸気爆発という。爆発的な噴火。 火山の噴火の様式は、マグマの流動性と噴火時の揮発性成分の量とに依存して、大きく異なるものとなる。特に、揮発性成分の量はマグマの爆発性を左右し、揮発性成分が多いほど、火山灰や溶岩を高く吹き上げる大きな爆発となる。 なお、1回の噴火は、短時間で終わる場合もあれば、数か月以上続く場合もある。特に、長期間の噴火においては、噴火様式が時間の経過につれて変化することがある。例えば、始めのうちは揮発性成分が多く、溶岩や火山灰を高く吹き上げていても、途中から揮発性成分が減り、火山灰を吹き上げることができなくなることがある。そして、噴火の後半には、揮発性成分が抜けてしまい、溶岩を流出させて噴火が終了する。このような時系列での変化の事例として、浅間山の天明の大噴火の例を示す。 成分の影響以外に、噴出物の量や噴出速度などによって、噴火様式や被害の大きさが激しく異なる。噴出量が大きい極端なものを2例挙げる。 火山は噴出する場所、特に水の存在によって噴火の様式が大きく変わる。
マグマ水蒸気噴火
噴出物の成分による影響
流動性が高く、マグマから揮発性成分が逃げてしまうため、噴火時の揮発性成分が少ない場合 - ハワイ島の火山の噴火のように、静かに溶岩流が流れ続ける噴火となる(ハワイ式噴火)。
流動性がやや高く、マグマから揮発性成分が逃げにくいため、噴火時の揮発性成分が比較的多い場合 - 1986年の三原山(伊豆大島)噴火の初期のように、溶岩がカーテンのように高く幅広く噴出する(ストロンボリ式噴火)。
流動性が低く、また何らかの理由で噴火時の揮発性成分が少ない場合 - 昭和新山の噴火のように、大きな爆発や溶岩流出はなく、溶岩ドームが形成される。
流動性が低く、マグマから揮発性成分が逃げられないため、噴火時の揮発性成分が多い場合 - 浅間山や桜島のような爆発的な噴火になる(プリニー式噴火)。
大量の火山灰を空高く噴出(天明降下軽石)→地上を火砕流が襲う(吾妻火砕流・鎌原火砕流)→溶岩を流出(鬼押し出し溶岩)
噴出物の量による影響
ラカギガル割れ目噴火
上述2の条件で、1回の噴出量が桁違いに大きい場合、噴出されたガスが地球を覆い、異常気象による不作などを引き起こす。その一例である1783年のアイスランドのラキ火山の噴火(ラカギガル割れ目噴火)の場合、噴火した約130個の火口列の長さは25kmに及び、多量の溶岩を噴出した。ただし、噴火が人里から離れた場所で起きたため、溶岩による被害は軽微であった。しかし、大量の有毒な火山ガス(1億tの亜硫酸ガスと800万tのフッ化水素)が放出され、アイスランドの家畜の50%、人口の20%が失われた。また、成層圏にまで上昇した火山ガス起源の霧(硫酸ミスト等)が北半球を覆ったことにより、地上に達する日射量が減少して、世界的に気温が低下した。なお、この噴火がのちのフランス革命を引き起こすきっかけになったと言われている。日本では、同年に発生した浅間山の大噴火(天明の大噴火)の影響と重なり、東北地方で膨大な数の餓死者を出した天明の大飢饉を引き起こした。
阿蘇カルデラや姶良カルデラの噴火
上述4の条件で、1回の噴出量が桁違いに大きい場合、長径数km - 十数kmのカルデラを形成するような非常に大規模な噴火となる。日本列島においては、9万年前の阿蘇カルデラの噴火や姶良カルデラ(桜島北側の錦江湾全体)の噴火が、その代表的な事例として知られている。阿蘇カルデラの噴火では、火砕流が熊本県と大分県の大半と宮崎県北部を覆った。また、姶良カルデラの噴火では、火砕流によってシラス台地が形成された。これらの噴火により噴出した火山灰は、日本全土にも降り積もり、大量のマグマが抜けた跡には、巨大なカルデラが形成された。これらのような大型カルデラを形成するような噴火では、1回の噴火で火砕流によって、厚さ数m - 100m以上、半径数十km以上に渡って軽石が堆積し、同時に噴出した広域テフラが、日本列島の半分以上を覆うことが多い。これらのような噴火を起こすカルデラは、阿蘇カルデラ以南の九州地方と東北・北海道地域によく見られる。
噴火の場所
スルツェイ式噴火(ウルトラブルカノ式噴火)
水面近くでの噴火や、マグマが地下の浅い所で地下水と出会った場合は、水が瞬時に沸騰し、体積膨張を起こすため、爆発的なマグマ水蒸気爆発が起きる。従来はウルトラブルカノ式噴火と呼ばれていたが、スルツェイ島の噴火が典型的なウルトラブルカノ式噴火だったため、こう呼ばれるようになった。
氷底噴火
巨大な氷河の下で火山が噴火した場合は、海底火山と同様の形態となるが、噴火の規模が大きく、氷床を解かしてしまった場合、氷河の下に巨大な湖(氷底湖)ができ、氷河の壁は大量の水の重さを支えきれずに決壊し、家や橋まで流してしまう大規模な洪水が発生する。この大洪水をヨークルフロイプと呼ぶ。
水中噴火
水中に噴出した場合は水中噴火と呼ばれる事がある[7]。
海底噴火
海底火山などが水深の深い所で噴火した場合、水圧が高いために爆発は起こらず、噴出した溶岩は海水で急に冷やされ、枕状溶岩あるいはハイアロクラスタイトとなる。
噴火の規模「火山噴火規模のランキング(英語版
爆発の規模を表す指標として、火山爆発指数(VEI)が国際的に使用されている。大規模な火山噴火を指して大噴火(だいふんか)と呼ぶことがあるが、火山学においては「東京ドーム約250杯分以上(約3億m3以上)の噴出物を出す噴火(概ねVEI2以上)」が大噴火であると定義されている[8]。 火山爆発指数は噴出物の量に基づいて区分され、エネルギー量を表していないため、日本の火山学者である早川由紀夫(1993)[9]は、噴火マグニチュードを提案している。 但し、「m=噴出物の質量 (kg)」とし、水蒸気爆発の場合は既存岩体を含んだ噴出物量とする。また、岩屑なだれ等の崩壊堆積物の体積は含まない。 客観性を保つ為の条件として、 噴火によってもたらされる噴出堆積物には、元のマグマのもの(本質物質)と噴火で破壊された火山の山体や基岩由来のもの(類質物質)があるが、それぞれの厳密な量を求めることは難しい。 そのため、マグマ由来の本質物質で構成されているものと近似して換算算出したものを「マグマ噴出量」と呼んでいる。単位には km3 に DRE : Dense Rock Equivalent が付加表記される。つまり、全ての噴出物を溶岩と同じ比重にした場合の相当体積を表す指標である。 本質物質においても、火砕流や火山灰(降下火砕物)などのイベントの違いで、噴出堆積物は比重が異なり、マグマがおよそ2.5g/cm3であるのに対し、火砕流や火山灰での堆積物はおよそ1.0g/cm3とされている[10]。
噴火マグニチュード
計算式 M = log m − 7 {\displaystyle {\hbox{M}}={\hbox{log}}{}^{}{\hbox{ m}}-7}
条件
10km 以上離れた地点から同時に噴火が生じたときは、各々を別の噴火とする。
噴火M によって余効期間を設ける、M < 3 の時は、1年。M >= 3 の時は、10年。この余効期間に発生した噴火は、それまでの M を超えない限り新たな噴火として扱わない。
マグマ噴出量
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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