認知行動療法を用いた介入法として、次のようなものがある[3]。
注意のシフトトレーニング:食事時や不安時に、胃の調子や吐き気などの内部感覚に意識を向けることをやめ、食べ物の味や会話の内容など外部の物事に意識を向けられるようサポートする技法[3]。
セルフモニタリング:嘔吐恐怖を感じた場面で実際に起こったことを記録することで、吐いてしまうかもしれないというイメージ(予測)と、実際には吐いていないということ(事実)との違いに気づけるよう支援する技法[3]。
曝露療法:回避(食事をしないなど)や安全確保行動(途中で離席するなど)をせず、嘔吐に対する不安感がある場面に直面することをサポートする技法。これによって、「回避や安全確保行動をせずとも、予期していた恐ろしい結果(嘔吐など)は起こらないこと」・「不安感や吐き気は長く続かず、時間経過とともに和らいでいくこと」を実体験を通して学ぶことができ、症状が軽快する[3]。
曝露療法を行う際に、行動実験(信念の妥当性を行動を伴った実験を通して検証すること)も併用することができる[4]。たとえば、「満腹感は嘔吐をもたらす」という信念の妥当性を検証する行動実験を行い、「満腹感は嘔吐をもたらさない」という気付きを得て、回避や安全確保行動を減らすことをサポートした事例がある[4]。
なお、嘔吐恐怖の背景に、嘔吐した場合に他者からどう思われるかに関する不安がある場合、嘔吐に対する他者評価の調査も有用である[5]。目の前で嘔吐が起こった場合に人はどのように思うかに関する調査を患者と治療者が協働で行い、迷惑だと思う者は一人もいなかったという調査結果を得て、嘔吐恐怖の背景にある不安を払拭した事例が報告されている[5]。
出典^ Hunter, P. V., & Antony, M. M. (2009). Cognitive-Behavioral Treatment of Emetophobia: The Role of Interoceptive Exposure. Cognitive and Behavioral Practice, 16, 84-91.
^ Riddle-Walker, L., Veale, D., Chapman, C., Ogle, F., Rosko, D., Najmi, S., Walker, L. M., Maceachern, P., & Hicks, T. (2016). Cognitive behaviour therapy for specific phobia of vomiting (Emetophobia): A pilot randomized controlled trial. Journal of Anxiety Disorders, 43, 14-22.
^ a b c d 野口 恭子 (2017). ⇒吐き気恐怖に対する認知行動療法.東京家政大学附属臨床相談センター紀要,14,29-37.
^ a b 日本認知・行動療法学会 編『認知行動療法事典』丸善出版、2019年、336-337頁。
^ a b 松本 一記・清水 栄司・濱谷 沙世・関 陽一・吉野 晃平・白山 幸彦・佐藤 康一 (2019). “パニック症と広場恐怖症が合併した嘔吐恐怖症に対する認知行動療法の一症例報告?他者評価の調査(世論調査)を取り入れた治療モデル?”. 認知行動療法研究 45 (2): 87-97.
関連項目
恐怖症
パニック障害
不安神経症
トラウマ
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