喘息発作
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喘息を指す英単語 asthma はギリシャ語の「aazein」という鋭い咳を意味する言葉に由来する[3]。この言葉は紀元前8世紀イーリアスに登場するのが最初とされている。紀元前4世紀ヒポクラテスはこの病気が仕立て屋、漁師、金細工師に多いこと、気候と関係していること、遺伝的要因がある可能性があることを記載した。2世紀ガレノスは喘息が気管支の狭窄・閉塞によるものであることを記し、基本病態についての考察が始まった。

その後喘息についてさまざまな考察、文献が発表されたが、このころまで喘息という言葉は今日でいう喘息のみならず呼吸困難をきたすさまざまな病気が含まれていた。今日でいう喘息についての病態にせまるには17世紀まで待たねばならない。17世紀にイタリアベルナルディーノ・ラマツィーニは喘息と有機塵との関連を指摘し、またイングランドのジョン・フロイヤー (医師)(英語版)は1698年、A Treatise of the Asthmaにおいて気道閉塞の可逆性について記載した。1860年にはイギリスのソルターは著書On asthma:its pathology and treatmentの中で気道閉塞の可逆性と気道過敏性について述べ、またその後19世紀末から20世紀初頭にはアドレナリンエフェドリンが開発され、気管支拡張薬が喘息の治療として使用されるようになった。この頃まで喘息の基本病態は可逆性のある気管支収縮であると考えられていた。

1960年代に入り喘息の基本病態が気道の慢性炎症であることが指摘され始め、1990年にイギリス胸部疾患学会(BTS)の発表した喘息ガイドライン、および1991年アメリカ国立衛生研究所 (NIH) の発表した喘息ガイドラインにおいて「喘息は慢性の気道炎症である」ことにコンセンサスが得られた。これによりステロイド吸入により気道の炎症を抑え、発作を予防するという喘息の治療戦略が完成し、治療成績が改善した。しかし、吸入ステロイドの普及率は、国・地域によって差があり、殊に、日本は欧米先進諸国に比し、吸入ステロイドの普及率は低い。
症状

排気ガスなどの刺激物、アレルゲン気道感染、急激な寒暖差、運動、ストレスなどの種々の刺激が引き金となり、気管支平滑筋、気道粘膜の浮腫、気道分泌亢進などにより気道の狭窄・閉塞が起こる。気道狭窄によって、喘鳴(ぜんめい:喉のゼーゼー、ヒューヒューという音)、息切れ、咳、痰(たん)などの症状を認める。喘息発作時にはこれらの症状が激しく発現し、呼吸困難や過呼吸、酸欠、体力の激しい消耗などを伴い、時には死に至ることもある。
発症因子
大気汚染

粒子状物質)への曝露は強い発症因子であることが判明している。

たばこ たばこの煙(副流煙)は喘息の発症、憎悪の原因となる[4][5]

野焼き 秋田県において、米の収穫後の野焼きの時期に喘息患者が急増することが報告されている[6]

ばい煙 工場やディーゼル車の排出するばい煙は四日市ぜんそくの主因であり、四大公害の一つに数えられる。

線香 線香の煙と喘息の発症数には有意な相関があることが示されている[7]

粉塵 火山灰などの粉塵は喘息の憎悪要因である[8]

ヨーロッパにおいては、大気汚染と新生児アレルギー感作の増大の関連は結論されていない[9]
食習慣

野菜と果物の摂取はそれぞれ、喘息のリスクと重症度を下げるようである[10]。小児の野菜と果物の消費量に応じて、喘息のリスクが下がる関係が見られ、妊娠期の母親の消費量はその子のリスクに無関係であった[11]。一方、妊娠初期にアブラナ科の野菜(ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、クレソンなど)を摂取すると幼児の喘息症状の発生率軽減するというデータもある[12]。22研究中17が野菜と果物は喘息やアレルギーの予後を良好にしているという関係が見られた[13]。20か国29施設が参加した国際研究でも、野菜と果物の消費量が発症率に関係することが見いだされた[14]。牛乳の消費と喘息の増加には関連があるが、単純な因果関係では説明できず、一部の喘息の人々では粘液産生を促している可能性がある[15]
動物との接触

への曝露は、喘息のリスクに対してわずかに予防的、逆に、への曝露はリスクをわずかに増加させており、追加の研究が必要だとされた[16]。BCGワクチンの予防接種による喘息の予防効果は一時的である[17]
環境緑化

緑化については研究の条件が違いすぎて評価できなかったため、標準化された基準が必要だと結論している[18]
分類

分類法も複数存在するが、代表的なものの一つに、幼児期に発症することの多いアトピー型と40歳以上の成人発症に多くみられる非アトピー型の2型の表現型に分類する方法がある。喘息はIgE型の免疫不全症であるため、アトピー性皮膚炎などと合併してくることが多くみられる。
アトピー型喘息(アレルギー性喘息)


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