喘息発作
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気管支喘息において、これらの合剤は、リスクを上げることなく発作を減らすことが報告されている[25]吸入器には定量噴露吸入器 (pMDI) と自己吸気によるドライパウダー吸入器 (DPI) が存在する。フルタイドディスカス・ロタディスク、パルミコート・タービュヘイラー、アズマネックスツイストヘラー、アニュイティエリプタといったドライパウダー製剤、キュバール(ベクロメタゾン)、オルベスコ(シクレソニド)、フルタイド・エアーといったガス噴霧製剤(エアロゾル)がある。またドライパウダー製剤・ガス噴霧製剤などが上手に吸入できない小児などのために、デポ・メドロール(酢酸メチルプレドニゾロン)、パルミコートにはネブライザーで吸入できる吸入液がある。ガイドラインに基づく治療をしている場合はLABA、LAMAと併用を行う場合が多いため、ICS/LABA合剤あるいはICS/LABA/LAMA合剤は、携帯する薬品、吸入回数が減ることで利便性が高い。
ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)
代表的な経口喘息治療薬。軽症や吸入ステロイド薬の使用が困難である症例においては単独で使用されることが多い。中等症?重症では一般的には吸入ステロイド薬の併用薬として使用される。リモデリング予防・改善効果、運動誘発性喘息、アスピリン喘息、鼻閉を伴うアレルギー性鼻炎や月経困難症および子宮内膜症の合併では特に使用を推奨されている。好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(チャーグストラウス症候群)発症のリスクの可能性が指摘されたが、否定的な報告もある。代表的なLTRAには、プランルカスト(商品名オノンなど)、モンテルカスト(商品名シングレアなど)がある。効果発現は薬剤によってことなるが、プランルカストでは2週間、モンテルカストでは1日で自覚症状が改善するというデータがある。アトピー性が多い小児では好まれる。プランルカストは小児の場合は1歳以上に適応があり、カプセル (112.5mg) とドライシロップ (10%) の製剤が知られており7mg/Kg/dayで最大量は450mg/dayである。朝夕に分服する。モンテルカストはチュアブル錠 (5mg) が6歳以上15歳未満、細粒 (4mg) が1歳以上6歳未満の適応があり、1日1回1錠を就寝前に投与される。特に小児ではJPGL2008ですべてのステップで第一に推奨されている薬剤である。ただしロイコトリエンが関与しない喘息もあり、約60%の患者に効果がみられる。
ケミカルメディエーター遊離抑制薬
クロモグリク酸吸入液(DSCG、インタール等)は肥満細胞の脱顆粒を抑制する薬である。直前に1回吸入するだけで運動や抗原吸入によって引き起こされる気管支収縮を軽減できる。しかし、その効果は吸入ステロイドに劣り、また発作の治療に用いることもできない。非アトピー性が多い成人の喘息では用いる機会はかなり少ないものの、アトピー性が多い小児喘息では比較的効果があり有害な副作用がないということもあり小児科では非常に好まれる薬物である。クロモグリク酸吸入液は (20mg/2ml) で1回1Aで一日3回から4回、電動式ネブライザーを用いて治療を行う。
抗アレルギー薬
スプラタミド、ケタスなどといった化学伝達物質阻害剤、ケトチフェン、アゼラスチンといった抗ヒスタミン剤なども処方されることがある。one airway one diseaseという考え方が提唱されており、喘息とアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎を同時に治療すると効果的と考えられている。
気管支拡張薬
β2刺激薬
短時間作用型 (SABA) の吸入薬は急性増悪時にリリーバーとして用いられる。長時間作用型の製剤 (LABA) はコントローラーとして用いられるが、単独使用は推奨されない。前述の通り、ICS/LABA合剤の一つであるBudesonide/Formoterolはコントローラーとしてのみならずリリーバーとしても使われることがあり(SMART療法)、GINAの喘息急性増悪時治療ガイドラインに記載されている。
短時間作用型吸入薬 (SABA)
サルブタモール(サルタノール・インヘラーやベネトリンなど)、プロカテロール(メプチン・エアーなど)、フェノテロール(ベロテック・エロゾルなど)など。即効性はあるものの、効果はすぐに減弱するため、コントローラーとしては用いられない。
長時間作用型吸入薬 (LABA)
単剤として、サルメテロール(セレベント・ディスカスなど)、ICS/LABA合剤として、プロピオン酸フルチカゾン・サルメテロール(アドエアなど)、ブデソニド・ホルモテロール(シムビコート、ブデホル)、フランカルボン酸フルチカゾン・ビランテロール(レルベア)、プロピオン酸フルチカゾン・ホルモテロール(フルティフォーム)、モメタゾン・インダカテロール(アテキュア)、ICS/LAMA/LABA合剤として、モメタゾン・グリコピロニウム・インダカテロール(エナジア)、フランカルボン酸フルチカゾン・ウメクリジニウム・ビランテロール(テリルジー)がある。セレベントは一回25 - 50μgを一日二回投与が一般的である。アドエアでは一回にサルメテロールが50μg含まれている。かつてはβ刺激薬の心臓作用が気管支喘息患者の突然死の原因と考えられていたが、ICSの普及によってむしろ炎症コントロールの程度が突然死とかかわりあっていると考えられるようになった。食品医薬品局(しょくひんいやくひんきょく、FDA:Food and Drug Administration)は、喘息長期管理(慢性期治療)における、LABAの単独使用を避けるよう警告している。貼付剤、内服薬などの剤形もあり、年齢・症状にあわせてそれぞれ用いられる。貼付剤としては小児科領域ではツロブテロール製剤のホクナリンテープがよく用いられる。0.5 - 3歳未満ならば0.5mg、3歳から9歳未満ならば1mg、9歳以上ならば2mgで胸部や背部や上腕部に貼付する。副作用は内服薬と同様で吸入薬よりは強い。また、効果発現時間は極めて遅いため急性期の対応では全く役に立たないが、服薬が難しい小児の分野では使い勝手の良さから非常に好まれる。内服薬ではアトック(ホルモテロール)やホクナリン錠、メプチン錠など多くの製剤がある。
メチルキサンチン系薬物
テオフィリン(テオロング、テオドール他)製剤である。テオフィリンは気管支拡張作用と抗炎症作用を併せ持つ。かつては気管支喘息の中心となる極めて頼りになる薬物であった。その薬物動体を理解して上手く使えば気管支喘息治療の極めて有効な治療薬となっていたが、その特性を理解しておかないと、残念ながらその血中有効濃度域が狭くかつ脱水・心不全・肝障害・併用薬剤相互作用・個人差等で簡単に中毒域に入ってしまうために、その使用法が難しく敬遠されるようになってしまった。中毒症状は多彩で重度のものは不整脈・痙攣・意識障害もある。分かり易いものは嘔気・嘔吐・動悸・食欲不振等がある。慢性難治性でβ blocked stateでβ刺激剤に反応不良の気管支喘息発作でも効果が期待できた。錠剤やカプセルの形態で徐放性製剤としては経口投与を行い、急性増悪ではテオフィリンおよびそのジエチルアミン塩であるアミノフィリンの静脈内投与を行うことができる。アミノフィリン静注では急速静注は禁止であり、ゆっくり1?2分以上かけて静注する。又は点滴静注が無難である。急速静注は酸素需給バランスの破綻によるとされる心筋障害を生じる。β刺激薬がアデニル酸シクラーゼを活性化させcAMPを上昇させるのに対して、テオフィリンはホスホジエステラーゼを阻害することでcAMPを上昇させる、結果はどちらもPKA活性化による気管支の拡張である。また、気管支喘息とCOPDに対してヒストン脱アセチル化酵素活性の増強作用による抗炎症作用や横隔膜の収縮力増強や呼吸中枢刺激作用も報告されている。徐放性テオフィリン製剤は喘息症状の改善のほか、肺機能の改善、就寝前の内服で夜間症状の改善、運動誘発性喘息の予防、低濃度での抗炎症作用が知られている。しかし治療域は非常に狭く、代謝に個人差があるため投与量の設定も個人ごとに異なり5 - 15μg/mlに血中モニタリングが必要である。また多くの薬物との相互作用が知られている。
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