商社
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総合商社

「総合商社」は「ラーメンから航空機まで[注釈 2]」といわれるように取扱商品・サービスが極めて多い。この点において、日本独自の業態であると言われる。

ただし、商社冬の時代を経て、旧来のような単純な貿易販売商社金融業務のほとんどは現在では子会社関係会社に移管された。総合商社本社の業務内容としては、国内・海外企業への出資、経営管理、経営層を含めた人材の派遣、ITの蓄積やシステム開発など、事業持株会社やある種の投資会社に近い機能が多くなってきている。これらの機能を活かして、総合商社自ら新規事業を立ち上げることも多い。

現在、国内で一般的・慣習的に「総合商社」と呼ばれるのは下記の7社。(売上高・純利益:2024年3月期連結。千万単位以下は切り捨て/時価総額:2021年5月30日現在。千万単位以下は切り捨て)

会社名売上高当期純利益時価総額略称
三菱商事19兆5676億円1兆248億円4兆4809億円「商事」[注釈 3]
伊藤忠商事14兆299億円8519億円5兆2713億円「伊藤忠」
三井物産13兆3249億円1兆804億円4兆1224億円「物産」
豊田通商10兆1889億円3402億円1兆7844億円「豊通」[注釈 4]
丸紅7兆2505億円4825億円1兆7170億円「丸紅」
住友商事6兆9103億円4261億円1兆9544億円「住商」
双日2兆4146億円1030億円4280億円「双日」[注釈 5]

総合商社の定義とその変遷

そもそも「総合商社」という名称は上記のように「専門商社」との対比で使われる用語で、どこまでの商社を総合商社に含めるかに関しては慣習的な部分が大きい。用語自体は1955年頃から使われるようになったものだが、戦前にも、三井物産1890年代には「総合商社」としての形態を整えており、三菱商事鈴木商店岩井商店大倉商事などがこれを追いかけた[5]

戦後、鉄鋼系専門商社と関西系の繊維専門商社が事業領域を拡大する一方、GHQによる財閥解体で解散させられていた三菱商事三井物産がそれぞれ大合同を果たし、さらに住友商事が新規参入した結果、1960年前後にはいわゆる10大総合商社体制がほぼ成立した[5][注釈 6]1970年代前半までは三菱商事三井物産住友商事伊藤忠商事丸紅(丸紅飯田)、日商岩井(日商)、トーメンニチメン兼松江商(兼松)、安宅産業の10社を「総合商社」「十大商社」と呼ぶことがほぼ一般的であった。その後、1977年安宅産業の破綻伊藤忠商事への吸収合併や日商岩井・ニチメンの合併(現・双日)といった企業統合が進んだ。また、この間に、大手専門商社であった豊田通商がトーメンを吸収することによって名実ともに総合商社化した。その反面、兼松はバブル崩壊後の経営が悪化し、業容を絞り込むことでその後再建を果たしたが、その代償として事業規模は大幅に縮小することとなった。

現在、総合商社とは、三井、三菱、住友、伊藤忠、丸紅、豊田通商、双日の「七大商社」を指し、更に三井から丸紅までは「五大商社」となる。この基準は取引の規模に基づく(豊田通商と双日の1件当たりの取引は上位5社よりやや小さい)。なお、商社の業界団体である日本貿易会の会長は「七大商社」の社長が持ち回りで就任し、2022年5月からは丸紅の國分文也が会長をつとめている。
成立の経緯による分類
財閥系:三菱商事・三井物産・住友商事
商事・物産は戦前から存在し、財閥解体による分割を経て再統合されたが、住商は戦後になって設立されたもので比較的歴史が新しい(その後戦前に一度、旧長谷川・竹腰建築設計事務所を合併して参入していた建築設計部門が日建設計として独立(のれん分け)している)。安田財閥のみ、商社部門がなかった。
関西五綿:伊藤忠商事、丸紅、東洋棉花(のちにトーメン→豊田通商)、日本綿花(→ニチメン→双日)、江商(→兼松江商→兼松)
繊維商社から発展した上記5社を指す。繊維製品は戦前から日本の重要な輸出品であり、棉花などの原料の輸入も活発に行われていたので、これらの商社は充実した海外ネットワークと貿易に対応できる人材・ノウハウを保有していた。戦後、その特徴を活かして高度成長期に金属・機械・エネルギー・化学品などの取り扱いを伸ばし、また、その分野の専門商社を合併して総合商社化した。かつての戦前の大商社であった大建産業を母体とした伊藤忠や丸紅の場合は特に商社などとの合併が顕著であり、前者は安宅を元主力行住友銀行、現在の三井住友銀行)の主導で救済合併。後者も高島屋飯田(大手百貨店島屋の源流。合併後、呉服卸分野は現在の京都丸紅へ継承している)や東通(旧浅野物産。元浅野財閥系で、鉄鋼・セメント窯業系が中心の複合商社)を合併している。
その他:日商岩井(→双日、旧鈴木商店出身の日商と鉄鋼商社の岩井が合併)、安宅産業(鉄鋼商社系)

かつての総合商社
兼松
1990年代半ばの債務免除後に事業の選択と集中を実施。IT・食料など主要4分野に特化した。総合商社に分類されることもある。
安宅産業
1977年に破綻し、伊藤忠商事に吸収合併された(安宅産業破綻)。
鈴木商店
戦前には三菱商事・三井物産以上の売上高を誇ったが、1927年昭和金融恐慌のあおりを受けて破綻。貿易部と傘下の日本商業会社が独立して日商となり、これが後に岩井産業と合併して日商岩井となった。日商岩井は更に日本綿花から変わったニチメンと合併し、現在の双日につながる(両者とも社名に「日」の字がある)。
専門商社

専門商社とは、特定の分野、業種において商社活動、機能を果たす企業を指す。企業の数は非常に多い。海外では資源メジャー穀物メジャーなど大手から中小まで無数に存在しており、国際的には専門商社の形態が一般的である。

総合商社やその分野の大手メーカーの子会社・関係会社であることが多く、総合商社とは違って旧来通りの物流・金融が現在でも業務の中心となっている。しかし、単純な輸出入・販売だけではなく、商品企画・マーケティングや流通ITなどの機能で付加価値を追求するようになっている。独立系の専門商社などでは総合商社と同様の投資業務に乗り出しているところもある。

取扱商品についてはあくまでも基本となる部分で、会社によっては新規分野への進出を図っているところもある。業務内容としては貿易を中心とするものと国内卸を中心とするもの、その両方を取り扱うものに分類できる。以下に日本国内の主な現存の専門商社を示す。
地方商社

国分北海道北海道の食品・酒類担当、元三井物産系(旧北酒連・三井食品札幌支社)→国分系)

住友商事九州(九州地方沖縄担当、住友商事系)

双日九州(九州地方・沖縄担当、双日の地方子会社)

栗林商会グループ(東北、北海道、関東、関西 (三菱、JFEと近い))

鉄鋼

日鉄物産日本製鉄系)

阪和興業(独立系)

岡谷鋼機(独立系)

佐藤商事(独立系)

メタルワン三菱商事双日系)

伊藤忠丸紅鉄鋼伊藤忠丸紅系)

三井物産スチール(三井物産系)

住友商事グローバルメタルズ(住友商事系)

JFE商事JFE系

神鋼商事神戸製鋼所系)

大同興業(大同特殊鋼系)

日立金属工具鋼(日立金属系工具材料最大手)

ナス物産日本冶金工業系)

非鉄金属

三菱商事RtMジャパン(旧金属商事+又一産業→旧金商又一→旧金商→旧・三菱商事ユニメタルズ、三菱商事系、鉄鋼原料も扱う)

ラサ商事(独立系)

白銅 (企業)(独立系)

アルコニックス(旧・日商岩井アルコニックス、双日系)


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