商標の普通名称化
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「その名称が特定の業務を営む者から流出した商品又は特定の業務を営む者から提供された役務を指称するのではなく、取引界においてその商品または役務の一般的名称であると意識されるに至っているもの」[1][2]を意味し、商標として使用されても需要者はその商品や役務の出所を認識することができないので商標としての機能を発揮しない。

商標「時計」について「時計」[2]

役務「美容」について「美容」[2]

その他、商品または役務の普通名称には略称俗称も含まれる[2]。このような略称、俗称の例を次に示す。

略称:「アルミ」(アルミニウム)「パソコン」(パーソナルコンピュータ[2]

俗称:「波の花」(塩)「おてもと」(箸)[2]

商標の普通名称化

普通名称は、前節に列挙したもののような、大昔から一般的名称として用いられてきたものに限られない。当初は、特定の業務を営む者による商品または役務を指称する商標としての機能を発揮していたが、その後普通名称となることがある。この現象が商標の普通名称化である。
普通名称化した商標の例詳細は「普通名称化した商標一覧」を参照

普通名称化した商標の例としては、以下のようなものがある。

日本語

エスカレーター

正露丸

メカトロニクス

魔法瓶 - (サーモスのブランド名)

ういろう[3]

プリント倶楽部 - 一般的には「プリクラ」と略されている。


英語

Escalator(「エスカレーター」)

Videotape(「ビデオテープ」、アンペックスのブランド名)[4]

heroin(「ヘロイン」、バイエルのブランド名)[5]

Floor tom(ドラムの一種)[3]


ポーランド語の「rower」(「自転車」の意。ローバーブランド名

パラオ語の「sapporo ichibang」(「インスタントラーメン」の意。サッポロ一番が語源[6]

階段式昇降機を表す「エスカレーター」は、当初は米国オーチス・エレベータ・カンパニーが製造販売する当該種類の商品を表示する商標として需要者に認識されていた。しかし、現在は階段式昇降機を表す一般的名称として認識され、他社が製造販売する階段式昇降機にも「エスカレーター」の名称が使用されている。階段式昇降機に「エスカレーター」の名称を付して販売しても、それがオーチス社の商品であると意識されることはない。

日局クレオソートを主成分とした整腸剤を表す「正露丸」は、1954年(昭和29年)10月にいったんは商標登録された。しかし、その後無効審判の請求を受けて、当該商標が既に普通名称化したことを理由として商標登録を無効とする審決が出された。商標権者はそれを不服として審決取消訴訟を提起するが、最高裁判所において審決が維持された(最高裁判所判決昭和49年(1974年3月5日)。「正露丸」なる名称は、既にクレオソートを主成分とした整腸剤を表す普通名称となっていたことが認定された。

機械工学電子工学が融合した学問・技術分野を示す「メカトロニクス」は、1969年安川電機の技術者・森徹郎によって発表された概念で、1972年に同社の登録商標として登録された。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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