哺乳類
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真獣類の基本数はイノシシに見られる片顎あたり切歯3・犬歯1・前臼歯4・臼歯3だが、これが揃っている種は少なく[16]食性により歯の退化したものや、ハクジラ類のように同形歯をもつものもある。両生類や爬虫類は同形歯であり、鳥類は歯をもたない。

頬歯(前臼歯と臼歯)は、歯冠に咬頭と呼ばれるふくらみを複数もち、複雑な形をしている。また、頬歯の歯根は2本以上に分岐している。
骨格の特徴
成長点
長骨は中心部分ではなく両端の骨端軟骨部分で成長し、成長中の若い個体では、それらが軟骨でつながっている(爬虫類では、骨は中心部分からしか成長しない)。
下顎
1つの歯骨だけでできている(爬虫類は下顎が複数の骨からなる)。
鱗状骨
頭骨と下顎は、側頭鱗(鱗状骨)と歯骨によって関節している(爬虫類の顎関節は、方形骨と関節骨からなる)。
耳小骨
鐙骨砧骨槌骨という3個の連続した耳小骨が、鼓膜の振動を内耳に伝える(爬虫類や鳥類の耳小骨は、鐙骨のみ。哺乳類のみがもつ砧骨と槌骨は、爬虫類の方形骨・関節骨がそれぞれ変化したものである)。こうした変化は獣弓類(とりわけキノドン類)において段階的に進化が進んでいた[17]
二次口蓋
口蓋と鼻道の間に二次口蓋と呼ばれる板状の骨があり、口と鼻道の間が完全に仕切られている(爬虫類ではこの分離が不完全)。
頭骨の鼻穴
1つ(爬虫類では1対)。
後頭顆
頭蓋後頭部にある大後頭孔の左右に、頭骨と第一頸椎を関節させる後頭顆を1対もつ(爬虫類や鳥類は、大後頭孔の下に1個の後頭顆をもつ)。
頚椎
7個。ただし、クジラ目では癒合・分離によって数が変異し、ジュゴン目では6個、アリクイ目では6・9・10個となる。
肋骨
首の部分の肋骨は、すべて頚椎に癒合している。胸椎にはゆるく関節し、体を前後左右に曲げるだけでなく、ねじることもできる。また、の部分には肋骨がない(体をねじれることと、腹部の肋骨を欠くことにより、メスは寝そべって子どもに授乳することができる)。
肩甲骨
脊柱とは関節しておらず(このために前肢の自由な動作が可能となる)、外側の面に肩甲棘とよばれるはっきりした隆起線が前後に走る(爬虫類の肩甲骨には肩甲棘がない)。

骨の数は親指が2個、その他の指は3個が基本(爬虫類はこれより多い)。
寛骨
腸骨坐骨恥骨の3つが癒合し、1つの寛骨になっている。ただしクジラ類は寛骨が消失(爬虫類は3つの骨が分離している)。
色覚の特徴

脊椎動物色覚は、網膜の中にどのタイプの錐体細胞を持つかによって決まる。魚類両生類爬虫類鳥類には4タイプの錐体細胞(4色型色覚)を持つものが多い。よってこれらの生物は、長波長域から短波長域である近紫外線までを認識できるものと考えられている。一方ほとんどの哺乳類は錐体細胞を2タイプ(2色型色覚)しか持たない。哺乳類の祖先である爬虫類は4タイプ全ての錐体細胞を持っていたが、2億2500万年前には、最初の哺乳類と言われるアデロバシレウスが生息し始め、初期の哺乳類は主に夜行性であったため、色覚は生存に必須ではなかった。結果、4タイプのうち2タイプの錐体細胞を失い、青を中心に感知するS錐体と赤を中心に感知するL錐体の2錐体のみを保有するに至った。これは赤と緑を十分に区別できないいわゆる「赤緑色盲」の状態である。この色覚が哺乳類の子孫に遺伝的に受け継がれることとなった。

霊長類直鼻猿亜目は、メガネザル下目真猿下目に分岐する。この分岐の際に真猿下目のX染色体に位置する錐体視物質に関連した色覚多型が顕著になり、ヘテロ接合体の2本のX染色体を持つメスに限定した3色型色覚の再獲得につながり、さらに狭鼻下目のオスを含めた種全体の3色型色覚の再獲得へとつながることとなる[18]真猿下目狭鼻下目旧世界ザル)と広鼻下目新世界ザル)とが分岐したのは3000-4000万年前と言われている[19][20][信頼性要検証]。ヒトを含む旧世界霊長類狭鼻下目の祖先は、約3000万年前、性染色体であるX染色体に位置している赤を中心に感知するL錐体から変異した緑を中心に感知する新たなタイプの錐体(M錐体)視物質の遺伝子が出現し、ヘテロ接合体の2本のX染色体を持つメスのみが3色型色覚を有するようになり、さらにヘテロ接合体のメスにおいて相同組換えによる遺伝子重複の変異を起こして同一のX染色体上に2タイプの錐体視物質の遺伝子が保持されることとなりX染色体を1本しか持たないオスも3色型色覚を有するようになった。これによって、第3の錐体細胞が「再生」された。3色型色覚はビタミンCを多く含む色鮮やかな果実等の発見と生存の維持に有利だったと考えられる[21][19]

なお、時代を下ってヒトの色覚に鑑みるに、ヒトが属する狭鼻下目のマカクザル色盲がヒトよりも非常に少ないことを考慮すると、ヒトの祖先が狩猟生活をするようになり3色型色覚の優位性が低くなり、2色型色覚の淘汰圧が下がったと考えられる[21]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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