和光大事件
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犯行終了の約1時間ないし1時間40分後に、犯行現場からいずれも約4kmはなれた地点で、警察官がそれぞれ被疑者らを発見し、その挙動や着衣の汚れ等を見て職務質問のため停止するように求めたところ、いずれも逃走し、かつ、籠手を腕に付けている、顔に新しい傷があるなどの事実関係の下であれば、被告人3名に対する本件各逮捕は、いずれも刑訴法212条2項2号ないし4号にあたる者が「罪を行い終わってから間がないと明らかに認められるとき」にされたものであるといえる[1]
所持品の差押について

刑訴法220条1項2号によれば、捜査官は被疑者を逮捕する場合において必要があるときは逮捕の現場で捜索、差押え等の処分をすることができるところ、右の処分が逮捕した被疑者の身体又は所持品に対する捜索、差押えである場合においては、逮捕現場付近の状況に照らし、被疑者の名誉等を害し、被疑者らの抵抗による混乱を生じ、又は現場付近の交通を妨げるおそれがあるといった事情のため、その場で直ちに捜索、差押えを実施することが適当でないときには、速やかに被疑者を捜索、差押えの実施に適する最寄りの場所まで連行した上、これらの処分を実施することも、同号にいう「逮捕の現場」における捜索、差押えと同視することができ、適法な処分と解するのが相当である。

被告人Aが本件により準現行犯逮捕された場所は店舗裏搬入口付近であって、逮捕直後の興奮さめやらぬ同被告人の抵抗を抑えて籠手を取上げるのに適当な場所でなく、逃走を防止するためにも至急同被告人を警察車両に乗せる必要があった上、警察官らは、逮捕後直ちに右車両で同所を出発した後も、車内において実力で籠手を差し押さえようとすると、同被告人が抵抗して更に混乱を生ずるおそれがあったため、そのまま同被告人を右警察署に連行し、約五分を掛けて同署に到着した後間もなくその差押えを実施したというのである。また、被告人B、Cが本件により準現行犯逮捕された場所も、道幅の狭い道路上であり、車両が通る危険性等もあった上、警察官らは、右逮捕場所近くの駐在所でいったん同被告人らの前記所持品の差押えに着手し、これを取り上げようとしたが、同被告人らの抵抗を受け、更に実力で差押えを実施しようとすると不測の事態を来すなど、混乱を招くおそれがあるとして、やむなく中止し、その後手配によって来た警察車両に同被告人らを乗せて右警察署に連行し、その後間もなく、逮捕の時点からは約1時間後に、その差押えを実施したというのである。

以上のような本件の事実関係の下では、被告人三名に対する各差押えの手続は、いずれも、逮捕の場で直ちにその実施をすることが適当でなかったため、できる限り速やかに各被告人をその差押えを実施するのに適当な最寄りの場所まで連行した上で行われたものということができ、刑訴法220条1項2号にいう「逮捕の現場」における差押えと同視することができるから、右各差押えの手続を適法と認めた原判断は、是認することができる。
参照条文

刑事訴訟法

212条2項 左の各号の一に当たる者が、罪を行い終つてから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。

一 犯人として追呼されているとき。

二 贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。

三 身体又は被服に顕著な証跡があるとき。

四 誰何されて逃走しようとするとき。


213条 現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

220条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、(中略)現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは左の処分をすることができる。(以下略)

一 人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入り被疑者の捜索をすること。

二 逮捕の現場で差押、捜索又は検証を行うこと。



注釈

結論として、捜査を適法とした控訴審での判断は最高裁判所においても是認された。.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

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脚注[脚注の使い方]
出典^ a b 平成8年度重要判例解説 刑事訴訟法1

参考文献

最決平成8年1月29日 平成5(あ)518 凶器準備集合、傷害被告事件
(PDF)

『平成8年度重要判例解説』有斐閣、1997年。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 4-641-11571-0。 

関連項目

逮捕

差押

内ゲバ










日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派(革マル派)
前身党派

革命的共産主義者同盟

幹部

黒田寛一

植田琢磨

風森洸

松崎明

思想

反帝国主義・反スターリン主義

のりこえの論理

権力謀略論

権力の走狗論

関連組織

解放社

全日本学生自治会総連合(革マル派)

マルクス主義学生同盟(革マル派)

国鉄動力車労働組合

早稲田大学新聞会

全日本鉄道労働組合総連合会

東日本旅客鉄道労働組合

北海道旅客鉄道労働組合

関係事件

関西大学構内内ゲバ殺人事件

川口大三郎事件

中核派書記長内ゲバ殺人事件

革労協書記長内ゲバ殺人事件

水本事件

和光大事件

神戸事件をめぐる革マル派事件

早稲田大学学生部長宅盗聴事件

系統図

(共産党)                               
                                
  (1969 社青同国際主義派)  
 
    トロ同(*1)/ICP       1989 全国協/労働者の力  
       
  1957 トロ連 1957 革共同   西派/関西派   1965 第四インター        1991 JRCL  (2009 かけはし、2020 日本協議会)
                   


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