呉語
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それは定冠詞のような使い方であり、英語の「the」やフランス語の「le/la」などに似ている[6]。湖州弁を例にすると、

呉語(湖州)現代標準漢語英訳文法的役割
本書交關好看。(所討論的或眼前見到的某本)書很好看。The book is interesting.特定
部車架型得哩!(眼前所見的某輛)車棒極了!The car is very good.特定
渠捺?銅鈿?去。他?走了(談話者雙方都知道的某些)錢。He has stolen the money.特定

助詞の役割としての量詞

?語には指属助詞の「的」、「之」などを使う代わりに量詞を使う習慣があるが、このような量詞が文中における役割は物の所属の指示という点には変わりがない。

?語現代標準漢語英訳論理的意義
我支筆我的筆My pen私に属するペン
渠部車他的車His car彼に属する車
?隻書包。?的書包Your bagあなたに属するかばん

語気助詞

呉語の語気助詞が語句の意味の伝達において重要な文法的や意味的役割を担っており、その種類が豊かであり、使い方が複雑であり、形式も多様である。語気助詞が語気や情貌を伝える上で必要不可欠である場合が非常に多い。上海話で例えると、主要な語気助詞には:

「得」(老派)、「了」、「得了」

疑問語気助詞,如:「?」、「了」、「?」、「勿?」、「?」、「??」(老派)、「?」、「?」、「咾」、「?」(「個?」連音,句尾助詞「個」濁化)、「阿」(用於句首或句中,入聲)

命令語気助詞,如:「?」、「好?」(老派:「末哉」)

感歎語気助詞,如:「?」、 「?」、「個?」、「哩」、「哇」、「?」

その他の文末語気助詞,如:「?」、「?」、「喉」、「?」、「個?」、「?」、「?哩」(老派)、「?」

内部的多様性のほか、語気助詞の地域差も非常に大きく、地理的多様性を持っている。それが呉語の大きな特徴の一つである。
表記系統「zh:?語字」および「zh:?語文學」も参照

呉語の使用者は正式な場で20世紀初めに興起した現代漢語白話文の書写系統を使うことが普遍的であり、その文法や詞彙は現代標準中国語(「普通話」或いは「国語」)に一致し、呉語自身の文法や詞彙との違いが非常に大きく、「文」「言」不一致現象がある。小さいころから現代漢語白話文の教育を受けてきたため、ほとんどの人々はこのような「文」「言」不一致現象を受容しており、「五四運動」の前の人々が普遍的に文言文に慣れているのと同じである。呉語で現代漢語白話文を朗読する時は、完全に文字通りに読むのではなく、呉語の文法や詞彙で文を柔軟に調整したりし、呉語で言い換えることが多い。このような「文不対言」(文がことばに対応していない)現象は、現代漢語白話文興起より前の漢語北方話使用者あるいは漢文使用に慣れていた近代以前の朝鮮語日本語話者たちが体験してきた「文」「言」不一致現象に似ている。
呉語書面文

呉語書面文の例として、蘇白とも呼ばれる白話文系統がある。これが呉語口語を文法や詞彙の基準として、漢字を書記文字とした表記系統である。

呉語白話文が明代中期に興った。当時の江浙地方で商業化が興り、蘇州が江浙の経済の中心地域となった。蘇州弁を代表とした呉語は、江浙に通じるようになった。経済的発展が文化の繁盛を促進し、共通語としての統一した白話の需要を促した。多くの商人は系統的な文言教育を受けたことが無いため、蘇州弁が江浙地方の強勢方言や書面言語となった。これで「蘇白」をもって呉語を指す現象が産まれた。

明代の文献『広志繹』は当時南直隸の鎮江、常州、蘇州、松江4府と浙江省について記載しており、これらの地域において方言の間にある程度の違いがあり、蘇白が江浙の異なる地域での交流用の共通語になったと述べている。

太平天国の乱の後、蘇州の都市が破壊され、上海が西洋勢力のおかげで戦火を免れたため、上海弁の影響力が益々強くなり、江浙地方の強勢方言と書面語になったが、蘇白が依然として一定の影響力を持っていることを理由に、呉語白話文は旧名「蘇白」を保っていたか、或いは「上海蘇白」と呼ばれて区別されていた。その後、越劇の流行により、?州話が江浙地方で流行り、?州話による全省範囲内の放送も一時期存在した。

新文化運動の興起の後、京白(官話)が国語となり、地位が強まることにより、蘇白の影響力が弱くなった。「普通話」の普及の後、京白を基礎音とした普通話がついに蘇白から江浙における共通語の地位を奪った。
呉語文学

呉語文学の誕生と芽生えが非常に早く、非常に長い歴史を有している。呉語文学には呉歌、呉語小説や呉語戲曲等がある。
呉歌

呉歌の起源は非常に古く、顧頡剛『呉歌小史』によれば、『詩経』より遅いことはないということである。『詩経』には呉歌が無いとはいえ、陶鴻飛等の学者曰く「實可與詩三百並駕齊驅」。呉歌の大多数は恋の歌であり、その中に『子夜歌』や『懊依歌』などがある。それ以外に風情民俗を反映したものや、疾苦を訴えるものや善を説くものがある。蘇州の『十二月風俗山歌』、『江南百姓苦愁愁』、『長工謠』等は今日でもなお流行っている。 呉歌選集では明の馮夢龍が編纂した『桂枝兒』と『山歌』がもっとも有名であり、内容のほとんどは「結識私情」の類である。これらの作品は明代中期の呉語を詳細に記録している。その作品を見れば、当時の呉語の語彙、文法の多くが今日のそれと共通していることが分かる。胡適は『「呉歌甲集」序』でこのように論じた:「地域でいえば則ち蘇、松、常、太、杭、嘉、湖は全て呉語区域に帰することができ、歴史でいえば則ちすでに三百年を有している。三百年間で崑曲を学ぶものに呉音を学ばないものはいなかった。ここ一世紀で、上海はまた全国商業の中心地となり、呉語はこのため特殊な重要地位を有している。それに加え、江南の女の秀美さは久しくして全国の少年の心を征服し、昔は「南蛮語」などと呼ばれた呉音は久しくして呉中の女の最も人心に寄り添うような「軟語」となった。故に京語文学を除けば、呉語文学は最も勢力があり希望がある方言文学であるといえよう。」
呉語戯曲

伝統的な江南呉語戲曲では、対白や唱詞には多くの呉語口語的な要素を包含している。例えば、「蘇州評彈」は蘇州話を代表とした「?語徒口講説表演」の曲芸説書の形式をとっており、大量の日常口語を使いながら、柔軟に官話を混ぜて芸術的な效果をはかる。それ以外に大量に呉語口語を使う劇種には各地の灘簧(中国語版)、獨角戲、滑稽戲、滬劇(中国語版)等がある。
呉語小説

呉語小説はの時代に起こり、清朝末期に興隆した。代表例として張南莊(化名過路人)が著した『何典』が挙げられる。『何典』は全て蘇南呉語と官話との混ぜ書きで書かれ、成語、俗諺、歇後語、慣用語などがたくさん使われていた。清朝末期の呉語小説にはほかにも韓邦慶の『海上花列伝』、李伯元の『海天鴻雪記』、張春帆の『九尾亀』等がある。『海上花列伝』は初めて文言文と呉語白話とを混ぜた文体を使うものである。その作者韓邦慶は江蘇松江府(今は上海市に属する)の出身である。全書は文言と蘇白によって書かれ、対話はすべて蘇州方言で書かれたというのはその書の鮮明たる特徴である。後世の張愛玲がそれを国語(普通話)に翻訳されたが、韻味が大きく失われてしまい、そのことから呉語の表現力の豊かさが垣間見える。

1930年代は呉語創作の最盛期であり、多くの文人が呉語で創作することを好んだ。その中でも上海は当時東アジアで最も国際化した都市であり、メディアが極めて発達していたこともあって呉語創作の中心地となった。日中戦争の時、抗日の精神を宣伝するために、瞿秋白等の著名人がみな呉語で文学作品を書き、民衆の戦う士気を激励し、社会において広い影響を与えた。

中華人民共和国の成立後、政府の「普通話普及」政策で、あらゆる方言や呉語の出版物や書籍が阻害され、呉語創作が著しく衰退し、近年の改革後にようやく徐々に復興していくことになった。呉語の普及によってかつてのような地位の回復をはかろうとしたが、多くの若者は学校教育や社会環境が原因で呉語の使用ができないか、好んでいない。
脚注^ 日本語の呉音には濁音があるが、漢音との混用や、慣用音による清濁互換などがあり、体系的ではない。
^ 曹志耘 (2002年9月) (中国語). 南部呉語語音研究. 北京: 商務印書館. .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 7-100-03533-3 
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外部リンク.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}呉語版ウィキペディアがあります。










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