吹き替え
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かつては日本語字幕のみの公開が多かったことから数は少なくアニメ映画[10]や後日公開[11]、再公開が中心だったが、1999年以降は大作[注釈 2]やメジャースタジオ配給の作品を中心に多く作られており、二次利用も想定されているためソフトや配信、テレビ放送時などに流用される場合が多い。基本的には原語に忠実である。本国から翻訳や演技面の監修が行われたり、作品に合わせてサラウンド制作されていることが多いのも特徴である。
ソフト版
メディアソフトに収録のため制作されるもの。レーザーディスクVHS発売のため制作されるようになった。当初は技術的な問題から原語音声との併録が困難だったため字幕(原語音声)のみ発売される作品も多かったが、字幕版と別に「吹替版」として単体発売するなど主にVHSでソフト版は数を増やし、複数の音声が収録可能になったDVD以降は多く作られるようになった。劇場公開版と同じく原語に忠実なものが多い。
テレビ版
かつて(ソフトや配信が無い時代)は主流だった、テレビ局が主体となり制作されるもの。放送枠に合わせて本編をカットした上で収録されるケースが多いが、ノーカット放送の場合などノーカット収録されることもある[注釈 3]。収録自体はノーカットで行い、ディレクターが放送枠に合わせてカット編集を行うということもある[12]。基本的に2年間で3回までの放送との契約で権利を借り受けて制作し、契約期間終了後にマスター音源は権利元に渡される[5]

著作権は制作局ではなく映画会社に帰属するため、権利を取得すれば他局での放送やソフト化などの二次利用は可能である[13]。当初は契約期間終了後に他局で放送された際に二次使用料が支払われることはなかったため、声優運動に発展し、日本俳優連合外画・動画部会が生まれるきっかけとなった[5]。かつては局ごとに制作方針や競争意識があったことから、既に他局で吹替制作がされていても新録することや、同じ局でも音源紛失やクオリティを上げるためなどの理由で録り直すことがあった。また、テレビ放送という都合上「面白い番組にする」ことも必要なため、台詞の変更や声優に原音とは異なる演技を要求するなど、独自の演出を加えることがある[14]2010年代以降は映画番組枠の減少や映画番組における洋画放送が少なくなったことに加え、映画配給元から指示される場合もあり、劇場公開版など既存の吹替を流用する機会が増加している。『金曜ロードショー』のプロデューサーは2020年に、費用の関係から新規制作することが困難になっているが「その灯も絶やさないようにしていきたい」と述べている[15]
機内上映版
飛行機の機内上映のためだけに制作されるもの。どの航空会社でも使用できる「マルチ版」と、航空会社自体が制作に関与し1社でしか使用されない「シングル版」に区分され[16]、近年はマルチ版が主流となっている。かつては配給ルートが通常と異なり、電通などの大手広告代理店が独自に上映権を買い付け吹替版を制作、それを航空会社に売るという形だった[17][注釈 4]。声優の若山弦蔵は機内版について1982年に「テレビ版より予算が潤沢」と語っており[19]、豪華声優陣となることも多かった[20]。1970年に行われた日本放送芸能家協会放芸協芸能マネージャー協議会新劇団協議会、電通の4者協議の結果、機内用音源は機内上映のみの使用に限ると規定されており[18]、上映期間が終わった音源は、契約の問題から破棄されるといわれる[21]一方で、二次利用のアテもなく航空会社の倉庫に保管されているとの情報もあり[20]、マルチ版は後にソフト収録されることがある[16]。その他、海外の会社が制作して航空会社に納品するというケースもあり、その場合は「日本語が変」なものになるという[22]
VOD版
動画配信サービスなどビデオ・オン・デマンドなどのために制作されるもの。カットされたテレビ版しか存在しない旧作に制作されることもある。
吹き替え専門レーベル

近年、外国語映画をテレビ版で見ていた年代が、その時の吹き替えを見たいという要望が多くなったため、こういったテレビ放送版吹き替えを専門的に扱うパッケージレーベルが登場している[23]。また、レーベル化はされていないものの、一度パッケージ化されている作品にテレビ版吹き替えを収録した新パッケージを発売した物も存在する(007シリーズや『トゥルーライズ』、『ターミネーター2』など)。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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