吹き出物
副腎と性腺のアンドロゲン代謝に影響を与えることによってざ瘡の病因における因果的役割を有している[22]。牛乳摂取と高血糖の食事は、インスリンおよびIGF-1媒介PI3K/Aktの活性化により皮脂腺生成細胞とケラチン生成細胞の増殖、脂質生成・皮脂性を誘導し、ざ瘡を悪化させる[22]。さまざまな症候群の一部として、ざ瘡の発生は、IGF-1とざ瘡の間の相関を支持する証拠を提供する[22]。
牛乳、乳製品との関連性
米国皮膚科学会での2016年8月の報告は因果関係は不明であるが、ざ瘡と低脂肪牛乳や無脂肪牛乳と関連(p=0.01)が示された。全ての乳製品の摂取量、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸(不飽和脂肪酸)、血糖負荷との有意な関連はみられなかった。また、総エネルギー摂取量や体格指数(BMI)との有意な関連もみられなかった[23]。
牛乳の摂取制限は、肥満・糖尿病・癌・神経変性疾患・ざ瘡などの流行疾患の予防に多大な影響を与える[24]。
牛乳はざ瘡に悪影響である[25]。
牛乳の摂取量はざ瘡の有病率と重症度を増加させる研究報告がある[26]。乳製品やグリセミック指数が高い食品の影響があることを支持する説得力のあるデータが存在する[26]。
ハーバード大学公衆衛生学部が4,237人の男性を対象とした調査では、総ミルク1.16 (95%CL 1.01-1.34, p=0.77)、全乳(2%)1.10(95%Cl 0.94-1.28, p=0.83)、低脂肪乳(1%)1.17(95%Cl 0.99-1.39, p=0.08)、無脂肪乳1.19 (95%Cl 1.01-1.40, p=0.02)[27]。無脂肪乳の摂取量とざ瘡の間に正の関連を示している[27]。
ハーバード大学公衆衛生学部が47,355人の女性を対象とした調査では、総ミルク1.22(95%Cl 1.03-1.44, p=0.002)、全乳1.12(95%Cl 1.00-1.25, p=0.56)、低脂肪乳1.16(95%Cl 1.01-1.34, p=0.25)、無脂肪乳1.44(95%Cl 1.21-1.72, p=0.003)[28]。インスタントの朝食と飲み物、シャーベット、カッテージチーズ、クリームチーズもざ瘡と積極的に関連していた[28]。全乳と無脂肪乳の摂取が、ざ瘡と正の関連を示している[28]。
牛乳は潜在的なざ瘡の原因として最も検討すべき要因の一つである[29]。乳清タンパク質の含有量が高い場合は特にIGF-1レベルの増加を誘発する[29]。IGF-1は皮膚細胞の成長・分裂を促進し、皮脂産生、黄体形成ホルモンおよびエストロゲン産生の効果がある[29]。したがって、乳由来タンパク質のサプリメントの使用によって誘発されたざ瘡のメカニズムに関連しうる[29]。IGF-1の上昇は例えば、アンドロゲン・成長ホルモン・グルココルチコイドなどの面皰因子を媒介すると思われる[29]。別の研究によれば、インスリン様成長因子1 (IGF-1) の血漿濃度は、ざ瘡ではない人々と比較し有意(p=0.04)に高かった。また、重症度とも相関(p=0.01)していた[30]。
食事構成
中等度から重度のざ瘡が無脂肪乳、チーズ、ヨーグルト、菓子、ケーキ、チョコレート、1親等の肥満(BMI?30)家族歴、牛乳の高摂取、魚の低摂取、果物・野菜の低摂取と関連している[31]。
西洋型食生活によって引き起こされる炎症性症状だということを示唆している研究がある[32]。
ざ瘡に対するグリセミック指数・血糖負荷と牛乳の影響を、内分泌学的メカニズムの説明だけでなく食事の変更に関連する臨床的エビデンスを提供する[33]。
18 - 25歳の248人(男性115人・女性133人)に対して脂肪・砂糖・果物・野菜の摂取傾向を2012年1月 - 5月にニューヨーク市で調査した[34]。中度から重度のにきび患者は、グリセミック指数(P<0.001)、砂糖(P<0.001)、1日の牛乳摂取量(P<0.001)、飽和脂肪酸(P<0.001)、トランス脂肪酸(P<0.001)、1日の魚摂取(P=0.002)と関連があった[34]。
2012年にフランスで行われた15?24歳を対象とした疫学的な調査では、チョコレートや甘い菓子を毎日食べている人は、ざ瘡になるリスクが2.38倍であった[35]。一方、煙草を毎日10本以上吸っている人はリスクが0.44倍、大麻を使用している者はリスクが2.88倍であった[35]。これらは統計学的に有意であり、ざ瘡に関連していることが分かった[35]。砂糖・脂質・牛乳の関連については未調査[35]。
チョコレートとの関連性は認められなかったとする報告もある[36][6]。しかし、小規模な試験でカカオバターを摂取したグループにざ瘡を誘発したとする報告がある[37][6]。
西洋型食生活によってmTORC1シグナル伝達が増強され、BMI指数が増加しインスリン抵抗性および早期初潮とざ瘡発症の関連を説明できる[38]。
遺伝要因としては、中程度から重度のざ瘡は、一親等の親族にざ瘡患者がいる家族歴に強く関係していた(オッズ比3.41、95%信頼区間2.31-5.05)[39]。女性と比較し、男性でBMI指数が低い人ほどリスクは減少する[39]。喫煙との関連はみられない[39]。牛乳の摂取が多いとリスクが増加し、週3以上の摂取では(オッズ比1.78、95%信頼区間1.22-2.59)であった[39]。全乳より無脂肪乳でリスクが高まる[39]。魚の摂取は保護影響(オッズ比0.68、95%信頼区間0.47-0.99)と関係していた[39]。月経とざ瘡の関連はみられなかった[39]。
診断顔・体幹部に出現したにきび
WHO国際疾病分類(ICD-10)疾病及び関連保健問題の国際統計分類
ICD-10 第12章:皮膚および皮下組織の疾患
L60-L75 皮膚付属器の障害
L70 ざ瘡<アクネ>
顔面尋常性ざ瘡(L70.0)
尋常性ざ瘡(L70.0)
膿疱性ざ瘡(L70.0)
面皰(L70.0)
集簇性ざ瘡(L70.1)
粟粒性壊死性ざ瘡(L70.2)
痘瘡性ざ瘡(L70.2)
熱帯性ざ瘡(L70.3)
小児ざ瘡(L70.4)
新生児ざ瘡(L70.4)
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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