崩壊の始まった塔へたどり着いたキリコによって夏子は救出され、天界から脱出してきた眞人たちとも「時の回廊」で合流する。眞人は、元に戻れば火事で死んでしまう運命にあるヒミに、自分たちの時代へ一緒に来るよう訴えるが、実母ヒサコ本人であるヒミは「これからあなたのお母さんになるんだから」と明るく答えて眞人をなだめる[11]。夏子もヒミと会い、ここで別れを告げた後、眞人と夏子、青サギは現実世界へ通じる「132」のドアから、ヒミとキリコはヒミの少女時代につながるドアから、それぞれの元の世界に戻る。 「下の世界」の崩壊により避難してきたインコたちやペリカンたちも眞人たちの現実世界に出現し、塔はすべて崩壊する。青サギに「まだ向こうのことを覚えてんですかい」と問われた眞人は、ポケットの中のキリコの人形や、大伯父のもとへ向かう際に積み木の丘で拾った石に気付く。青サギはその記憶もじきに忘れると言い[12]、眞人の前から姿を消していく。そしてキリコの人形がばあやのキリコへと変わる。 ようやく日本は終戦を迎え、眞人にも弟が出来た。終戦から2年が経って一家は疎開先から東京へ戻ることになり、玄関先で待つ一家の呼び声で、身支度を済ませた眞人は自室から出ていく。「おわり」の表記はない[14]。
現実世界への帰還
登場キャラクター
眞人(まひと)
声:山時聡真[16][17]、英語版吹替:ルカ・パドヴァン
青サギ / サギ男
声:菅田将暉[16][19]、英語版吹替:ロバート・パティンソン[18]眞人が疎開した屋敷にいる謎のアオサギ。屋敷の人々からは「覗き屋の青サギ」と呼ばれている。人間の言葉を話し、カエルや魚の群れを操るなど、明らかに普通の鳥ではない行動を見せる。また、羽には不思議な力が宿っている。普段は青サギの姿で眞人を監視しているが、その正体は嘴の如く大きな鼻をした禿げ頭の小男[注釈 5]。嘴に穴が空くと本来の飛行能力を失う。穴に栓をすれば姿と能力は戻るが、穴を塞げるのは穴を空けた相手に限られる。「下の世界」の主である大伯父の使いとして眞人の前に現れ、彼に「母(ヒサコ)が生きている」と吹込むことで「下の世界」へ連れて行こうとする。だが自身の羽を使って作成した矢で嘴に穴を空けられてしまい、小男の姿に変化。大伯父の指示やキリコ(若い姿)の助言もあって、夏子を探す眞人に協力することとなり、その旅の中で次第に眞人との友情が芽生える。「下の世界」崩壊時は眞人や夏子と同じ扉から脱出。眞人に「下の世界」の存在やそこで体験した出来事はいずれ忘れ去られることを告げ、彼に「あばよ友達」と言い残し記憶の何処かへ飛び去った。
ヒサコ
眞人の実母。病院で火災に遭い死亡[注釈 6]。少女時代に塔で行方不明になったことがあり、1年後に失踪前と何一つ変わらない姿で戻ってきた。生前、成長した眞人のために『君たちはどう生きるか』の書籍を遺していた。
ヒミ
声:あいみょん[16][20]、英語版吹替:福原かれん[18]本作のヒロイン。