日本では、1949年(昭和24年)仙台市が志賀潔、土井晩翠、本多光太郎らに名誉市民の称号を贈ったのに始まり、今日では多くの市がこの制度を設けている。また、町、村などの自治体も、この制度に倣って、名誉区民、名誉町民、名誉村民などの称号を贈ることも多くなっている[3]。名誉市民を表す英語honorary citizenのhonoraryは義務や特権、報酬を伴わないことをその重要な意味としているが、日本では贈られた人には、その自治体の公共施設の利用や生活の便宜などの、若干の特権が与えられることが多い[3]。
受賞者はその市区町村出身の国会議員や首長などの政治家や医師、教育者、研究者、出身の著名人などが多く、政治家の例では元首相の森喜朗が石川県能美市の名誉市民第1号となったことや[33]、羽田孜が長野県上田市の名誉市民になったことが挙げられる[34]。研究者ではノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学教授の山中伸弥が京都市と東大阪市など自身とゆかりある市の名誉市民となっている[35]。 東京都23区のように区制を敷く自治体では名誉市民に相当する名誉区民の称号を制定している。東京都の例では、漫画家から『アンパンマン』の原作者 やなせたかしが新宿区名誉区民に選ばれているほか[36]、『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河鉄道999』の原作者 松本零士が練馬区名誉区民となっている。同様に練馬区では狂言師の野村万作も名誉区民称号の贈呈を受けている[37]。葛飾区では映画監督の山田洋次が同区名誉区民となっている[38]。 町制を敷いている自治体では、名誉市民に相当する称号として名誉町民や特別名誉町民などの称号を制定している。主な例では、ノーベル化学賞受賞者で北海道大学名誉教授の鈴木章が故郷のむかわ町の特別名誉町民に選ばれたことが挙げられる[39]。名誉市民同様、政治家も贈呈の対象だが、佐賀県北方町では当時の町長松本和夫が名誉町民に自身を推薦し、議会で可決したことで物議を醸したことがある[40]。 村制の自治体では名誉市民に相当する称号として、名誉村民などの称号を制定している。政治家では日本航空123便墜落事故の事故現場となった群馬県多野郡上野村の村長で事故対応の陣頭指揮を執った黒沢丈夫が同村名誉村民第1号となっている[41]。 そのほか、著名人の例では、2011年のサッカーワールドカップドイツ大会でなでしこジャパンのDFを務めた岩清水梓に対し、故郷の岩手県岩手郡滝沢村(現滝沢市)の村長 柳村典秀から同村名誉村民の称号が贈られている[42]。
名誉区民
名誉町民
名誉村民
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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