名探偵コナン_黒鉄の魚影
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2022年11月30日に、『週刊少年サンデー』2023年1号にて、2023年4月14日公開であることが発表された[15]。タイトル、ビジュアルも解禁され、監督は立川譲、脚本は櫻井武晴、音楽は菅野祐悟が担当することが公表された[15]

2023年5月8日に、本作の興行収入が100億円を超えたことが発表された。公式Twitterでも100億突破が正式に発表され、原作者の青山剛昌による100億達成を祝う記念描き下ろしイラストが公開された。

黒の組織が劇場版に関わるのは、第20作『純黒の悪夢』以来6作ぶりとなる。また、黒の組織のナンバー2にあたるラムや、赤井秀一安室透バーボン)なども登場する。安室と風見裕也が初めて2年連続で劇場版に登場する他、ラムの素顔がアニメに登場するのはTV版に先行して劇場版である本作のPVが初である。また、公開から半年後の10月24日一城みゆ希が死去したため、一城の演じるジョディが登場する劇場版は本作が最後となった[16]

9月1日より、「ブラッククロージング」と題して、本作の終映に向けた様々なプロモーション企画が実施された。

劇場版シリーズの定番となっているエンディング後の次回作の予告は、本作でも放映された。夜景が映し出されると、コナン、怪盗キッド、服部平次の3人の会話が流れ、2024年の次回作の公開が決定した旨が告知された。前作のハロウィン再会(リバイバル)上映と同様に、本作の終映企画「ブラッククロージング」が始まった9月以降の上映では、次回作予告映像が差し替えられた。この映像は東宝のYouTube公式チャンネルにて、「劇場版『名探偵コナン2024』超特報【2024年GW公開!】」と題して公開されている[17]。11月29日発売のサンデー2024年度1号にて、次回作が『100万ドルの五稜星』であることが明らかになった。
ストーリー

ドイツフランクフルトでキール(水無怜奈)は、ユーロポールのネットワークセンターの女性職員ニーナを追跡しており、ニーナは逃げながら、友人であるFBI捜査官のジョディ・スターリングに電話をしていた。キールは追い詰めつつも密かに彼女を逃がそうとするが、ジンが背後からキールの肩ごとニーナのこめかみを撃ち抜く。日本の米花町ではバーボン(安室透)がベルモットに状況を聞いていた。ベルモットは計画が順調らしいこと、残すは例のシステムで"ある人物"を探すだけだと語り、バーボンは時間の問題でしょうと返した。

コナンは、少年探偵団と一緒に、八丈島ホエールウォッチングツアーが当たるという福引に参加していた。灰原哀は、その近くで配布されていた「フサエブランド」の限定ブローチの整理券、最後の一枚を運よく入手したが、次に並んでいた着物姿の老婦人が残念そうに帰っていく姿を見て譲ろうと追いかけた。しかし老婦人は整理券を受け取らず、灰原は機転を利かせて「実は値段ちゃんと見てなくて、私には高かったから」と嘘をついた。すると老婦人は「まぁ」と驚いて、笑った。探偵団たちはみんな福引で外れてしまったが、灰原が整理券を譲るのを見ていた園子は、そのご褒美として探偵団達をホエールウォッチングに招待する。

八丈島のホテルに向かう車の中で、コナンは八丈島近海にインターポールの海洋施設「パシフィック・ブイ」が建設されたというニュースを聞く。それは世界中の警察が持つ防犯カメラを監視できる世界初の施設であり、責任者の牧野洋輔とシステム開発者の直美・アルジェントが説明していた。その後、ホテルに到着すると沖矢昴(赤井秀一)から電話があり、ユーロポールのネットワークセンターに侵入した人物を目撃した女性職員がジンに殺された、侵入者のコードネームはピンガで髪がコーンロウ、ラムに気に入られていると聞いたことがある、今日このセンターと回線を接続して本格始動するのが、パシフィック・ブイであると知らされる。

その後、コナンらはホエールウォッチングのために港を訪れるが、コナンは近くで警視庁捜査一課管理官の黒田兵衛と白鳥警部が乗った船が出発しようとしているのに気づき、こっそり密航する。船はパシフィック・ブイに到着し、黒田に見つかったコナンは仕方なく同行を許され、黒田らとメインルームでシステムを運営するエンジニア達を紹介される。牧野はコナンや黒田たちが見ている前でユーロポールのネットワークへの接続を指示。巨大モニターに、ヨーロッパ中の警察所管の防犯カメラの映像が映し出される。これで各地の防犯カメラを「顔認証」付きで確認が可能となった。他にも様々な技術が使える、その一つが直美が開発した「老若認証」だ。AIの顔認証による解析と防犯カメラの情報を元に、逃亡者や誘拐の被害者を世界中で追跡できると牧野は語る。

その頃、既に施設内に潜入しているピンガの手引きで、海中ハッチからベルモットとバーボンがパシフィック・ブイに潜入。休憩に出た直美を拉致し、施設外に連れ去った。休憩が終わっても直美が戻らないことを不審に思った牧野達は、監視カメラを解析して直美の動向を調べ、2人組の清掃員らしき人物たちに拉致されたことに気付く。海中ハッチを開閉できる権限を持つのは牧野、直美、エンジニアのグレース、レオンハルト、エド達だけだったため、その中に拉致した犯人達の協力者がいるかもしれないと黒田とコナンは考えた。海中ハッチのログを調べても映像が見当たらず、エドはバックドアを仕掛けられたのかもなと飄々と語った。

直美を拉致したベルモットとバーボンは、ウォッカとキールと合流。組織のボスの命令で、パシフィック・ブイのシステムを通して防犯カメラに映る組織のメンバーの姿や犯罪の様子を隠滅するため、直美を拉致したのだった。ベルモットは、直美が身につけていたネックレスが小型のUSBメモリになっているのに気づき、中身を調べる。中にはかつて組織のメンバーだったシェリーの写真と灰原の写真を並べたファイルが入っており、老若認証の結果が「一致」と表示されていた。これを見たベルモットたちは、ベルツリー急行の爆破で死んだはずのシェリーが、子供の姿になって生き延びていた可能性を考える。ウォッカがこのことをジンに知らせると、ジンは「そっちに合流してから直接確かめる」と言い、システムを利用して灰原を見つけ拉致するよう指示する。

コナンは八丈島のホテルに戻ると、阿笠博士に組織が拉致事件に関わっていることを伝えるが、灰原がそれを盗み聞きしていた。コナンは灰原に、明日少年探偵団らと帰るように伝え、念のためお守りとして自分が持っていた追跡メガネの1号機を渡し、代わりに灰原が持っていた予備の追跡メガネを受け取る。しかしその夜、組織の気配を感じた灰原は一人で部屋を出ようとするが、待ち受けていたウォッカとピンガに連れ去られてしまう。それに気づいたコナンと蘭が奮闘し、蘭はピンガの首に蹴りを食らわせる。その後、コナンは阿笠博士と共に、灰原を乗せたウォッカ達の車を追跡する。しかし、ウォッカ達の車は崖から海へ飛び込んでしまい、コナンも海に飛び込み必死に追いかける。その直後、コナンは海中から組織の巨大な潜水艦が浮上するのを目撃する。灰原の拉致を防げなかったコナンは、博士と共に悔しさを滲ませ、「オレがぜってー連れ戻す」と胸に誓う。

翌朝、コナンは再びパシフック・ブイのコントロールルームに。防犯カメラの映像から、昨夜の潜水艦や阿笠博士の車とウォッカ達の車のカーチェイスの映像を探してもらうが、潜水艦はおろか、阿笠博士の車とウォッカ達の車も映っておらず、コナンは防犯カメラの映像が改ざんされていると確信した。

その後、パシフィック・ブイでレオンハルトが死亡する事件が発生する。防犯カメラの映像を見る限りでは服毒自殺にしか見えないが、コナンはレオンハルトの死は他殺だと考える。さらに、その頃、潜水艦内には灰原と直美が捕えられており、その潜水艦にヘリからジンが合流しようとしていた。灰原から盗聴器を仕掛けられた事を察していた怜奈はウォッカから魚雷発射管の操作方法を尋ねる形で灰原に脱出方法を知らせ、灰原と直美はジンが潜水艦に着いたタイミングで組織の潜水艦からの脱出を図る。脱走を察知したジンの妨害で殺されかかるも怜奈がジンを止めている内に脱出し、水中スクーターで駆け付けたコナンに救出され、パシフィック・ブイで保護される。

事件の真相に気づいたコナンは時計型麻酔銃を小五郎に打って「眠りの小五郎」を発動し、推理ショーを開始する。レオンハルトの殺人はディープフェイクにより自殺に見せかけられたという推理を披露し、灰原と直美を拉致してエンジニアを殺した犯人をグレースだと断定、女性とされていたグレースが実は男性である事も指摘した[注 1]。灰原を拉致した時に蘭に頸を攻撃された時に付いた痣を黒田に発見されたことが証拠となり、グレースはピンガとしての本性を現す。ピンガは監視カメラに細工をして逃走を図るも、細工を見破ったコナンに追いつかれる。ピンガはコナンの正体を工藤新一と見抜き、憎き相手であるジンの地位を失墜させるためにコナンを連れて行こうとするも、コナンに「ジンもどき」と挑発され怒り心頭になっている内に白鳥と佐藤が到着し、コナンの捕獲を諦めてドアを閉めた。

一方、ベルモットは計画にないことはしないと単独行動へ。ボスに老若認証の危険性を報告してフィリピンに行き、ボスから「つぶせ」と思った通りの命令を受けてから、志保(シェリー)によく似ている人物に変装をして各地の防犯カメラに映り、老若認証は「顔が似ている別人を同一人物と認識してしまう欠陥品」だと報告する。これで灰原=シェリーという疑惑は消滅することになった。ラムはパシフィック・ブイの破壊を決定、ジンは攻撃を開始。牧野はデコイを発動して組織の潜水艦から発射された魚雷に応戦するも、ベルモットの遠隔操作でデコイによる防衛手段も封じられ、黒田に決断を迫られた牧野は技術者たちに退避を指示。パシフィック・ブイは撃沈する[注 2]。コナンは「組織の潜水艦を赤井に狙撃させる」という無謀な手段を画策し、阿笠の海中スクーターを使って海中に潜るが、そんなコナンの身を案じた灰原もコナンを追って潜水する。赤井に潜水艦の位置を示すため、スクリューに飲まれながらも花火ボールを放つ。組織の潜水艦が光に包まれ海上からもその姿が露になった所を、上空のヘリコプターに乗っていた赤井がロケットランチャーで潜水艦の狙撃を成功させる。

先程のスクリューで殆どの装備を失ったコナンは海中で力尽きていたところを灰原に発見される。灰原はコナンを救うために必死に人工呼吸を行い、コナンは息を吹き返す。組織に正体が露見した事で帰る場所がなくなった「バイバイだね。江戸川コナン君」と悲し気に微笑む灰原をよそに、コナンは一向に諦めておらず、笑顔を見せる。一方でピンガはパシフィック・ブイから逃亡して潜水艦に帰還するも、潜水艦は赤井の狙撃でダメージを受けたために爆破処分が決定しており、その情報を伝えてもらえなかったピンガは自分の運命を悟り狂気的な笑顔で海の藻屑と化す。船着き場にたどり着いたコナンと灰原は先程の潜水艦の爆破で生じた高波に巻き込まれそうになるが、コナンが船のブイを蹴り飛ばすことで何とか凌ぐ。仰向けになったまま動かなくなっていた灰原に、コナンは人工呼吸をしようとするが制止され、そこに駆け付けた蘭の唇に灰原はキスをし、コナン(新一)の唇を蘭に返したのだった。

パシフィック・ブイの再建は断念され、日本以外の国で同様の施設が新たに建設される事になった。情報非公開の新たな配属先に旅立つ直美と空港で言葉を交わす灰原。直美は灰原が志保である事を確信していたが、追及することなく心の内で「また会えてうれしかったわ…志保」と呟いて旅立っていった。少し離れた場所で阿笠とその様子を見ていたコナンは、安室からの電話を思い出して考え込む[注 3]

直美の見送りを終えて食事に行く三人を、灰原が整理券を譲った老婦人が上の階から見ていた。エレベーターに向かいながら顔に手をやり、変装マスクを剥がす。この人物の正体は、ベルモットの変装だった。「助けたワケ? それを探るのがあなたの仕事でしょ? シルバーブレット君」と微笑んだベルモットの着物の帯締めには「フサエブランド」の限定ブローチがついており、ダイヤモンドが煌めいていた。
登場人物
レギュラーキャラクター「名探偵コナンの登場人物」も参照


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