名古屋城
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最上層の5階と4階以下の下層階とは構造が異なり、下層階は防御のため壁面を多くし、最上層の5階は窓が四面に可能な限り広く取られ砲弾戦に備えられていた[30]

大天守内部に使われる柱は主に2階まで通る長い柱の「通し柱」と階ごとの柱の「管柱」の2種類の柱を使い分けて組み立てており、1755年(宝暦5年)の地震があった際に名古屋城の大天守の修理工事が行われた時の「名古屋城御天守各階間取之図」と言う修理図面によると1階と2階は「通し柱」が多く、3階から5階の柱は階ごとの「管柱」が殆で造られていた。耐震性の事を考えて揺れにも耐えられる様に柱と梁をどういう風に組み合わせ、「通し柱」をどこに配置するかなど精密に計算されて江戸時代当時、考えて大天守が造られていたと言う。

大天守の屋根は、1層目が通常の粘土瓦で、2層目以上のすべてが軽量で耐久性のある銅瓦で葺かれている。慶長年間に建てられた当時の大天守の屋根は、最上層にのみが銅瓦で葺かれており4層目以下はすべて粘土瓦だった。その後行われた1755年(宝暦5年)の大天守修復工事で現在の再建天守に見られる銅瓦葺とされた。同時に雨水による屋根の負担を軽減する銅製の縦樋、破風を保護する銅板張、地階に採光する明かり取り窓を石垣の上に設ける、など補修された。

壁面は大砲による攻撃を考慮しての厚板を斜めに鎧状に落とし込んでいる。外面は土壁を厚く盛った上に漆喰を塗り、内面は化粧板が張ってあった。土壁に塗り込められているが射撃用の隠狭間があり、戦闘時は土壁を抜いて使用した。

小天守は2層2階、地下1階で、大天守の関門の役割をした。平面は長方形で外見は千鳥破風一つと簡素な意匠だが、規模は他の城の三重級の天守を上回る。

大工頭を担当した中井家に小天守の描かれた指図[33]が残され、大天守台西面に開口部を塞いだ跡[34]が見られることなどから、大天守の西にもう一つの小天守があった、もしくは、計画されていたとする説がある。また入口も大天守に面した小天守北側でなく、指図には小天守西側に多門櫓による枡形門を介して入る形となっている。

天守は1612年(慶長17年)に完成し、以来333年間、何度かの震災、大火から免れ、明治維新後の廃城も免れた。1891年(明治24年)に発災した推定マグニチュード8.0の濃尾地震にも耐えたが、1945年(昭和20年)の空襲で焼失した。焼夷弾が、金鯱を下ろすために設けられていた工事用足場に引っかかり、そこから引火した。

なお、当時名古屋城副監視長を務め、金鯱の降下作業に当たっていた原田尊信の証言では、足場を組むために天守最上階の南側の3つの窓を開けていたところ、そこから焼夷弾が飛び込んできて天守に類焼した。この時の天守閣全体が炎に包まれていく光景が、大日本帝国陸軍東海軍管区報道部所属の軍属であった岩田一朗により、東海軍管区司令部の屋上から撮影されている[35]

宮内省から名古屋城が下賜されて1930年(昭和5年)に天守が国宝に指定され、1932年(昭和7年)に国宝建造物の細部が実測されて1952年(昭和27年)に完了し、昭和実測図として清書図282枚、拓本貼付27枚の計309枚の図面が制作された。天守の図面は大天守56枚、小天守15枚である。

1954年(昭和29年)に、名古屋市民らにより名古屋城再建基金[36][37]が始まる。1957年(昭和32年)に、名古屋市制70周年記念事業として天守の再建が開始された。請負者の間組は、昭和実測図を基に再建天守は木造か否かで議論したが、当時の消防法に従うと木造の再建は不可能であった。焼失で傷んだ石垣自体へ建物重量の負荷を軽減するため、天守台石垣内にケーソン基礎を新設し、鉄骨鉄筋コンクリート構造(SRC造)の再建天守を載せる外観復元とした。起工式は1958年(昭和33年)6月13日、竣工式は1959年(昭和34年)10月1日であった。再建天守の総工費は6億4千万円で、うち2億円は市民からの寄付である。竣工式は大々的に催す予定が伊勢湾台風の襲来直後となり極めて簡素に挙行された。再建大天守は5層7階、城内と石垣の外側にエレベータがそれぞれ設置されており、車椅子で5階へ昇ることができるバリアフリー構造である。5階から最上階展望室までは階段のみ。外観は昭和実測図に基づいてほぼ忠実に再現されたが、最上層の窓は展望窓として焼失前より大きなもので下層の窓と意匠が異なる。当時の再建天守は観光センターとして位置づけられ、1962年(昭和37年)3月に博物館相当施設に指定されて以後、展示や催事に活用されて市民生活に寄与した。 SRC造天守内部の風景

小天守1階

大天守地階

大天守地階エレベーター入口

大天守地階

大天守地階

大天守地階

大天守地階

大天守1階

大天守1階

大天守1階

大天守1階

大天守1階

大天守1階

大天守1階

大天守1階

大天守2階

大天守2階

大天守2階

大天守2階

大天守2階

大天守2階

大天守3階

大天守3階

大天守3階

大天守3階

大天守3階

大天守3階

大天守3階

大天守4階

大天守4階

大天守4階

大天守4階

大天守5階

大天守5階

大天守5階

大天守5階

大天守5階

大天守5階

大天守5階

大天守6階(閉鎖)

大天守7階

大天守7階

大天守7階

大天守7階

大天守7階展望窓と光学望遠鏡

大天守7階展望窓とテレビ望遠鏡

大天守7階展望窓からの景色。右寄り奥に冠雪した白山

大天守7階展望窓からの景色。名駅地区

大天守7階展望窓からの景色。中央奥に御嶽山と左側に乗鞍岳

大天守階段

大天守階段

大天守7階から見下ろした階段

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