同時死亡の推定の効果は「推定」にすぎないから、生存あるいは異時死亡(同時に死亡したとされた時期と異なる時期に死亡したこと)を反証として挙げる(立証する)ことによりその法的効果を覆すことが可能である[4]。ただし、この場合の反証はよほど明確な反証でなければならないとされている[4]。
十分に明確な反証があればそれが時間的に僅かな前後であっても推定は覆される[4]。これは画一的な基準によって紛争を解決するという相続法の本質から、相続制度の趣旨との関係で、どこにその限界を定めるか問題となることによる[4]。
反証によってそれまでの同時死亡の推定の効果が覆された場合には、受益者となっていた者は不当利得となるため返還義務を負う[4]。また、新たに相続人となった者は相続回復請求権を行使できる[4]。ただし、相続回復請求権は相続人またはその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは時効にかかり消滅するため制限を受ける(884条
前段)[4]。