10代の頃は、映画『男はつらいよ』シリーズで演じていた諏訪満男という若者に内心ダサく感じていた[注 5]。
『男はつらいよ』では、寅さん役の渥美清やさくら役の倍賞千恵子とのシーンで吉岡が上手く芝居できない時は、彼らが助け舟を出してくれた。渥美の場合は、台本の台詞や喋る間をとっさに変えて「満男、お前今こういうことを言いたいんだろう?」と言って、本来吉岡が言うべきことを代わりに言ってくれたという[注 6]。
子役として初めて本シリーズに出演した際、渥美から「君はたぶん役者を一生やっていくよ」と予言された[注 7]。この予言は当たり、本人はその後も内心辞めよう辞めようと思いながらも役者を続けている[1]。 本人曰く「僕は若い頃から生意気な所がある」とのこと。18歳の頃にドラマ『北の国から』で倉本聰からある回の脚本の感想を聞かれ、「つまんない」と答えたこともある[注 8]。 『北の国から』の演出家・杉田成道について「僕が子供の頃は大嫌いだった」と回想している[1]。当時の撮影現場では倉本など他のスタッフはOKを出すのに、杉田だけなかなか納得しなかった。何度もリテイクしたため撮影日が延び、学校の遠足も運動会も休む羽目になったのが嫌いだった理由である。しかし、反抗期を迎えた時に一番理解してくれたのが杉田だったことから、以後親しくなった[1]。 2012年6月29日、『北の国から』ほかで共演した地井武男が心不全で死去。8月6日に営まれた『お別れの会』に田中邦衛、中嶋朋子らと参列し、田中が参列者を代表して祭壇に向けて「お礼の言葉」を述べる際には、介添え役を務めている[4]。田中邦衛が死去した際には、「いつか、この日が来ることを心のどこかで覚悟しておりました。今は邦衛さんの笑顔しか思い浮かびません。自分の覚悟の小ささとあなたの大きな優しさに涙しかありません」とコメントをした[5]。 大学に受かった時点[注 9]で役者を引退するつもりだったため、この頃(当時の)所属事務所を辞めている[1]。しかし、ほどなくして自宅に直接、黒澤明作品の『八月の狂詩曲』のオーディションの話が舞い込み[注 10]、面接を受けることになった[1]。 面接当日は他の参加者たちは皆スーツだったのに対し、本人はラフな格好[注 11]で参加した[1]。黒澤[注 12]から服装を注意されそうになったが、彼の隣に座る娘で衣裳デザイン担当の黒澤和子がフォローを入れたことで事なきを得た[注 13]。 また、面接には映画『優駿 ORACION』で共演していたカメラマンの斎藤孝雄も同席しており、黒澤は彼に同作での吉岡の様子を尋ねた。斎藤が「いいですよ、彼は」と伝えると黒澤は「あっそー。分かった」と言うと、吉岡は何も質問されないままオーディションに合格した[注 14]。 黒澤組での『八月の狂詩曲』の撮影では、「一つの映画を皆で作る。役者もその一部である」と感じた。このことから自身の撮影を終えた後も、スタッフに混じって照明運びをするなど裏方の作業を手伝った[1]。また作中のアリが歩くシーンの撮影でスタッフたちが集まって相談していると、突然黒澤に呼ばれた。すると黒澤から「見てみろ。アリ一匹に大の大人がこんなに夢中になってんだぞ。映画作りって面白いだろう?」と言われた[注 15]。 長い俳優のキャリアの中で、『ゴジラ』シリーズをはじめとする怪獣映画に自分が出演の話は一度もなかったことから「ゴジラだけは遠い存在」だと思っていたと語っている。[6] そんな中でゴジラを倒すための作戦を考える「学者」という役柄のオファーを受けた際、役作りにゴジラの実物感をつかむために『西武園ゆうえんち』のゴジラ・ザ・ライドを体験してイメージを掴んだという。 山崎監督からは他のキャラクターと違いゴジラに対する好奇心のあるマッドサイエンティストの役柄と言われ、ゴジラに対して笑顔を見せるような表情や狂気じみた顔つきを求められたという。[7]また「男はつらいよで」自分の祖父の役柄を演じた志村喬が初代作品で自分と同じ科学者的な立ち位置を演じたことから不思議な縁でつながっていると感じたという。
『北の国から』
黒澤明と『八月の狂詩曲』
『ゴジラ-1.0』
エピソード
高校生の頃にバイクの免許を取得しているが、これは『北の国から』で共演した岩城滉一の影響[注 16]。高校時代は、夜学に通う友達もいたためどうしても遊ぶ時間帯が夜になり、彼らとバイクで走るようになった[1]。楽曲には中卒を匂わせるような表記があるものの、前述の通り高校は卒業している。
映画『遥かなる山の呼び声』で共演した高倉健からは、「秀(ひで)」と呼ばれて以後気にかけられるようになり、たまに電話などを通して交流が続いた。1987年の『北の国から'87初恋』の放送日の夜、高倉から電話を通じてその演技を褒められた[注 17]。
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