JICはもともと各軍の情報部門の調整を行う為に、帝国防衛委員会(CID。イギリスの国家戦略を立案する委員会)の「幕僚委員会」の小委員会として1936年に誕生した。当初は当然ながら軍事情報のみを扱っていたが、第二次世界大戦が始まり国が戦時体制になった事で、JICは政治の中枢に関わるようになる。1939年にはJICが外交情報も扱うようになり、議長には外務・英連邦省出身の官僚が充てられる事になった。
ウィンストン・チャーチルの時代には、JICは更に重要な位置を占めた。1940年にはMI6やMI5といった情報機関も加わるようになり、1941年には評価スタッフの前身である「合同情報スタッフ」(JIS)が設置された。JICが情報を取りまとめて政治家に報告を行う仕組みはこうして確立されていったのである。
戦後、JICはいったんCIDに戻されたが、ハロルド・マクミラン時代の1957年にJICは内閣府に戻され、JICが内閣と直結する形が確立された。その後、幾度かの改革を経て、1968年頃までには現在の形が成立したといわれる。その後もマーガレット・サッチャーの時代に議長を外務省以外からも受け入れるなど、様々な改革が行われている。近年ではイラク戦争の反省から、インテリジェンスが政治の都合に振り回される「情報の政治化」が問題になっており、政治との距離を見直す方向で改革が行われている。 代名前英語名就任退任
歴代委員長
01ラルフ・スティーブンソンRalph Stevenson
02ヴィクター・カヴェンディッシュ・ベンティックVictor Cavendish Bentinck
脚注^ a b c ワールド・インテリジェンス(2007年):14-15ページ
^ ワールド・インテリジェンス(2007年):13ページ
^ 佐藤、手嶋(2006):179-180ページ
参考文献
「イギリス『情報コミュニティ』の仕組み」『ワールド・インテリジェンス』2007年3月号、ジャパン・ミリタリー・レビュー、2007年
佐藤優、手嶋龍一 『インテリジェンス 武器なき戦争』、幻冬舎〈講談社文庫〉、2006年
⇒合同情報委員会(JIC) - 愛知県立大学 奥田泰広研究室 2012年7月2日閲覧。
⇒イギリス陸海軍の情報部 - 同上 2012年7月2日閲覧。
⇒JIC改革の歴史 - 同上 2012年7月2日閲覧。
関連項目
合同情報会議 JICをモデルに作られた日本の類似機関。
外部リンク
⇒情報保安委員会公式サイト(英語)JICのシステムの説明。ちなみに、「情報保安委員会」は議会に設けられた、「インテリジェンス・オーバーサイト」(情報活動のチェック)を行う委員会。
合同情報委員会
外務省
秘密情報部(SIS、MI6) - 政府通信本部(GCHQ)
内務省
保安局(SS、MI5) - 統合テロリズム分析センター(JTAC) - 国家犯罪対策庁(NCA)
国防省
テロ対策指令部(CTC、SO15)
過去に存在した組織
海軍情報部(NID) - ロンドン警視庁特別部(スペシャル・ブランチ、SO12) - 軍事作戦部第三課(MO3) - 秘密情報部(SSB) - 軍事情報部(DMI) - 政府暗号学校(GC&CS) - 無線保安本部(RSS、MI8) - 特殊作戦執行部(SOE) - 情報調査局(IRD) - 帝国国防委員会(CID)