2000年前後から、米国テキサス大学サンアントニオ健康科学センターの Research Imaging Center などで、「吃音は脳神経の機能不全によるもの」という脳神経科学
の視座から研究が進み、『脳機能障害』であるとの見解が出てきている。日本においても吃様の類似の症候群としての吃音は、脳内物質や脳神経、脳幹部の海馬や扁桃体などに関連しているとする研究論文が2002年に日本音声言語医学会に発表され[17]、吃音は発語運動に関連する脳内の神経回路のどの部分が機能不全を起こしても発症し、脳神経の3つの回路と2つの機能レベルに分けられること、このそれぞれの機能不全によって、吃音の種類や性質も異なるとされる。吃音者と非吃音者の脳をMRIで検査した比較研究からは、非吃音者は発語時に左脳が優位であるが、吃音者は右脳が過活動し、言語に関わる左右の運動野などの機能分化が進んでおらず、言語と非言語(舌の動きなど)の両方に関わる運動野の部位で協調性が低下しており、言語運動の開始や抑制に関連した脳部位の活動が明瞭ではないなど、非吃音者とは異なる働きをしていることが分かり、1931年にリー・エドワード・トラヴィスが提唱した『大脳半球優位説』が科学的に解明された[18]。
それによると、一次運動野、運動前野、補足運動野、前頭前野、頭頂葉、小脳(神経線維の白質)、大脳辺縁系、大脳基底核などに異常をきたしているとして、国内外などにおいて研究が進められている。 アメリカ国立衛生研究所の遺伝子学者であるデニス・ドレイナは、パキスタンの吃音者を沢山出している家系を調べ、発症に関係ありそうな突然変異した遺伝子を突き止めた[20]。また、カメルーンの吃音がある一族の研究を通じて、さらに吃音関連遺伝子を突き止めた[20]。 アメリカの研究者チャンス・カンらの研究によれば、12番染色体のGNPTABと呼ばれる遺伝子の突然変異が吃音の発症に関係があるという[21]。GNPTABの異常により細胞内の老廃物を処理するリソソームの異常がもたらされ、その結果脳の白質形成が正常に行われず、脳の構造・機能が変化し、吃音の原因になるという[21]。 重症度の評価、合併症の検索、原因の診断が行われる[6]。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}診断は、吃音の治療を手がけているST(言語聴覚士)がいる耳鼻咽喉科などの医師が行う。また神経内科などでも医師に吃音の知識があり、吃音治療を行うSTがいれば診断可能な場合がある。精神科や心療内科などでも、通院・在宅精神療法や投薬治療を受けず、初診料と再診料のみの診療報酬請求しか行わないならば、吃音症のみの診断名で基本的には受診可能である[要出典]。 A. 正常な会話の流暢さと時間的構成の困難。(その人の年齢に不相応な)で、以下の 1 つまたはそれ以上のことがしばしば起こることに特徴づけられる。 B. 流暢さの障害が学業的または職業的成績、または対人的コミュニケーションを妨害している。 C. 言語?運動または感覚器の欠如が存在する場合,会話の困難がこれらの問題に通常伴うものより過剰である。 診察時には吃音が出ない事もあり[22]、様々な問診を組合せて行う事で発声障害 吃音児の約3分の1に構音障害が合併する[24]。また、一般的に周知されている発達障害である、自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害、ADHD、学習障害などと吃音が併発する場合もあることが報告されている。てんかん、精神発達遅滞も併存する場合もある[24]。純粋吃音者は49%であり、何らかのその他の発達の症状が51%に見られるという[25]。日本国内においても、発達障害・言語発達障害と吃音との関連が示唆された[26]。 発達性吃音は自然治癒することもある[27]。吃音の有症率と発症率の差から、発症者の8割程度は吃音が消失すると考えられるが、吃音が消失した子どもと継続する子どもの決定的な違いは解明されていない[27]。一方で、自然治癒の時期を過ぎると根治は難しいという側面がある[28]。
遺伝学的アプローチ
診断
DSM-4TR
音と音節の繰り返し
音の延長
間投詞
単語が途切れること(例:1 つの単語の中の休止)
聞き取れる、または無言の停止(音を伴ったあるいは伴わない会話の休止)
遠まわしの言い方(問題の言葉を避けて他の単語を使う)
過剰な身体的緊張とともに発せられる言葉
単音節の単語の反復(例:て て て てが痛い)
他の障害との併発
治療・矯正
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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