司法取引
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ただし、将来において条件を満たさなくなった場合は執行停止はできなくなって自由刑の執行によって収監・服役されるため、将来的にも維持される条件である「年齢70年以上であるとき」のみしか永続的に裁量的執行停止とする司法取引的運用はできない。また、収監・服役されないものの裁判所の有罪判決自体は維持され、自由刑に関する欠格に該当した場合の法律制限を受けることになる。
司法取引に関して裁判で注目された例
ロッキード事件
アメリカ合衆国在住の重要証人が、自己負罪拒否特権を理由に、日本での証言を拒否したのに対し、日本の検事総長(事件当時は布施健)が、刑事訴訟法第248条に規定された起訴便宜主義に基づき、起訴をしないことを約束し事実上の免責を与えて、アメリカ合衆国の裁判官に証人尋問を嘱託して作成した「嘱託証人尋問調書の証拠能力」が争われた。下級裁判所では、日本の法秩序の基本的理念や手続構造に反する重大な不許容事由を有するものでないとして、嘱託証人尋問調書の証拠能力を認めたが、最高裁判所は刑事免責に関する立法の欠如を理由に、嘱託証人尋問調書の証拠能力を否定した。
柏原市パチンコ店強盗事件
強盗罪容疑で起訴された男性は、公判でも起訴内容を認めていたが、覚醒剤取締法違反での追起訴後に否認し、「警察官が強盗を自白すれば覚醒剤を立件しないと取引を持ちかけた」と証言。大阪地方裁判所は強盗事件に関する男の自白調書について、偽約束の可能性による違法性から証拠採用しなかったが、共犯者の公判証言などから男性の強盗事件と覚醒剤事件への関与を認定して、有罪判決を下した。
脚注^ a b c d e f g h i j “新時代の刑事司法制度特別部会における期日外視察の概要”. 法務省. 2019年8月1日閲覧。
^ a b 小山貞夫『英米法律語辞典』研究社、2011年、836頁
^“司法取引の導入決定 法制審答申、可視化を義務付け”. 日本経済新聞. (2014年9月18日). ⇒http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG18H1F_Y4A910C1EA2000/ 2014年9月24日閲覧。 
^ 2014年7月10日中日新聞朝刊「司法取引冤罪生む」
^ 2014年10月31日中日新聞朝刊27面
^ “初の司法取引適用の事件、元幹部2人に有罪 東京地裁:朝日新聞デジタル”. asahi.com. 朝日新聞デジタル (2019年3月1日). 2023年6月9日閲覧。
^ “【図解・社会】司法取引の構図(2018年7月):時事ドットコム”. www.jiji.com. 時事ドットコム (2018年7月20日). 2023年6月9日閲覧。
^ “タイ贈賄、懲役1年6月 元取締役、初の司法取引”. SANKEI DIGITAL, INC. 産経ニュース (2022年5月20日). 2023年6月9日閲覧。
^ “原宿のアパレルブランド「グラッドハンド」役員に横領容疑、特捜部が捜索”. FASHIONSNAP [ファッションスナップ] (2019年11月26日). 2023年6月9日閲覧。
^ 日本放送協会 (2021年4月14日). “私は特捜部に“売られた” ?司法取引の真相? 。NHK 。WEB特集”. NHKニュース. 2023年6月9日閲覧。
^ “司法取引3例目のアパレル元社長 実刑確定へ”. SANKEI DIGITAL, INC. 産経ニュース (2022年6月17日). 2023年6月9日閲覧。
^ “導入5年「司法取引」適用わずか3件…職場に隠れて何度も聴取、裁判所は供述信用性に「慎重」”. 読売新聞オンライン (2023年6月7日). 2023年6月9日閲覧。
^ 日本放送協会 (2023年6月7日). “「司法取引」導入から5年も適用は3件 なぜ?その背景は 。NHK”. NHKニュース. 2023年6月9日閲覧。
^ 吉原 実, 桑波田 仰太 (2022年6月1日). “「司法取引」導入4年で適用3件 供述採用に慎重な裁判所”. 産経ニュース. 2023年6月9日閲覧。
^ 公正取引委員会:平成22年3月17日付 事務総長定例会見記録

関連項目

囚人のジレンマ

即決裁判手続

略式手続

起訴便宜主義

人質司法

恩赦

課徴金減免制度(リーニエンシー制度)

刑事免責制度

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