古代ローマではその全図書館の財務・運営・管理を統括する職として図書館総裁が置かれていた[5]。皇帝にティベリウスが就いてからウェスパシアヌスが皇帝となるまでは皇帝事務官出身の解放奴隷が任命された[5]。ウェスパシアヌス以降の時代になると上層階級の者から任命されるようになった[5]。
古代ローマでは司書(biblio thecarius)は図書館職員を率いる職であった[5]。司書の下に図書館職員(a biblio theca)が置かれ、ギリシャ語区画とラテン語区画に分けて配属された[5]。 古代中国では周の時代には資料を収集・保存する機関があり史官が設置されていた[5]。東周には国書を保存する蔵室という図書館があった[5]。老子は「守蔵室之史」という司書であったといわれている[5]。 日本ではあらゆる種別の図書館にわたって図書館専門職として勤務することを保障するような司書の資格要件は存在しない。日本で一般に「司書資格」と称されているものは、公共図書館について規定する法律である図書館法による「司書となる資格(司書資格要件)」である[1]。 図書館法における司書資格は図書館法第5条に取得条件が規定されており、「大学、短期大学、高等専門学校のいずれかを卒業した上で司書講習相当科目を履修する」「大学に2年以上在学し62単位以上を修得、もしくは短期大学、高等専門学校を卒業した上で司書講習を修了する」「司書補として3年以上勤務したうえで司書講習を修了する」の3通りの方法から選ぶことになる[6][7]。このうち、司書補は司書の専門的職務を助ける事務に従事する資格を指し[8]、高等学校卒業者、中等教育学校卒業者、高等専門学校第3学年修了者のいずれかの資格を持つ者が大学等で実施される司書補講習を受けることで与えられる[9]。 司書講習相当科目で修得する場合、在学中に科目を習得せず卒業後、改めて通信制大学・夜間大学・科目等履修などで必要単位を修得しても認められる[7]。ただし司書講習相当科目履修による司書資格の証明書は大学、短期大学、高等専門学校の卒業時に発行される慣例があり、この方法を選んだ場合は司書資格の証明書は用意されない場合が多いため、単位修得証明書などを用いなければならない[7]。また在学中に司書講習相当科目履修を行った場合でも証明書は発行しない教育機関もあり、この場合も単位修得証明書などを提出することになる。 分類取得条件資格 図書館法にもとづかない図書館では多くの場合、図書館法による司書となる資格は就職や勤務の必須の要件とはならない[10]。例えば、公開の試験により職員の採用を行っている図書館法にもとづかない図書館として、国立国会図書館や国立大学の図書館があげられるが、これらはいずれも試験の受験資格に特に資格を要求していない[注釈 2]。また図書館法にもとづく図書館であっても司書は必置を義務付けられておらず、資格を有する司書を置いていない図書館も少なくない(後述)。しかし他に図書館の司書となる要件を保障する資格は存在しないため、私立大学の図書館、学校図書館、専門図書館のなかには図書館法による司書となる資格を職員採用の条件としていることもある[12]。
東洋
日本における司書
資格要件
司書司書講習相当科目を履修大学、短期大学、高等専門学校卒業者
司書講習を修了3年以上司書補として勤務経験のある者、大学に2年以上在学し62単位以上を修得した者、短期大学、高等専門学校卒業者
司書補司書補講習を修了高等学校卒業者、中等教育学校卒業者、高等専門学校第3学年修了者