文人達が好んで号に用いた字句に、「道人、散人、山人、野人、居士、逸士、処士、隠士、迂士、逸民、外史、仙史、樵客、山樵、漁夫、漁叟」などが挙げられる。いずれも文人らしく隠逸志向がみられる。また居宅や書斎(文房)の名をそのまま号とすることも多く、たとえば蘇東坡は雪堂、米?は宝晋斎、趙孟?は松雪斎、日本でも池大雅の大雅堂、木村巽斎の蒹葭堂などがある。このような号は「 ? 堂、 ? 斎(齋)、 ? 室、 ? 館、 ? 閣」などの語が附随するので、堂号(堂名)、斎号(斎名)、室号(室名)などと呼ばれる。明の文人である文徴明は「我が書屋は多く印上に起造す」と述べているように必ずしも実在の居宅や書斎ということではなかった。
創作活動に本名とは別の称号を使用する習慣は日本にも輸入され、現在に至るまで継続しているが、現在では主にペンネームや筆名と呼ばれ、俳句や日本画などの分野を除いては「号」の呼び方はあまり使用されなくなった。「雅号」も参照
脚注[脚注の使い方]
注釈^ これより500年以上前の六朝時代の文人である陶弘景は隠遁時に名を捨て華陽隠逸と名乗り、晩年に書いた?鶴銘の碑文には華陽真逸と署名している。これらの呼び名は号としての条件を充分に満たしていることから、号の起源に関して再考の余地がある。
^ この例でいえば、唐代の詩人である李白は、名が白、字が太白、別号が青蓮居士を名乗っているとされる。
出典
新関欽哉『東西印章史』東京堂出版、1995年、ISBN 4490202687。
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