最大風速が17 m/s以上の熱帯低気圧のうち、北インド洋にあるものは「サイクロン」[注 1]と呼ばれる[3]。南太平洋、北太平洋(180度経線以東)、北大西洋の熱帯低気圧のうち最大風速が33 m/s(64 kt)以上のものは「ハリケーン」と呼ばれる[4][注 2]。ただし、台風、サイクロン、ハリケーンともに現象としては同一である[4][5]。これらの熱帯低気圧が地理的な境界線を越えた場合は呼び方が変わる。例えば、2006年に北東太平洋で発生したハリケーン・イオケは、西進して経度180度を越えたため台風12号になった。このように、区域を跨って台風に変わったものを越境台風と呼ぶ。越境で台風でなくなるものもあり、2019年の台風1号は、マレー半島付近で東経100度線を越えたことにより台風からサイクロンに変わった[6]。「熱帯低気圧#分類・命名」も参照
なお世界気象機関の国際分類では地理的な領域に関係なく、熱帯低気圧を最大風速によりトロピカル・デプレッション、トロピカル・ストーム、シビア・トロピカル・ストーム、タイフーンの4段階に分類している。この場合における「タイフーン」と本項で述べている「台風」は英語では共に"typhoon"と呼ぶが、概念としては異なる。 台風の場合、熱帯低気圧域内で最大風速17 m/s以上を満たしたものを指す[3]。 台風の位置や中心気圧、最大風速、大きさの数値は過去の観測データの蓄積により確立されたドボラック法に基づいて人工衛星画像から推定し、地上や船舶で風速が観測できた場合にその都度修正していく方法を採っている[2]ため、「中心付近の最大風速」は必ずしも実測値ではない。例えば洋上にある台風中心の風速を実測するには航空機が必要となり、実際に1987年(昭和62年)までは米軍が航空機観測を実施していた時期もある[7]が、観測員や設備・運用等の負担が大きく、現在日本では航空機による観測は恒常的な手段としては行われていない(学術研究目的での観測例はある)。 なお、世界気象機関 (WMO) の世界気象監視計画 (WWW) により、北西太平洋海域の台風監視活動を行う中枢として、日本の気象庁が「熱帯低気圧プログラムに参画する地域特別気象中枢」(RSMC for TCP) に指定され、気象庁の判断が国際的には公式のものとされる。ただ、この海域では中華人民共和国、台湾、フィリピン、ベトナム、アメリカ合衆国などの気象機関がそれぞれ台風の監視を行い独自に推定を行っているため、機関によって風速等に多少の誤差が出ることもある[8]。 日本では、古くは野の草を吹いて分けるところから、野分(のわき、のわけ)といい、11世紀初頭の『枕草子』『源氏物語』などにもその表現を見ることが出来る[9][10]。ただし、野分とは暴風そのものを指す言葉であり、気象学上の台風とは概念が異なる[11]。 江戸時代には熱帯低気圧を清国にならって颶風(ぐふう)と訳した文献(伊藤慎蔵 明治末頃、岡田武松によって颱風という言葉が生まれたとされている[13][14]。1956年(昭和31年)に指針として「同音の漢字による書きかえ」が示されて以降は多く台風と書かれるようになった[13](これに対し台湾、香港では現在も「颱風」と呼称する)。由来には諸説があり、主な説としては、以下のものが挙げられる[9]。
勢力
「台風」の語源
ギリシア神話に登場する怪物・テュポン (τυφων, Typhon) に由来する「typhoon」から「颱風」となった。
アラビア語で嵐を意味する「?????
中国広東省で、南または東の激しい風のことを外国からの風のとして大風(daai6fung1、ターイフォン)といい、その後、西洋に伝わり、ギリシア神話のテュポンの影響でギリシャ式の"typhoon"というつづりで書かれるようになり、東洋に逆輸入され「颱風」となった。
@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}沖縄(当時は琉球)でつくられた言葉とする説:久米村の気象学者蔡温の造語であるといわれる[要出典]。