台風
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特に台風が北上して北方の冷たい空気を巻き込み始めると温帯低気圧に構造が変化する[28]

ただし、台風から温帯低気圧への変化は低気圧の構造の変化であり、必ずしも雨量や風速が弱くなるわけではない[28]。2004年の台風18号では温帯低気圧に変化した後も中心気圧968hpa、最大風速30m/sの勢力をもち、この低気圧で北海道札幌市では最大瞬間風速50.2m/sを観測した[28]
各国への影響
日本

台風が日本本土を襲う経路は様々であり、類型化は難しいが、典型的な台風として、北緯15度付近のマリアナ諸島近海で発生して西寄りに時速20キロメートル程度で進み、次第に北寄りに進路を変えて北緯25度付近、沖縄諸島の東方で転向し、北東に向けて加速しながら日本本土に達するというパターンが考えられる。台風の経路として書籍にもしばしば掲載される型であるが、実際にはこのような典型的な経路を取るものは少なく、まれには南シナ海で発生してそのまま北東進するもの、日本の南東海上から北西進するもの、あるいは狩野川台風1958年〈昭和33年〉台風第22号)のように明確な転向点がなく北上するものなどもある。さらに、盛夏期で台風を流す上層の気流が弱く方向も定まらないような時期には、複雑な動きをする台風も見られる。

日本の気象庁の定義によれば、台風の上陸とは、台風の中心が北海道本州四国九州の海岸に達することをいう[1]。したがって、台風の中心が上記4島以外の島の海岸に至っても上陸とは言わないため、沖縄県に台風が上陸することはない。台風の中心が、小さい島や半島を横切って、短時間で再び海上に出ることは、台風の通過と呼ばれる[1]。また、ある場所への台風の接近とは、台風の中心がその場所から半径300km以内に達することである[1]

日本には、平均して、毎年11個前後の台風が接近し、そのうち3個くらいが日本本土に上陸する[29]2004年には10個の台風が上陸し、上陸数の記録を更新した(2004年の台風集中上陸参照)。その一方で1984年1986年2000年2008年2020年のように台風が全く上陸しなかった年もある。

台風が日本本土に上陸するのは多くが7月から9月であり、年間平均上陸数は8月が最も多く、9月がこれに次ぐ。8月は、太平洋高気圧が日本付近を覆い、台風が接近しにくい状況ではあるが、台風発生数も最も多く、また高気圧の勢力には強弱の周期があるため、弱まって退いた時に台風が日本に接近・上陸することが多い。無論、西に進んでフィリピン・台湾・中国に上陸したり朝鮮半島方面に進んだりするものも少なくない。6月や10月にも数年に1度程度上陸することがある。最も早い例では1956年4月25日台風3号が鹿児島県に上陸したことがあり[30]、最も遅いものとしては、1990年11月30日に台風28号が紀伊半島に上陸した例がある[30]
フィリピン

フィリピンでは毎年6月から12月にかけてに台風が襲来するリスクが高くなる[31]。フィリピンでは年平均で約20個の台風が領域内で発生するか領海内に進んできており、うち6?9個の台風が上陸している[31]。フィリピンでは2004年から2014年にかけての11年間に88の台風の影響を受け、合計死者数18,015人、合計負傷者43,840人、合計経済損害額13,700百万USドルの被害が発生した[31]
台風の観測と進路予測
台風の観測NOAAの観測機から撮影されたハリケーン・カトリーナの中心部

アメリカでは、1943年テキサス州ヒューストンを襲ったサプライズ・ハリケーン(英語版)の際に敢行された直接観測をきっかけとして、アメリカ軍が航空機により台風を直接観測するため、ハリケーン・ハンターと呼ばれる専門部隊を編成した。当初はアメリカ空軍アメリカ海軍が個別に観測していたが、1993年からはアメリカ海洋大気庁 (NOAA) のNOAA ハリケーン・ハンターズ(英語版)に移管され、NOAA士官部隊が運用する観測機で直接観測を継続している。

日本の気象庁は緯度では赤道から北緯60度、経度では東経100度から180度までの範囲にある台風の位置決定と予報を担当する[3]

現在、台風の観測では気象衛星ひまわりが重要な役割を果たしており、雲画像の連続的な解析により台風の中心や風速などの観測がなされる。日本付近に接近あるいは上陸した台風については気象レーダーやアメダスも利用される。

2017年からは名古屋大学琉球大学などの研究グループが航空機からドロップゾンデを投下、観測ドローンなどで直接観測を実施している。同研究グループは2017年10月21日、日本人研究者として初めて台風の中心付近を飛行機で直接観測することに成功した[32][33]。得られたデータを衛星やレーダーからのデータと合わせることで予報精度の向上を目指している[34]
台風の進路予報表示

台風の進路予報表示では、平均風速が15m/s以上の強風域を黄色の円、同じく25m/s以上の暴風域を赤色の円で表す。12、24、48、72、96および120時間後の到達予想範囲は点線の予報円で記す。台風の進路が予報円の中に入る確率はおおよそ70%である。また、台風の中心が予報円の中を通った場合、暴風域に入る恐れがある範囲を赤い線で囲む。これを暴風警戒域という。

台風の進路予報表示は1953年(昭和28年)6月から1982年(昭和57年)5月まで扇形方式、1986年(昭和61年)5月まで予報円方式が用いられ、1986年(昭和61年)6月以降は現行の予報円・暴風警戒域方式が用いられている。また、予報期間は2002年(平成14年)6月から[注 5]2009年(平成21年)3月は72時間先まで、2009年(平成21年)4月から120時間先まで発表されるようになっている[35]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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