台風
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

例えば洋上にある台風中心の風速を実測するには航空機が必要となり、実際に1987年昭和62年)までは米軍航空機観測を実施していた時期もある[7]が、観測員や設備・運用等の負担が大きく、現在日本では航空機による観測は恒常的な手段としては行われていない(学術研究目的での観測例はある)。

なお、世界気象機関 (WMO) の世界気象監視計画 (WWW) により、北西太平洋海域の台風監視活動を行う中枢として、日本の気象庁が「熱帯低気圧プログラムに参画する地域特別気象中枢」(RSMC for TCP) に指定され、気象庁の判断が国際的には公式のものとされる。ただ、この海域では中華人民共和国台湾フィリピンベトナムアメリカ合衆国などの気象機関がそれぞれ台風の監視を行い独自に推定を行っているため、機関によって風速等に多少の誤差が出ることもある[8]
「台風」の語源

日本では、古くは野のを吹いて分けるところから、野分(のわき、のわけ)といい、11世紀初頭の『枕草子』『源氏物語』などにもその表現を見ることが出来る[9][10]。ただし、野分とは暴風そのものを指す言葉であり、気象学上の台風とは概念が異なる[11]

江戸時代には熱帯低気圧を清国にならって颶風(ぐふう)と訳した文献(伊藤慎蔵によってオランダ語から翻訳された日本初の気象学書『颶風新話』)があるが、明治の初めにはタイフーンまたは大風(おおかぜ)などと表していた[12]

明治末頃、岡田武松によって颱風という言葉が生まれたとされている[13][14]1956年(昭和31年)に指針として「同音の漢字による書きかえ」が示されて以降は多く台風と書かれるようになった[13](これに対し台湾、香港では現在も「颱風」と呼称する)。由来には諸説があり、主な説としては、以下のものが挙げられる[9]
ギリシア神話に登場する怪物・テュポン (τυφων, Typhon) に由来する「typhoon」から「颱風」となった。

アラビア語で嵐を意味する「????? (tufan)」が東洋に伝わり、「颱風」となった。また、英語では「typhoon」(タイフーン)となった。

中国広東省で、南または東の激しい風のことを外国からの風のとして大風(daai6fung1、ターイフォン)といい、その後、西洋に伝わり、ギリシア神話のテュポンの影響でギリシャ式の"typhoon"というつづりで書かれるようになり、東洋に逆輸入され「颱風」となった。

@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}沖縄(当時は琉球)でつくられた言葉とする説:久米村の気象学者蔡温造語であるといわれる[要出典]。

英語の「typhoon」は、古くは「touffon」と綴り、中国語の「大風」が由来とする説は不自然とされており、アラビア語起源、ギリシア語起源の二つの説が有力とされる。

[誰によって?]

ちなみに沖縄のウチナーグチでは「カジフチ(風吹き)」または「テーフー(台風)」と称される。
台風の構造と階級

台風の中心位置、最大風速、中心気圧、暴風域半径、強風域半径などを総称して台風諸元という[2]
台風の構造熱帯低気圧の構造図(垂直方向に拡大してある)。目の周辺部では上昇気流、目の中心部の上空では下降気流が起きている。

亜熱帯熱帯で海から供給される大量の水蒸気が上昇して空気が渦を巻き、できるのが熱帯低気圧で、これが最大風速17.2m/sを超えると台風となる[15]。この点で冷たい空気と暖かい空気が混ざりあおうとして空気が渦を巻きできる温帯低気圧とは構造が異なる[15]。温帯低気圧では冷たい空気と暖かい空気がぶつかりあっており前線を伴うことがあるが、台風本体は暖かい空気のみでできているため前線を伴うことがない[15]。台風の北上によって冷たい空気が流入したときには温帯低気圧に変化する(「#台風の発生から消滅」参照)。中央に見える丸い空洞のような部分が「台風の目」である。

台風の中心付近は、風向きが乱れているために暴風が互いに打ち消し合う[注 3]。台風の中心付近の下降気流となっている風や雲がほとんどない区域を台風の目と呼び、勢力が大きい台風ほど明瞭に表れるが、勢力が衰えると判然としなくなることがある。

発達した台風では背の高い積乱雲が中心部を取り巻いておりアイウォールと呼ばれている[16]。構造としては、台風の目の周囲付近は中心に向かって周囲から吹き込んだ風が強い上昇気流をつくっており積乱雲が壁のように取り囲んでいる(内側降雨帯)。壁の高さは地上1000mから上空1万mに達する。そして、その外周には外側降雨帯が取り囲んでいる。また、台風本体から数百キロ程度離れた場所に先駆降雨帯が形成されることがあり、さらに、この位置に前線が停滞していると前線の活動が活発になり大雨となる。

なお、台風は一般的にその中心よりも進行方向に対して右側(南東側)のほうが風雨が強くなる。これは、台風をめがけて吹き込む風と台風本体を押し流す気流の向きが同じであるために、より強く風が吹き荒れるためである。気象学上ではこの台風の進行方向右側半分を危険半円と呼ぶ。また、台風の左側半分は吹き込む風と気流の向きが逆になるために相対的に風は弱く可航半円と呼ぶ。しかし、可航半円という概念はかつて帆船が台風の中心から遠ざかる針路をとるとき台風の進行方向左側に入っていれば右舷船尾に追い風を受けながら避航できたこと(逆に、帆船が台風の進行方向右側に入っていると右舷前側に向かい風を受けながら中心に引き込まれないよう保針しなければならなくなる)の名残であり、あくまでも右側半分と比較して風雨が弱いだけであり、可航半円の範囲といえども風雨は強いため警戒を要する。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:173 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef