台風
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上陸時勢力が日本史上稀に見る強さであった伊勢湾台風以降、災害対策基本法制定をはじめ、伊勢湾台風クラスあるいは「スーパー伊勢湾台風」クラスの台風に耐えられるような防災体制が目標とされてきた[39][21]。しかし、現在においても大きな被害が出て、さらなる防災の強化が行われている地域もある。また、日本の周辺諸国、特に東南アジアでは防災体制やインフラ等がまだ成熟していないため、地すべりや洪水等により多数の死者を伴う甚大な被害が発生することがある。
雨台風・風台風


雨台風であったカスリーン台風は、関東を中心に豪雨による甚大な浸水被害をもたらした。風台風であった洞爺丸台風は、記録的暴風や高波により洞爺丸を沈没させた。

風による被害は比較的小さい一方で、雨による被害が大きい台風を雨台風と呼ぶ[40][41][42]。一般的に、梅雨期に接近上陸する台風や秋雨前線の活動が活発な秋季の台風は、風よりも雨による被害が大きい[40]。過去の代表的な雨台風の例としては、1947年のカスリーン台風や1958年の狩野川台風などが挙げられる[40][43]。反対に、雨による被害は比較的小さい一方で、風による被害が大きい台風を風台風と呼び[44][41][42]、過去の代表的な風台風の例としては、1954年の洞爺丸台風や1991年の平成3年台風第19号、2004年の平成16年台風第18号などが挙げられる[45]。しかし、これらはいずれも気象庁が定めた俗称であり[41]、あくまで便宜的な区別であるため厳密な定義はない[44][40]。なお、台風そのものに「雨が強い」「風が強い」などの性質があるわけではなく、台風によって引き起こされた災害の結果によって、これらの言葉が使用されているだけである[46]

勢力が強い台風の場合は、雨と風の両方で甚大な被害が出ることも少なくない。平成18年台風第13号(2006年)では、九州付近の前線の活発化で、梅雨末期のような集中豪雨を呈した。佐賀県伊万里市では期間降水量の7割が上陸前日に降る集中豪雨となった。
台風による社会的な影響

交通機関の乱れ

特に航空フェリー航路の場合、暴風を伴うと大変危険なこと、また機体や使用船舶の遣り繰りがつかない(目的地や避難先が台風の進路上で運航できない)事等から台風が通過した後も運休するケースが多い。

国内航空に関しては一日の機体の遣り繰りが複雑で一つの機体が5、6便運航することが多く、台風の関係ない地方でもどこかの路線で台風による欠航が発生することにより後続の機材繰りによって、使用する航空機が出発までに用意できずに欠航や遅延することもある。

また鉄道バス自動車道路高速道路国道など)も一定の風速または雨量をオーバーすると運休や通行止め、あるいは速度徐行がなされる場合もある。近年鉄道においては影響が予想される場合はあらかじめ長距離列車の運休や間引き運転・全列車の各駅停車運転などが行われ、事前事後のダイヤの混乱防止と輸送手段の確保の両立を図るケースが多い。(「計画運休」参照)


公衆施設(自治体の公共施設・サービス受付、レジャー施設、百貨店スーパーマーケットなど)の営業休止・または早期打ち切り

スポーツ試合やコンサート、イベントの中止・延期

屋内施設(ドーム球場体育館、コンサートホールなど)で開かれるイベントであっても、交通機関のマヒによる関係者の現地入り不能や、観客の安全などを考慮してイベントを中止する事例がある(プロ野球でのドーム球場の中止事例はドーム球場#ドーム球場での試合中止事例参照)。

屋内退避による風水害からの避難を要する場合もある。

台風と水資源

被害という視点で語られることの多い台風も、日本では梅雨以後の夏期における、各地のダムや山間部の川の水資源確保の観点から見れば、定期的な台風の襲来は重要である。例えば、平成17年台風第14号(2005年)や平成19年台風第4号(2007年)は大きな被害(ともに激甚災害)を生んだが、台風襲来前は渇水によって0%となっていた早明浦ダムの貯水率をたった一晩で一気に100%以上にまで回復させたため、取水制限が解除された。つまり「台風が来なければよい」と一概には言えない。
台風と地球温暖化

気候変動に関する政府間パネルの第5次評価報告書でも示されているように、台風の大型化と地球温暖化は関係があるとする見方が強い。実際2004年には例年の3.8倍の数の台風が日本に上陸し、平成27年9月関東・東北豪雨令和元年東日本台風は日本各地に甚大な被害をもたらした。地球温暖化は海洋、大気両方に影響を与える。前者において海水温上昇による海水の蒸発量の増加に伴い大気中の水蒸気が増加し、上昇気流が起きやすくなる。これによって発生した台風は大型化しやすくなる。後者においては対流圏気温減率が小さくなり大気は安定する。このため台風ができにくくなり数は減少する。地球温暖化は台風に相反する2種の影響を与える[47][48]
台風と生物学的自然


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