台湾
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なお、日本政府は、1951年のサンフランシスコ講和条約および1952年の日華平和条約において台湾に対する権原を含める一切の権利を放棄したが、それらの帰属先が明言されていないため、台湾の国際法上の領有権は現在でも未確定であるという見方(台湾地位未定論)もある[67]

台湾地区を実効支配する中華民国が、長い年月をかけて「名実ともに中国を代表する正統な国家」から「台湾地区のみを統治する国家」へと変容したことも、台湾問題の理解を困難にする要因となっている。

国民党独裁期の中華民国は、台湾地区のみを実効支配するようになった後も「中国の正統国家」を主張し「台湾は中国の一部」という見解を持っていた。そのため「中国(中華民国)による支配から台湾を解放し、中国(中華民国)とは異なる新しい国家を自ら建設すべき」とする台湾独立運動(台独運動、または台独)が活発となった。台湾独立運動は中華民国の民主化により下火になったが、長年に渡り台湾地区の住民の国政参加を拒み、差別と弾圧を行ってきた歴史(二・二八事件と呼ばれる台湾人大虐殺と、中国国民党による長期間の高圧独裁)を忘れるべきではないという意味合いで主張する者も少なからずいる。2008年8月末には、中華民国からの独立デモが発生している。

中華人民共和国は「台湾は中華人民共和国の不可分の領土であり、台湾が独立することは許さない」として一貫して台湾独立に反対する主張を繰り返しており[68]、その影響で中華民国国外では台湾独立を「中華人民共和国からの独立」だと誤解する人も多いとされる[69]

21世紀初頭では、国際政治上の駆け引きの結果から中国を代表する正統な国家として中華人民共和国を承認する国のほとんどは、中華人民共和国を「承認」しながら、半官半民の組織を介して中華民国と実務関係を維持している。現在も中華民国憲法は、大陸統治時代に制定された条文を維持し、中華民国が中国の国家であることの象徴としている。その一方で憲法追加修正条項の制定以後、中華民国が台湾地区のみを統治するとの前提により民主化が進められてきた。しかし、中華人民共和国政府や中華民国の親中派は、こうした動きを法理独立と非難してきた。

今日の台湾の住民の世論では、台湾は中華人民共和国の主権に帰属するものではなく、中華民国という国家であると考える者が多い。その上で中華民国の立法府たる立法院の議員などの政治家は今なお、「台湾地区も(中華人民共和国が治める)大陸地区も同じ中華民族に主権がある」とみなす泛藍連盟派と、「台湾地区の主権は中華民国にあり、大陸地域の主権は中華人民共和国にある」とみなす泛緑連盟派(台湾本土派および独立派)のいずれかに大別される。

民主化以降の台湾の住民の世論は、実質的に中華人民共和国とは「分離」している現在の状態を維持することを望む声が多い。そのため、基本的には現状での安定志向にあると言え、各党も世論を配慮しながら政治活動を行なっている。中華民国は国際法の定義上、事実上の独立国[70]であり独立宣言などいらない、という考え方を「天然独」と言い、前総統蔡英文、現総統の頼清徳もその立場である。
国際関係詳細は「台湾の国際関係(英語版)」を参照
日本国詳細は「日台関係」を参照
アメリカ合衆国詳細は「米台関係」を参照

米国のピュー研究所の2023年8月11日の報告によると、台湾は日本、米国、オランダ、ドイツ、スウェーデン、オーストラリア、カナダ、フランス、韓国、イスラエル、インドネシア、イタリア、ポーランド、ナイジェリア、ケニア、メキシコ、英国などの国々で肯定的に認識されている[71]。さらに、台湾と中国の緊張関係が米国にとって極めて深刻な問題であると認識しているアメリカ人の割合は、2021年2月の28%から2023年3月の47%へと、この期間の調査ごとに急速に増加しており、2023年3月には80%以上の米国人が台湾と中国の緊張が米国にとって深刻であると認識している[72]
中華人民共和国詳細は「中台関係」を参照

中華人民共和国の多くの人々が台湾の独立に反対している[73]。中華民国は国の定義を定める国際法上、国の要素を満たしており、独立を宣言せずとも、事実上の独立国家となっている[70]
地方行政区分詳細は「台湾の行政区分」を参照2014年以降の行政区分台北市新北市基隆市桃園市新竹県新竹市苗栗県台中市彰化県澎湖県南投県雲林県嘉義県嘉義市台南市高雄市屏東県宜蘭県花蓮県台東県台湾省金門県連江県福建省

かつての中華民国による行政区分では、台湾地区を2台湾省福建省)、2直轄市台北市高雄市)に区分し、更に省内を5台中市台南市基隆市新竹市嘉義市)、16に区分していた。だが、1996年に福建省が、1998年に台湾省がそれぞれ地方政府としての行政機能を「凍結」(虚省化)された。その後市と県の合併や直轄市への昇格があり、現在では6直轄市(台北市、新北市桃園市、台中市、台南市、高雄市)、3市(基隆市、新竹市、嘉義市)、11県に区分されている。また、2023年現在、市と県が直轄市と並んで地方行政を担っているが、直轄市との間には地方交付税の配分や人事権限の格差が残されたままである。

階層行政区分合計
1直轄市 (6) (2) (虚省化)22
2 (3) (13)
3区 (170)県轄市 (13)鎮 (39)郷 (146)368
4里村7,835
5隣147,877

主要都市台北市 (2019年)詳細は「台湾の都市の一覧」を参照

台湾の中心都市は北部盆地に位置する台北市であり、1949年以降は事実上、中華民国の首都機能を果たしている。中華民国政府の台湾への移転以前の中華民国の首都は南京市とされていた(ただし中華民国憲法および法律などによって明文化はされていない)が、移転以降の台北市は「臨時首都」および「中央政府所在地」という扱いになっている(詳細は中華民国の首都を参照)。なお、台湾省の省都も当初は台北市であったが、1957年に台北市から台湾中部にある南投県南投市中興新村に移された。ただし、2018年台湾省政府が事実上廃止されたため、現在は台湾省の省都は存在しない。

台北市は台湾で人口が4番目に多い都市で、台北市の周囲を囲む郊外部の新北市(人口第1位)、および台北市の東北部に位置する港湾都市基隆市と共に台北都市圏を形成している。それ以外の地方の主要都市としては、台湾島南西部に工業・港湾都市である高雄市(人口第3位)があり、台北・高雄両市の間に桃園市新竹市台中市(人口第2位)、嘉義市台南市(台湾の古都にして人口第5位)などの直轄市が集中している。これらの主要都市は全て台湾西部に位置しており、台湾東部の主要都市としては花蓮市台東市がある。

2020年国勢調査での人口順位は以下の通り。

順位都市行政区分人口(人)順位都市行政区分人口(人)


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